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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
中嶋優
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『おまたせ。いや、ここは失礼するよと言ってからすぐの地点だから、君の体感では全く待ってないのか』

『来訪者とやらの応対はもう大丈夫なんですか?』

『うん。彼はもう消滅したからね。……ああ、誤解しないでくれよ。向こうが敵対的だったから、こちらもやむなく戦うしかなかったんだ。別に好きでこんなことしてるわけじゃないさ。たまにいるんだよ。この星を奪いに来る奴らが。まったく迷惑極まりないね』

この星を奪いに来る?

『そう。この星をさ。さて、どこから説明したものか……。僕達は星に最初の生命が誕生すると同時に生まれ、その星の神になる。神は自分の星の法則を自由に創り出したり、書き換えたりすることができる。ただし、宇宙全体の法則に関しては干渉できない』

『宇宙全体の法則?』

『僕達が星に最初の生命が誕生するのと同時に生まれることとか、数を増やすというプログラムが君達の本能として刻み込まれていることとか、その星の生命の数が神の強さに直結することとか、ね』

なるほど。その星の生命の数が神の強さに直結する──神の強さというのがどういうものいまいちわからないが、納得はできる。

だからあのときわざわざ介入しに来たのだ。以前、神はあのままあの計画が成功していたら人類が滅んでいたというようなことを言っていた。人間が滅ぶとなると、地球上の生物の総数が大きく減ってしまい、神の強さも弱まってしまう。それを忌避したからあのとき介入しに来たのだとすれば、納得がいく。

『その通り。察しがいいね。ちなみに、自分の星の生物が一度絶滅してしまったら、神は力を失う。星の法則に干渉できなくなるし、二度とその星に新たな生命が誕生することもなくなる。そうなった神がどうするかわかるかい?』

『まだ生物がいる他の星の神になろうとする……とか?』

『正解。それがさっきの来訪者さ。まあ、そうして攻め込んでくる奴は決まって自分の星の生物が絶滅してしまった奴だから、弱いし対処は簡単だ。自分の星の生物が生きているのに他の星にも手を出そうとする奴は滅多にいない。君達は繁殖するという本能があるが、神は子孫を残したいという本能も生殖能力も持たない。その代わり、僕達にはできるだけ多くの生命が存在する星の神になりたいという本能があるのさ』

『今は大丈夫なんですか?』

『見張りはあいつに任せているからね。問題ないさ』

『あいつ……とは?』

『私の従者だよ。どうやら、私が生まれたのと同時に生まれたらしくてね。神に仕えるのが役目らしい。まあ、神の力が使えないから見張りくらいしか役に立たないんだけどね。……おっと、そろそろ目的地に着くみたいだね。じゃあ、健闘を祈っておくよ』

そろそろ着くらしい。アパートとはそれほど遠くないようだ。


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