会議 of トゥエルブ・セインツ①
どうも、HALです。
一回、冒頭のシーンを書き直そうかと思ってエピソードを消したのですが、結局そのまま再投稿することにしました。すみません。
【あらすじ、というかカットされシーンの補足】
体育祭の件の始末書を出すためにICBMの日本本部(東京、新宿)に来たレナ。レナは早く始末書を提出して帰りたいと思っていたが、残念ながらその日はトゥエルブ・セインツの会議が行われる日だった。それをすっかり忘れていたレナは、そのまま帰ろうとするが、入口でトゥエルブ・セインツの同僚の一人、ウィリアムズと遭遇。首根っこを捕まれ。引きずられる形で会議に参加することとなった。
「あの...アダラートさんにソフィアさん...落ち着いて...」
そうオドオドと言うレナ。
ここは広い会議室。机は大きく、調度品は誰が見ても高いとわかるものばかり。しかし、
「Hey, du da, du kleiner Bengel. Nimm das zurück...(おい、そこのチビ。その発言を撤回しろ...)」
そんな会議室には絶望的に似合わない、強そうなドイツ人――アダラートのしかめっ面が目の前の小さなフランス人の少女――ソフィアのを睨んでいた。
「Hé, pourquoi ? Pourquoi tu te rétractes ?(え、なんで?なんで撤回するの?)」
しかも、フランス少女はいかついドイツ男に怯むことなく、逆に煽り返す始末。
「Du Mistkerl...(テメエ...)」
ドイツ男は、もう我慢出来ないという表情でフランス少女を睨む。そこに、
「Well, do take a seat for now. Would you care for some tea? Our Japanese tea is rather good, you know. Not quite as good as black tea, mind you.(まあ、とりあえずおかけください。お茶でもいかがですか。日本茶はなかなか美味しいんですよ。紅茶には及ばないですが。)」
メガネをかけたイギリス人紳士が参戦。それに加え、
「Я хочу спать... Встреча еще продолжается?(眠い...まだ会議終わらないの?)」
寝ぼけたロシア人少女が追加。会議室はカオスを絵に描いたような状況になっていた。
「なんで、トゥエルブ・セインツって、こんなクセの強い人達しかいないんですかね...」
壁際に立つ緩井さんはそう、ため息を付く。
色々突っ込みたいところはあるがそれは置いて、とりあえずこのような状況になった経緯を説明しよう。
◆
ことの始まりはレナが会議室から逃げ出そうとしたことから始まる。
イギリス人紳士――ウィリアムズに首根っこを捕まれ、引きずられながら会議室に入ったレナが最初に目にしたのは、ドイツ人のめっちゃ怖いしかめっ面だった。
このドイツ人、名をアダラートと言う。トゥエルブ・セインツの一人で、その荒々しい戦闘スタイルから「破壊神」と呼ばれている男だ。
そんな彼だが、めちゃくちゃ怖い。ただ話すだけでも怖い。その圧倒的なオーラは、存在するだけで子供を泣かせる威力があった。
「あ、アダラートさん......」
その姿を見たレナの脳裏に蘇るのは、恐怖の記憶......いや、実際には彼がレナに対してなにかしたという事実はないのだが、残念ながら超絶人見知りのレナの脳内では、アダラートはめちゃくちゃ怖い人、そしてすぐに起こる人と記憶されていた。
「さよならッ!」
そう言うと、レナは自らの身体を霧化させて、イギリス紳士の手をすり抜ける。そして、そのまま会議室の出口へと向かおうとした。しかし、
「まだ会議は終わっていませんよ。これから始まるところです」
ウィリアムズがそう言った瞬間、レナは見えないなにかに阻まれた。防御魔法とも違う、硬い何か。
ゴンッ
「いたっ...アダムさん、その魔法は卑怯です......」
レナの霧化は、本来どんな物質でもすり抜ける最強の魔法である。それは防御魔法すらも関係ない。しかし、レナは今イギリス人紳士のの使った魔法にぶつかったばかりか、その体に痛みを感じていた。
「あなたも大概卑怯だと思いますよ。ほとんどの魔法を無効化する上に底しれぬ魔力。戦いたくありません」
イギリス人紳士、いやアダムはそう答えた。
「そんなことより早く席に座ってください。皆さんが待っています」
レナはそう言われて、ビクビクしながら会議室の中央に置かれている円卓を見た。そこには12個の席があり、様々な人種の6人の人物が座っている
レナはビクビクしながら空いている一番手前の席に座る。そして、恐る恐るアダラートの方を見る。アダラートの方は先程のことは微塵も気にしてないようで、しかめっ面をしながら、会議の議題が書かれているらしい紙を読んでいる。
レナはホッと胸を撫で下ろして、自分も議題を読もうと机に置いてある紙に目を落とした。その時、
「アダラートってめっちゃ怖い顔してるよねー。そんなんじゃ子供に嫌われそー」
会議室に旋律が走るような発言。レナは思わず声のした方を振り向く。そこには、プラチナブロンドの髪をした少女が座っていた。
「......それはない。俺は子供が好きだからな。子供が話しかけてきたらハリボーをやる」
少し気に触ったのか、アダラートは眉をぴくっとさせながらそう言った。
「でもさー、そんな顔のおっさんからハリボーもらっても怖いだけじゃない?」
...会議室内の緊張を更に高める発言をするフランス人少女。
「ソフィア、最近の子供はそんな単純じゃない。ちゃんと人の中身を見てくれるはずだ」
アダラートはそう言うが、その顔は明らかにピクついてる。そして、それに追い打ちをかけるようにフランス人少女――ソフィアは言った。
「アダラート、この間子供産まれたらしいじゃん?そんな顔じゃ、自分の子供にも怖がられちゃうかもね」
その発言を聞いた瞬間、アダラートの顔が明らかに険しくなった。そして、彼は静かに立ち上がる。
「...それは、絶対にない。俺が可愛い娘に怖がられているわけがないだろう」
口調は静かだが、その顔は明らかに怒っている。アダラートは、般若のような顔でソフィアを睨みつけた。
「あれ、図星?必死になっちゃって、面白いなぁ」
ソフィアもそう言うと、立ち上がって机の上に足を乗っける。そしてアダラートを挑発するように、彼の顔をしたから覗き込んだ。
部屋の空気は、一転してバトルモード。一触即発の空気がそこには流れている。
「...この状況、なんですか?」
ちょうど会議室に入ってきた緩井さんは、レナにそう尋ねる、
「えっと、たぶん私のせいではない...と思う......」
そして、冒頭のシーンが出来上がったわけである。
何度も修正すみません。一週間ほど投稿を休みます。理由は家族に関する急用ができたから。もしかしたら、書き溜めしてある別作品を投稿するかもですが、魔女の学級日記は書き溜めがないので投稿は遅れると思います。




