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雑談をしながら、俺の持っている地図を頼りに図書館へ向かっていた。住宅街を抜けると、辺りが田畑の大通りに出て、線路沿いに歩いていく。この気温、日差しを遮るものがない中で歩くのは少し辛いが、財布も持ってきたし、水分はそこらの店や自販機で買えばなんとかなるだろう。
ふと、向こう側の道で、少女が歩いているのが見えた。ふらふらと、足取りが覚束ない様子。今にも足をもつれさせて転んでしまいそうだ。
気づいた時には、条件反射のように体が動いていた。
車が多く、車道は突っ切れない。少し後ろの横断歩道で信号が点滅しているのを赤になるギリギリのところで渡りきり、少女に駆け寄った。
俺が声を掛けようとした瞬間、少女は身体から力が抜けたように、前のめりになって倒れこんできた。俺が身体を支えると、少女はひどく疲れたようなか細い声で、ありがとう、と呟いた。
目の下に大きなクマがある。目も充血してるし顔色も悪い。明らかに寝不足だ。大方、寝不足の状態でこの暑さの中歩いてきたものだから、体調を崩してしまったのだろう。とりあえず水分を飲ませて寝かせておけば大丈夫だと思うけど、ここで寝かせておくわけにもいかない。
洸太君と環ちゃんが追いついてきた。
「とりあえず、俺はこの子を家に連れて帰るから、図書館の方は頼むよ」
「わかりました。そっちの子は大丈夫そうですか?」
「うん。きっと寝て休んだらすぐに直るよ。気を付けてね」
「はい。中嶋先輩も気を付けて」




