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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
中嶋優
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25

「入って。超能力のことで話があるわ」

少し時間が経ったからだろうか。千ヶ崎君から聞いていたほどひどくはないが、それでも舞依の言葉には未だに不機嫌の色が残っているようだった。

そして、超能力──その単語が出るということは、二人も超能力証明カードを見つけたのだろう。

「わかった」

下風姉妹の部屋の内装も、布団ではなく二段ベッドになっている以外は他の部屋と大体同じだった。

「あ、優君」

芽依ちゃんは上のベッドに腰掛けていた。表情は暗い。喧嘩していたのがまだ尾を引きずっているのだろう。どういう言葉をかければいいのかわからなかった。

「これよ」

舞依が机の上からカードを一枚持ってきて俺に突き付けた。

……突き付けたというよりも、突き上げたといった方が適当な気がする。

案の定、超能力監視カードだ。

俺は舞依に身長を合わせるようにしゃがんでカードを受け取った。

渡されたのは芽依ちゃんのカードだ。

『過去に起こった出来事を見ることができる能力』

特に危険な能力だとは思えないが……いや、『過去に戻ることができる』ではなく『見ることができる』と書かれている以上、過去の出来事をただ『見る』だけの能力だとは思うが、もし仮に現在から一方的に見るだけでなく、物理的にも過去に干渉できるとしたら──過去の物体を触って動かすことができたり、過去の人物と会話することができたりするならば、それは十分に危険な超能力たりうる。バタフライ効果、親殺しのパラドックス──俺が思いつくのはこのくらいだが、時間遡行に関する問題は未だ解明されていない。そして、これらの問題は一歩間違えただけでこの世界を滅ぼしかねない。さすがに考えすぎかもしれないが、安全策を採るに越したことはない。

「この能力、試したりした?」

「まだよ。やっぱり、使わせない方がいいかしら」

「うん。念のためにね」

「私の能力ってそんな危ないの?」

芽依ちゃんが声を上げた。

「……わからない。でも、超能力を使いさえしなければ問題ないと思う」

橘さんの例があるし、自分の意思とは関係なく超能力を使ってしまうことも十分に考えられるが、それを防ぐ術が分からない以上、今はそうならないようにただ祈るしかない。

「わ、わかった。使わないようにするね」


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