14
「そうさせてもらうわね」
少女は布団に再度寝転がると、携帯電話を取り出して、誰かと通話し始めた。
「もしもし?私。……あー、眠いから先に帰った。……いや、途中で倒れて運んでもらった。……んー、いや、知らない人。……そう。その人の家。ねぇあなた、ここの住所教えて」
どうしよう。住所なんて知らない。この部屋が一号室だっていうことは分かっているけど。……いや、外にアパート名が書いてあった。そうだ──。
「ブドウアパートの一号室」
「奇遇ね。ブドウアパートの一号室だって。じゃ、よろしく」
そう伝えるなり、おそらく相手の返答を待つこともなく、少女は電話を切った。
何が奇遇なのだろうか……?
「後で私の知り合いが迎えに来るから、よろしく」
「あ、一つ頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
「頼みたいこと?……あー、そういうことね。後にしてもらえる?」
ペンダントを直してもらいたかったけど、別に急ぎの用ではないし、ペンダント自体も今は環さんが持っている。体調が良くなってから、改めて頼んでみるとしよう。
「わかった。後にするよ」
俺がそう返すと、少女はこっちに背を向けるように寝返りをうった。




