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ただ一つ発見があったのは、俺の名刺だ。○○陸軍士官学校の教師──それが俺の勤め先だそうだ。その学校名に、いいイメージはない。戦争に加担する仕事だ。そんなことしたくはないが、しばらくはこの世界で暮らすことになるのは確実だ。仕事を休んでも暮らしていけるだろうか。厳しい罰則があるかもしれない。そもそも、俺は仕事内容も全く知らないわけだが、そんな人間がろくに仕事ができるだろうか。
とりあえず、箪笥の中の地図を見て学校の場所を調べる。市内ではあるが、地図上では現在地とほとんど対角に位置していた。
他に財布に入っていたのは、保険証、車の免許証、キャッシュカードとクレジットカード、そして陸軍士官学校の教師数名の名刺だった。
財布の中身がこれで全部であることを念入りに確認し、それからすることもないのでテレビを見た。誰も訪ねてこなかったし、神も話し掛けてはこなかった。少女が電話を掛けた相手も、一向に現れなかった。




