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とりあえず、俺の部屋で休ませよう。──いや、環さんもいるから俺の部屋ではなく俺達の部屋になるのか。
少女をおぶって、歩き始める。少女はすぐに俺の背中で寝息を立てはじめた。相当な睡眠不足だったんだろう。
そうか。今更気づいた……というか思い出したが、この子が神の言っていたペンダントを修理できる少女なのか。
『まさかそれに気づかずにその子を助けたのかい?』
まただ。嘲笑うような声が頭の中に響いてくる。
『そうなりますね』
『まったく、君達の考えることは毎度理解し難いね。まあ、そこが面白いところでもあるんだけど』
理解し難いことなのだろうか?傍から見ても、この子の様子は明らかにおかしかったし、俺じゃなくても、誰でも同じ行動をとるだろう。洸太君も、環ちゃんもそうだった。
『なるほど。我は人ではないからその感性は理解できないのだ、と。一理ある』
俺の思考が全て筒抜けになっている。あまりいい気分じゃないな。
『そうそう。もう一つアドバイスだ。すぐに君に向かって車が突っ込んでくるから、急いで逃げた方がいいよ』
車が!?逃げるっていったってどこに!?
とにかく避けるしかない。車道に体を向け、行きかう車を凝視する。どの車が突っ込んでくるんだ……?
──しかし、しばらく経っても車は俺に向かって突っ込んでくるどころか、事故が起こる気配もない。神は『すぐ』と言った。すぐって、どのくらいを指したんだ?神の感覚と人間の時間感覚が必ずしも一致しているとは限らないが……。
『あっはははははは!期待通りの反応だね!なに、今のは単なる冗談さ。安心するといい』
『悪趣味ですね』
ともあれ、命の危険がないのなら良かった。
一息ついて、再び歩きはじめる。




