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「皆、提案があるんだけど、いいかな」
視線が俺に集まった。
俺は、皆に図書館へ行こうと提案した。俺達が知らないこの世界のことを知ることができるから、と。
困っている少女うんぬんの話は伏せた。パラレルワールドに異ったなんて体験を現在進行形でしている皆ならば、もしかすると俺が語る神の存在を信じてくれるのかもしれないが、さすがに突飛すぎる話だ。それに、皆はこういう超常現象を初めて経験して、混乱しているはずだ。これ以上混乱させるようなことはしたくない。神のことを打ち明けるにしても、もう少し落ち着いた頃が望ましい。
「なら、二手に分かれたらどうかな?全員この世界での身分があるはずだから、身分証みたいなものを探して、自分がどんな職業に就いているのかとか、そういうのを知っておいた方が良いと思う」
「うん。それでいこう。俺は図書館に行ってくるから、舞依、俺のは任せていいかな」
「ええ、わかったわ」
「中嶋先輩、僕も行きます」
俺と環ちゃんの二人で行くつもりだったけど、別に一人くらいなら増えても問題ない。本人も行きたいと言っているわけだし、洸太君にも手伝ってもらおう。
「わかった。洸太君も一緒に行こう」
「じゃあ洸太君の身辺調査は私がやっておくよ」
「ありがとう芽依さん」
身辺調査……か。もう既に、この言葉を日常的に使っていた日々が懐かしく思えてくる。
「環ちゃんも来てもらっていいかな?」
「え、いや私は……」
「俺達には世界を異った経験がないから、環ちゃんに一緒にきてもらったら安心かなと思ったんだけど……」
「まあ、うん。わかった」
「舞依、環ちゃんの身辺調査も頼めるかな」
「わかったわ」
「じゃあ、解散。洸太君は支度が終わったらこの部屋に戻ってきてくれるかな」
「はい」




