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「なるほど。つまりその超能力を使えば、環ちゃんの失くした記憶を取り戻せる?」
「確約はできないです。記憶喪失にもいろいろなパターンがあるので」
「余計なお世話だって思うんなら断ってくれても構わないし、類の超能力は使い方を誤れば危険だから──まあ、類はミスなんてしないけれど、信用できないっていうのであれば、断ってくれても構わないわ」
「お願い、やって」
即答だった。
倉地君は座っている環ちゃんの頭に手を乗せると、目を閉じた。
全員でそれを見つめていた。緊張感が張り詰める中、閉じた二人の目から涙が流れてきた。二人は目を開けて、お互いを見つめ合う。
「パパ……」
環ちゃんが呟いた。