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……そうだ、元の世界に帰れたとして、そのとき超能力はなくなるのだろうか。橘さんの『女性から好意を寄せられる能力』が元の世界に帰っても消えてなくならなかったら──。橘さんに、きっと帰れるだなんて言ってしまったけど、もし帰っても超能力が消えないのであれば、帰ったところで今と変わらない部屋に籠もる生活を送らせることになってしまう。環さんに訊くことが増えたな。とりあえず超能力を消すことができるように、或いは制御できるような方法を調べなければならない。
……洸太君と環さんが心配だ。二人が橘さんのような超能力を持っているかもしれない。舞依と芽依ちゃんの様子も気にはなるが、今は洸太君と環ちゃんの方が緊急だ。今すぐに図書館に……違う。先に洸太君と環ちゃんの──いや、全員の超能力を把握することが先だ。どんな超能力かわかっていないと、対応できない。
ズボンのポケットの財布を取り出した。橘さんが見せてくれたカードが、この世界における身分証のようなものであるなら、財布の中にでも入っているはずだ。さっきは紙幣に気を取られて、他に何が財布の中に入っているか確認しそびれた。
ポケットを探って革製の財布を取り出す。
案の定、財布の中にカードはあった。橘さんのカードと同じものだ。




