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午後七時過ぎ。通り魔事件について調べ物をしに図書館へ寄ってから家に帰ると、環ちゃんが出迎えてくれた。
「おかえなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも私?」
……どう答えたものか。
「環ちゃんにはまだ早いよ。あと、その言葉は軽々しく言っちゃだめだからね」
そう言うと、環ちゃんは急に怪訝そうな表情になった。
「……まさか、本気で私の実年齢が子どもだと思ってる?」
「いや、さすがにそれはないよ。環ちゃんはしっかりしているし、俺達と最初に会ったあの時の見た目が実年齢と同じだとは思わないよ」
「でも、私に対する接し方が子どもに対しての接し方じゃない?」
「確かにそうかも。接し方としては、芽依ちゃんに近い感じかな?」
少なからず第一印象の姿に引っ張られてしまっていることは否定できない。
環ちゃんは大きなため息を吐いた。
「あのねぇ……。私、あなたよりも全然年上だからね?」
「えっ、そうだったの!?……ですか?」
「別に敬語とかは使わなくていいんだけどね。ただ子ども扱いされるとやりづらいっていうか、そんな感じだからさ」
「すみません……」
「だから敬語じゃなくていいって言ってるでしょ!オッケー?」
「オ、オッケー……」