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「優の部屋に行っていいかしら」
唐突にそんなことを言われて、少し戸惑う。こっちの部屋に用があるとは思わなかったが、別に入られて困るようなことはない。
「うん。いいよ」
「芽依はここで待ってて」
「うん……。わかった」
意図が分からず不思議そうに返事する芽依ちゃんを後目に、舞依は玄関へ歩いて行った。
「優は来て」
「わかった」
なにかしらの意図があるのだろうと思いつつ、舞依についていく。
「……誰こいつ」
部屋に入るなり、寝息を立てる少女を睨んで、舞依は言った。
忘れてた。この部屋にはこの子がいたんだった。別にやましいことじゃないが、誤解されないように上手く事情は説明しなければなるまい。混乱を招かないよう、神のことは伏せて。
「図書館に向かう途中、この子が熱中症で倒れてたからここまで運んできたんだよ」
「そんなの、救急車でも呼べば良かったじゃない」
正論だ。環ちゃんと洸太君には疑われなかったが──いや、口には出さなかっただけで疑われてたかもしれないが、俺達が居た世界とこんなにも酷似しているのだから、救急の制度があってもおかしくはない。というより、あると考える方が自然だろう。この子が例のペンダントを直せる超能力を持っているから運んできたのだと説明しても、なぜこの子の超能力を知っていたのかと矛盾が生じる。この子から聞いたと言っても、この子が起きたら嘘が露呈する。いや、この子もあの時は意識が朦朧としていたはずだから、その会話をこの子が忘れたということにしてしまうか?
「……」
「まあ、いいわ。なにか考えがあったんでしょう」
俺が言い訳を考えている間に、舞依はそう結論づけた。
「別に言いたくないなら言わなくていいわ。ただ──いえ、なんでもないわ。……本題に入りましょう」




