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打ち合わせを済ませ、それぞれの配置につく。
俺は、渡辺先生と押し入れで待機することになった。
「中嶋さん達は、こことは違う世界からいらっしゃったと倉地から聞きました」
「ええ」
「尋ねてもいいですか?」
「はい」
「そちらの世界の戦争は、どうなりました?」
「……俺達の世界には、神石がありませんでした。なので、日本はそのまま……」
「そうですか」
暗闇の中、大きな影がどこかうれしそうに頷いた。
「そちらの世界は平和ですか?」
「……平和とは言えないです。俺の住んでいる国は戦争とかもなく比較的平和ですけれど、それでも小さな諍いはありますし、他の国では戦争や紛争が日常になっている国もあって……」
「なるほど。どこの世界でもそう変わらんということですな……」
「神石は……存在しない方が良かったと思いますか?」
「……倉地から聞きました。過去を変えて、神石をなかったことにする方法があるそうですね」
「……はい」