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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
中嶋優
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21

結局、千ヶ崎君のことは訊けず仕舞いだった。あの場でその話ができるような空気ではなかった。

超能力か……。もちろん、俺達のいた世界では超能力を持つ人なんていなかった。いや、神だったり異世界があるのだから、実際に超能力者もいたのかもしれないが、あの橘さんに見せてもらったカードに書いてあった組織──超能力不正使用監視隊──そういった組織ができる程、一般にまで超能力が浸透してはいなかった。

超能力があることによって、更に問題が増えた。ひとまず今の目的は壊れてしまったペンダントを直すことだが、その間この世界で波風立てずに生活しなければならない。しかし、橘さんのように、制御できず生活に支障をきたす超能力を持っていたら、普通に生活することすらも難しくなる。

あのカードに書かれていた超能力不正使用監視隊という組織──おそらく、俺達が居た世界でいうところの警察のように、治安維持を目的とした組織だろう。さっき外出したときに見た限りでは、超能力を使っているような人は一人もおらず、ただ普通の見慣れた日常があった。誰しもが超能力を持っているなら、超能力を使った危険な犯罪が日常的にあるはずだ。だが、人々の表情にそういった怯えや恐怖、不安は全く感じられなかった。いつ犯罪に巻き込まれてもおかしくないといったような殺伐とした空気もなかった。つまり、この国では治安維持組織の存在自体が、犯罪の抑止力として機能しているのだろう。だとすれば、だ。この国の法律では、超能力を使うことは犯罪なのではないか?超能力が一般的な社会でこれだけの治安の良さを実現しているのだから、そういった法律がある可能性は十分にある。問題は、今回の超能力の使用を感知されているかどうか。それと超能力が暴走した人はどういった処置がとられるのかだ。

……どちらも今あれこれ考えても仕方ないことだ。現時点では対策のしようもない。だが、どちらも最悪の結果になった場合──橘さんの超能力が暴走したことが特定され、超能力が暴走した人の処遇が──。

……いや、考えないようにしよう。きっと大丈夫だ。そうはならない。


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