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洗い物をしていると、環ちゃんがおもむろに立ち上がった。
「ちょっと着替えるから、見たかったら見てもいいよ」
「そこは見るなって言うところじゃないんですか……」
「冗談だよ。君がそういう人じゃないってわかってるからこそ言える冗談。私の寝込みを襲ってくる気配とかもなかったし」
「そんなことしないよ」
「だね。警戒して損したよ」
「そんなに警戒されてるようには見えなかったけど?」
「まあ、私が君達を一方的に巻き込んじゃった以上、私から警戒心丸出しにするわけにもいかないし。それでも襲われたらしっかり返り討ちにしてたけどね」
「そういえば、着替えてるけどどこかに出かけるの?」
「あー、うん。ちょっとね。疲れてるだろうし、君は先に寝てていいよ」
「そうするよ」