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環ちゃんが息を呑んだ。
そうだ。ペンダントの作り主がこの世界に居るのなら、ペンダントのルーツがわかるかもしれない。記憶がなくなる前の環ちゃんを知っている人だっているかもしれない。
「それにしてもすごいね。見ただけでそんなことまでわかるんだ」
「見ただけというより、触っただけよ。ああ、そういえば言ってなかったわね。私は暮石 円。『触れた機械の構造を読み取る能力』よ」
名乗っていなかったのはこちらもだ。気が急いで、名乗ることを忘れてしまっていた。
「俺は中嶋優。よろしく」
「下風舞依よ」
「環です」
「……それで?超能力は?」
「教える必要性があるのかしら?」
舞依の言葉には棘があり、まだあなたを信用してはいないという態度がありありと伝わってきた。
でも、これまで周りの誰が味方なのかわからないような人生だった。他人を簡単に信用できないのも、無理のないことかもしれない。
「当たり前じゃない。どんな超能力なのかもわからない相手を信用することはできないわ」
至極当然だ。
超能力者が一般的なこの世界──いや、この国では、相手の名と同じくらい相手の超能力も重要なのだろう。自分の超能力を明かすことは、自分の名を明かすのと同じ。それができなければ、信頼関係は構築できない。自分の超能力を明かすことは、この社会の礼儀であり、常識なのだ。
舞依は返答に窮していた。このままだと言い争いになる予感がしたので、割って入ることにした。
「俺は『他人に自分の力を貸し与える能力』だ」
俺の意図を察してか、すぐに環ちゃんも乗ってくれた。
「私は『温かさを留めておくことができる能力』だよ」
舞依も観念したように言った。
「私はまだ超能力が発現していないわ」




