束縛
高貴な女王室、そこに彼女はいた。
赤色の大きなソファーに横になり女王にはふさわしくないであろう格好でお菓子を貪り尽くしていた。
あなた今日もよくやってくれたわ
女王もとい彼女は私の恋人である。
長いロングヘアーをツインテールにし体付きも良かった。
そんな彼女がネグリジェを着て身体を露わにし、横たわっているが彼女は女王である
。
そして基本的に女王室には自分以外こない事を知ってだらけているのであろう。
何をしゃべったかは思えていないが少し会話をしでていった。明日の出撃に備えるためだ。
夜寝ようと目を閉じると瞼のうらで無邪気で少し高飛車だが恥ずかしがり屋な彼女の姿が浮かぶ。
胃が締まるような感覚に襲われる、涙も出てきた。
次の日の昼ごろ、朝の訓練を終え昼食に取り掛かろうとしている時警報は鳴った。
敵襲だ敵襲だと騒ぐなか甲高いサイレンの音が聞こえてくる。
昼食がまだであろうと関係なかった、戦争なのだ。
昼食は待ってくれても命は待ってくれない。
整備員に乗せられ零戦に乗った。いつも通りの環境、特に異常はない。
小隊が空高く浮かぶ、迎撃の構え。
敵と味方が交差する。数機が爆発し落ちていった。
幾度か機体が交差した時には敵はほとんどいなくなっていた。撤退の命が出たのであろう、敵機が回れ右をし帰ろうとしていた。
味方一機が追撃の形をとったのだ。追撃は危ない。
今回は撤退するべきだと思ったが意思は通じなかった。
一機また一機と追撃の位置につく。
私は撤退の意を表明していたので遅れながらついていった。
敵機を二、三機追撃した時それは現れた。
山を越えると巨大な機体が数十機陰から出てきたのだ、直感でこれはだめだと思った。
なんせ大きさが自分たちの倍違う。
そんな巨体が陰から現れたのだ、味方も戸惑い呆然としていた。
呆然と見ていると敵機の攻撃が降り注ぎ一機一機と味方が墜とされていく。
撤退しようとした。
数機の自機を巨大な数十機の敵機では力差も一目瞭然であった。
必死で帰る、帰れば援軍や迎撃装備がある。
陸がなんとかしてくれる。
とにかく帰らねば。
後ろの味方機が一機一機とまた墜とされていった。
どれくらい走行したのかわからない、敵機の攻撃をかわしながら自軍付近まで走行していた。
援軍はまだか!
激しく動いたせいか燃料ももうじき底をつく。低空飛行をしていた。いつでも無事着できるように。
基地と20キロ付近のところで援軍とすれ違った。
直後助かったと思いにかられすぐさま海の上に不時着した。
涙が溢れる。なぜだかわからない。自分は何をしているのだろうか、自分は何者なのだろうか。
わからなかった。
目がさめる。
ベットの上であった。
女王などいない、私は飛行機乗りでもない。
ただの人間。
女王よどこまでも私にすがりつき夢のなかまで現れて、胃を握り、束縛するのだろう。
戦争よ、いつまで私は生死を彷徨えばいいのだろう、
普通というものに憧れているのだ。
なぜ思い出したくないものは思い出してしまうのだろう。
全てを断ち切ったはずだ。
夢のなかまで束縛しないでほしい。
泣き叫び唸り、もがき苦しむ。
もうその束縛から解放させてやくれまいか?
もう疲れたんだよ。
どこまで遡って断ち切ればいい。
もう断ち切るものなんてほとんど残ってない。
これを断ち切って消えろと言う事なのであろうか。
断ち切って消える勇気はあるだろうか。