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「起きてー!」
芽依さんの大声で、暗闇から僅かに意識が浮かび上がった。
「もう八時だよー!遅刻しちゃうよー!」
それが耳に入った瞬間飛び起きた。目も完全に覚めた。
しまった!
八時半までに教室に着かなければならない。そして、昨日はここを出てから教室まで三十分掛かった。
「先行ってて!」
「待ってるから急いで!」
朝食を食べる時間はない。寝癖を直す時間もない。とにかく速く制服に着替えて、部屋を出た。
駅までダッシュする。幸運なことに、一分と待たずに電車が来た。
この調子なら、駅から学校まで走ってなんとかギリギリ間に合いそうだ。
大きな川を渡る分、最初の一駅の区間が長い。早く駅に着いてくれと祈りながら、額の汗を拭って、息を整える。そんなことを祈っても、電車は時刻表通りに進むだけだとはわかっているけれど。
──昨夜の環さんの言葉が、いまだに頭の中でグルグルと回っている。昨日もそれで中々寝付けなかった。
微かに頭痛がする。完全に寝不足だ。
すし詰め状態の人の隙間から、朝日に反射してきらめく水面が見えた。




