夢
どうもHALです。
ようやくエピソードを更新することができました。できれば毎日投稿を目標にしたいのですが、現状なかなか難しい状態が続いているのが悲しいです。ただ、投稿していない間もたくさんに読んでいただけたみたいで、パニック日間3位を取らせていただきました。読んでくれる人には感謝しかありません。これからも頑張って執筆していきますのでよろしくお願いします。
男は夢を見ていた。いつも見る夢だ。研究所の中のとある一室。そこにある巨大な水槽の中に浮いている小さな少女の夢。男は毎回それを眺めていた。彼女の髪は白く、まるで人形のような様子をしていた。
男はその姿を見るたび、毎回罪悪感にかられていた。自分たちが彼女にしたこと、これからすることを考えると、今すぐこの水槽を割ってしまいたくなる。男はしばらく水槽の中の少女を眺めていたが、廊下から聞こえてくる足音に気づくと座っていた椅子から立ち上がり、部屋のドアを開ける。そこには一人の男が立っていた。
「あぁ、君か。実験体R-07の状況はどうかね」
そう聞いてくるのは真っ白な白髪を頭に載せた白衣を着た男だ。男は不思議に思う。なぜこの男の白い頭は醜く見えるのに、少女の髪は美しく見えるのだろうと。
「はい。体温、脈拍、動悸、どれもグリーン・ゾーンです。ですが、魔経に肥大が見られるので次の実験は見送ったほうが良いかと」
「いや。スケジュールに遅れは出せない。これは人類の夢を叶える実験なのだ。遅れることは許さん。予定通りに準備を進めろ」
「...はい」
彼がそう答えると、白髪の男は部屋から出ていった。その後姿を見ながら男は考える。
(彼は狂っているのか?魔経の肥大は最も危険だと分かっているはずなのに...そんなんだからあんなことが起きるんだ...)
夢の中だから知っている、このあと起きる最悪の結末。夢だと分かっていても抗わずにはいられないような、そんな結末。
(なんであの時、俺は止められなかったんだ...子供の人生を壊しておいて、なんで勇気が出せなかったんだ......)
男の深い後悔とともに、夢は深まっていく。
(あぁ、本当にすまない...レナ......)
男は夢から覚めた。いつもの部屋だ。体を起こすとベッドがぐっしょりと濡れている。彼は別途から降りると、キッチンへと向かった。そこでコーヒーを淹れながら考える。
(今日は出社の日か...めんどくさいなぁ、電車に乗るの)
そんなことをぼんやりと思いながら、彼はスーツに着替えて部屋を出る。そして、いつもの道を歩いて駅へ行き、いつもの電車に乗る。
「次はー、しんじゅくー、しんじゅくー」
電車のアナウンスをBGMに人混みに揉まれる。
電車から降りた彼は乗り換えのためにホームを歩く。その時、彼は信じられないものを見た。
(白い...髪......まさか!?)
そこに見えたのはいつも夢に出てくるあの少女。彼がかつて〇〇〇〇してしまったはずの少女だった。
その少女はスーツの集団と一緒にいた。だが、そのスーツの中に彼は見覚えのある白衣を見つける。
(あれは、まさか研究所の白衣...あいつら、まだレナを......)
男の中に怒りが湧いていく。
(同じ人間として許せない...あいつら......!)
男は怒りに震える。しかし、
「おもしろいやつ、みーつけた」
男を見てそう小さく呟いた声に、彼は気がついていなかった。




