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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
佐伯洸太
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23

僕達は倉地が言った廃墟に向かって行く。渡辺先生は、怪我をしているのか、若干左足を庇うように歩いているように見えた。

「ああ、そういえばまだ言ってなかったな。俺の超能力は百人力だ。比喩じゃなくて、文字通り百人分の力が出せる」

心強い能力だ。というよりアレはこの人一人に任せてしまって大丈夫かもしれない。

全身にみなぎっている筋肉は、能力によるものだろうか。それとも、鍛えて手に入れた自前の筋肉なのか。いずれにしても、この巨躯百人分の力が出せるのだとすれば、脚が悪くても余りある強さだろう。

「佐伯洸太です。超能力はテレパシーです」

「そうか。よろしく」

「よろしくお願いします」

しばらく無言で歩いていると、渡辺先生が口を開いた。

「……類は、やっぱり皆に避けられてるのか?」

抑揚なく、渡辺先生は言った。

どう答えようか迷ったけど、ありのまま、僕が感じたことを伝えた。

渡辺先生は大きなため息を一つ吐いた。

「そうかぁー。使い方によっちゃ危険な能力だもんなぁ」

渡辺先生の方も中々に危険な能力ではあると思うのだが。

「偏屈な奴だし誤解もされやすいが、悪い奴ではないから、できるだけ仲良くしてやってくれ」

「……はい」

悪い奴ではない──か。倉地は新井さんの能力のことや、このあと新井さん達が佐藤という生徒を襲うことを教えてくれた。倉地も事件を止めようとしていることは確かだろう。だとすれば悪い奴ではないのだろうけど、どうにも信用しきれない。

「あの、倉地とは親しいんですか?」

「実は、俺と倉地は反乱処理隊なんだ。と言っても俺は随分昔に辞めたんだが。住んでいる場所も近いし、まあそんな感じの縁だ」

反乱処理隊──監視隊とはまた別の組織で、名前の通り反乱を鎮圧する組織らしい。監視隊は国内の治安維持をしているのに対し、反乱処理隊は国外で反乱が起こった際の鎮圧に当たっているらしい。情報統制でもあるのかわからないけど、どこかで反乱が起きているという話は聞かないし、暴力事件を除けば街は争いとは無縁の平和そのものだ。だけど、渡辺先生なら戦闘員として、倉地は尋問役として有用な能力であることは間違いない。


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