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 突然ですがここで学園の施設を紹介します。

 学園には大きく5棟の建物が存在します。教室などがある4棟。日本でいう体育館や公会堂にあたる建物が1棟。

 正門から見て、斜めに入って車留めを挟んで正面にそびえるのが教務員室や共用の各技術室がある南棟。

 南棟の左手にあるのが騎士科の教室、トレーニングルームなどがある西棟。

 反対の右手にあるのが魔法科の教室、魔法威力減衰効果の掛けれた教室などがある東棟。

 正面奥にあるのが、技術科の教室、技術科専用実験室などがある北棟。この北棟はいくつもの専攻に分かれるので一番広く作られています。

 これは、正門からの侵入者に対して、最大戦力の教務員が動きやすいようにと配置されたようです。正門以外には小さい裏門があり、常時5名小隊規模の守衛と、技術科謹製のトラップ群が待ち構えています。他の場所からの侵入もかなり難しくなるように設計されているとか。

 また、地下通路と渡り廊下があるので各棟への移動のためにわざわざ外へ出る必要はありませんが、中央部は中庭として開放されていて、お昼や放課後は賑やかになります。

 公会堂は少し奥にあり、体育館のようなフロアの1階と、セレモニーに使うステージや観客席がある2階があります。明日のセレモニーもここで行われます。

 学園の敷地外にも、図書館が道を挟んで向かい側に建っていまして、一般にも開放されています。ただし重要な文献は特別書庫という階層に保管され、目的や素性を明らかにした上で、特別な資格を持つ司書に認められなければ書庫に足を踏み入れるどころか、閲覧も許されないという厳重さで守られています。

 学園の隣にはそれぞれ男女別の寮があり、王都に住居がない、もしくは希望した生徒や先生がここに住んでいます。私は希望した側ですね。だって共用フロアに自由に使えるキッチンがあるって知ったら行くしかないじゃないですか!王都の邸だと使用人に配慮しなくてはなりませんし。まあ寮がいっぱいになれば出ていきますよ。まだまだ余裕がありますけどね。

 今では寮に住む男子生徒、及び先生の胃袋をゲットしましたよ。先ほどの先生もその一人です。

 そういえば技術科の先生が一人、料理を提供したすぐ後にフィールドワークと称して出奔してしまったんですよね。

 今はどこで何をしているのやら。


 そんなこんなで教務員室から調理室に到着しました。んー、美味しそうな香りが漂ってます。

「すみません、遅くなりました」

 調理室の扉を開けて声をかければ、中にいた全員と視線が合いました。なかなかこわい。

「部長!待ってました!」

「お帰りなさい!」

 はい、ただいま。

「コングレンス様!料理のチェックをお願いします」

「はい。すぐに着替えて参ります」

 そんなレストランの厨房でもあるまいに、とも思いますが必要なことなので仕方ありません。

 調理室隣の準備室でロッカーに仕舞われるきちんと洗濯されたエプロンを着用します。頭に被る三角巾は私が導入した日本の学生スタイルです。

 このエプロンと三角巾は、使用後に所定の位置に置いておくと学園の用務員さんが回収して洗濯しておいてくれます。解れも繕ってもらえるので助かります。悲しいことに私に裁縫の才能はありませんでした。

 きっちりと手を洗い、最後にもう一度身だしなみを確認して、オッケー。

 いざ調理室!


 明日出すメニューは、歓迎セレモニーの合間にある交流時間に食べてもらうものです。

 つまりナイフやフォークを使わずに簡単に食べられて、且つ汚しにくいものが好ましいわけですね。手が汚れることに関してはフィンガーボウルや人によっては自前のクリーン魔法があるので問題ありません。


 まずは定番のサンドイッチですが、全粒粉の食パンと、技術科に依頼して篩を用意してもらって日本で食べていた白パンにかなり近付けたパンとの2種類を使うことで見た目にメリハリを付けました。具は卵(マヨラーは既にいます)とベーコンチーズのレタス添えの2種類。魔法のおかげで生鮮食品が入手しやすいからこそのレタスですね。魚や海草ももっと手軽になればいいのですけど、内陸国なので仕方ありません。

 ライ麦の黒パンを今日のうちに硬く焼いておき、明日ブルスケッタにしてすぐに出せるようにしておきます。乗せるトマトのマリネはもう冷蔵庫にありますね。味が染みるのが楽しみな美しさです。

 あとはブリトー。発酵がいらず、混ぜて焼くだけなので簡単美味しいお手軽レシピです。具はトマトソースとチーズの定番だけですが外れにくいメニューです。予め作っておいて、テーブルの傍にいる係りの人が注文ごとに温め直してくれるというサービスを付けました。魔法万歳!


 お菓子類として、固めのクリームを挟んだビスケットサンドや、じゃがいもやかぼちゃと片栗粉などを使用したお菓子を用意しました。

 このじゃがいも、かぼちゃが今回の新作です。

 何かと言ってしまえば芋餅とかぼちゃきんとんでして、まあ簡単なこと簡単なこと。和を取り入れたいと思ってのチョイスでしたけど、正解でした。大量生産が楽です!

 かぼちゃきんとんには少量の牛乳を使いますが、これも魔法のおかげで腐りにくく、考えていたよりも入手しやすいのでお値段もそんなに高くありませんでした。まあ予算はかなり下りてるので気にする必要はなかったかなーとも思いますが。そもそも牛乳を入れないレシピも有りますし。

 他にも、玉ねぎをすりおろすのが面倒ですが、カルトッフェル・プファンクーヘン、ドイツのじゃがいもパンケーキと呼ばれる、日本人的には肉なしお好み焼きと言われた方がイメージしやすいものも用意します。これはお菓子というか主食カウントでいいんじゃないか?と思うのですが、パンケーキなんですよね。

 後はフルーツ各種と、自前で作ったゼラチンを使用したゼリー、ムース。専用の小さなカップを用意するのが大変でしたが、そこは食堂のメニューに正式採用するということで大量注文が可能になりました。いぇい。カップのまま出せるのは食堂的にも楽ですからね。


 あくまでも軽食なので、全体的に肉や油を過度に使わないけどお腹にたまるもの、と言うことで粉ものが多いです。

 さすがにドリンクは完全に食堂の方たちにおまかせしましたが、今後はスムージーなども提案して野菜の摂取率を底上げしましょう。


 パン類はまだ発酵段階ですし、ブリトーのトマトソースが煮込み中なので味見は出来ませんが、ビスケットサンドはサクサクで甘いクリームとの相性が抜群です。芋餅は素朴な味わいに味付けの塩とバターが含みを与えています。かぼちゃきんとんは冷やしが足りてませんでしたが、蒸かしたかぼちゃの自然な甘さが最高です。プファンクーヘンは明日焼きますので今日はありませんが楽しみです。ゼリー類もまだまだ未完成ですね。


 お楽しみの味見をしてからは、自分も本格的に指示だしと作業です。張り切っていきましょう!

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