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ナイフは僕の体に届かなかった。
一か八か、咄嗟に突き出した鞄に、ナイフが貫通している。刃は僕と鞄の間の数十センチで止まっている。もし違うところに鞄を構えていたら、筑波が違うところにナイフを刺そうとしていたら、或いは筑波の力がもう少し強かったら……。
生きてる!生きてる!生きてる!
でも、まだ安心してはいられない。筑波の抵抗に勝ち、鞄をナイフごとできるだけ遠くに放り投げることができた。
よし、これで──。
腹部に痛みが走った。その痛みがじわじわと強くなっていき、えずきながらその場に崩れ落ちた。
今朝から何も食べていないから、ただ空気を吐き出すばかりだ。
みぞおちを殴られたんだと遅まきながら理解した。
一回遠ざかっていった足音が、再び僕に近づいてくる。
ナイフを拾ったんだ。
──今度こそ本当に殺される。
周囲に人はいないし、邪魔をする人もいない。
とにかく動かないといけないと分かっていても、体がまだ言うことを聞かない。顔を上げることすらできず、蹲ってうめき声を上げるので精一杯だ。
僕の目の前で、足音が止まった




