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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
佐伯洸太
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16

目論見通り、早い時間の学校に人の気配はなかった。朝練をしている部活もないようだし、先生達も職員室にいるだろう。学校に着くやいなや、芽依さんは二年の教室がある三階へ、僕は一年の教室がある四階へと直行する。

僕の靴の音だけが廊下に響いている。

誰もいない。誰の目もない。そんな全能感を孕んだ開放感が、静寂と朝の心地よい空気の中込み上げてくる。

けれども、今はそれに酔いしれている場合ではない。

僕は一組から順に、座席表を見ていった。

途中何人かの生徒とすれ違ったりはしたものの、座席表をじっくり眺めているところを見られてはいないし、不審に思われてはいないはずだ。

生徒の数も段々と増え始めてくる中、自分のホームルーム教室に戻ると、芽依さんから無事にリストアップが完了したとメールがあった。こっちも終わったから放課後にまた会おう、とメールを返し、自分の席に着いた。

一息ついて、制服のポケットに入れてあったメモを取り出す。

調べたところ、犯行に使った可能性がある超能力を持っている

のは、三人。

中畑(なかはた)沙耶(さや) 人の視界から消える能力。

入地(いりち)美紀(みき) 人の印象に残らない能力。

倉地(くらち)(るい) 脳を操作する能力。

いずれも被害者に顔を見られずに犯行ができたり、記憶を曖昧にさせたりすることができそうな能力だ。

この中で調べやすいのは、僕と同じクラスの倉地類だ。昨日まで意識して彼を見ることはしていなかったけど、彼は基本的に一人でいた。それはそれで話しかけづらいというか、コンタクトが取りづらいというか──なんにせよまずは行動を観察することからだ。

……そうだ、もっと手っ取り早くて確実な手段がある。放課後にでも芽依さんに犯行現場や裏門の茂みに行ってもらって、そこで過去を見てもらえばいい。そうすれば誰が犯人かはすぐにわかる。

──ああ!馬鹿か僕は!無神経にも程がある!

ここ最近大変なことが立て続けに起きて芽依さんもかなり参ってるはずだ。そんなことはさせられない。


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