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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
中嶋優
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一つ、思い至ったことがある。俺達の身分証や住まいが、ペンダントの力によってではなく、他の誰かに用意されたものだとしたら──神ならば、それが出来るのではないだろうか。

『だいせいかーい』

軽薄な声が頭の中に直接流れ込んでくる感覚。

『君達のアパートだったり身分証だったりは私が創り出した。いや、正確には私が創り出したんじゃなく、私が創ったシステムが創り出した』

……やはりそうか。ここで一つ疑問が浮かんでくる。これがシステムだと言うのなら、なぜわざわざそんなシステムを創ったのだろうか。

『さっき君が抱いていた、なぜ身分証だとか住居だとかが用意されるようなシステムを創ったのかって疑問にも繋がってくるけど、僕はね、この惑星の理を自由に操れるんだ。君にもわかるように例えると、僕がプログラマーで、この惑星がコンピューター。そして、僕はこの惑星の法則や物質というプログラムを、自由に消したり書き換えたり書き足したりできる。ちょっと前──君達の感覚だとそれなりに昔になるかな。ある人間が違う世界に異る方法を見つけた。結局、最初に世界を異ったのは発見者ではなく別人だったけど、君達のような三次元の生物が世界を異ることを想定したプログラムは組んでいなかった。そして想定外の動きに世界が──プログラム全体が、崩壊し始めた。このときばかりは僕も焦ったよ。まあ、被害は最小限で食い止めることができたんだけどね。僕は大急ぎでプログラムを書き換えた。その世界の人間が別の世界に異って行っても、異って来ても、調和し馴染んで世界が正常に作動するように。そういうわけで、君達の身分証や住居やその他諸々が用意されてあるというわけだ。そうそう、奇しくも、君は今、話に出た最初に世界を異った人物と同じ世界にいるよ』

その人物は、十中八九環ちゃんのことだろう。神は、世界を異る方法を発見した人と実際に異った人は別人だとも言った。本人は、記憶喪失でペンダントについての記憶はないと言っていたが、神の話を信じるなら、あのペンダントを造ったのは環ちゃんではなく別の人だったということのだろう。


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