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「それと、もう一つ」
「なんでしょうか」
「これは、あくまで可能性の話なんだけど──過去を変えると、当然未来も変わる。この場合、神石が落ちた時点からの未来が変わってしまうと、現在も変わってしまう。──今この世界で生きている人々の存在がなくなってしまうかもしれない。あくまでそうなってしまう可能性があるっていう話なんだけど……」
「……その可能性はありえますね。ですが、たとえそうなってしまったとしても構いません。あんな結末を迎える世界が、良い世界であるはずがない」
倉地君の目には燃えたぎるような熱意が宿っていた。
倉地君は環ちゃんの記憶から、この世界の未来を見た。その未来が──彼の今後の人生が──どれだけ壮絶なものだったのかをその目は語っていた。