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Judgment Mythologies  作者: 篠山 翔
佐伯洸太
11/159

10

放課後、僕は芽依さんとの待ち合わせ場所である校門へ向かっていた。

担任の真中先生から何か部活に入らないかと誘われたけど、いつ元の世界に帰るかも分からない中、軽々しく部活に入るわけにはいかなかった。

階段を降りて正面玄関に行くと、壁際に十人程の人だかりができていた。皆一様に壁新聞を見ていた。

内容が気になったので、僕もその人だかりの一部になることにした。

『強盗事件発生!同一犯か!?』という見出しが大きく載っている。

記事を読んだところ、今年度に入ってから、この近辺で強盗事件が多発しているらしい。被害者は中高生で、手口は路地裏等の人気の少ない場所に連れていき、複数人で暴行を加えた後、金品を強奪するといったものらしい。卑劣な手口だが、注目すべきはそこではない。被害者が間近で見たはずの加害者の顔を、誰一人として思い出せないというのだ。だからこそ、犯人一味は捕まることなく犯行を続けている。犯人の顔を思い出せないということは、他人の記憶を消させるような能力を持っている者が犯人の中にいるのだろうか。

「洸太くん」

後ろから芽依さんに声を掛けられた。

「あ、芽依さん。初日はどうだった?」

「まあまあ、かな。皆優しかったから、クラスにはすぐに馴染めたよ」

すぐに馴染めたのは周りではなく芽依さんの方に要因があるのではないかと思うけど。

「洸太君は?」

「ぼちぼちかな……」

苦笑いする僕に、芽依さんは励ましの言葉を掛けてくれた。嬉しくはあるが、少し悲しくもあった。

「ところで、何見てたの?」

「壁新聞。最近強盗事件が多くて、犯人も捕まってないらしいって」

「……怖いね」

ぎこちなく、芽依さんは笑った。

僕達は人ごみから離れ、靴箱の方へ歩いて行った。


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