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雪が消した遠吠え  作者: 海が好き
第二章 戦場での戦い編
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地獄の始まり1

 最悪の目覚めだった…地面で寝るのとほとんど変わらない藁や麦で作られたベットで寝たせいか、全身がひどく痛む…おまけに夜には魔族が襲撃してきて見張りの兵士にたたき起こされた…まずは羽毛をまとった魔物を殺してベットつくりからだな・・・じゃないとあんな環境で寝れるわけがない。

 俺は朝起きて近くの川で飲み水の調達と顔を洗いに行った…そこにはすでにホウサンズがいて顔を洗っていた。


 (・・・顔色悪いな……お前も寝れなかったんだろ?)


 (・・・あんな硬いところで寝れるわけがないだろ…俺は普段超高級羽毛布団で寝てるからな・・・)


 (そういえば昨日の夜に魔物の襲撃があって食糧庫にあったの全部燃えたらしいぞ・・・)


 (・・・噓だろ……こんなとこに食える物なんか生えてないぞ)


 (・・・安心しろ…昨日の魔物がまだ残っている)


 (だから!…俺は魔物なんか絶対に食わないからな)


 (・・・じゃあ我慢するしかないな…次に補給が来るのは一週間後か二週間後らしいぞ)


 (・・・我慢してやる!)


 (けどまぁ…ここら辺なら野生の生物がたくさんいるかもな・・・魔物とセットでな)


 可哀そうになってきたので、一応言っておいた・・・するとホウサンズは覚悟を決めたような顔になってこちらを向いている・・・。


 (・・・行くぞ…)


 (あ?・・・どこに行くんだよ?)


 (あっちだ・・・)


 そしてホウサンズの指さす方向はデアマテ森・・・魔物たちがうじゃうじゃいる危険地帯だった。

 あっちの方はまだ補給路や攻略ルートが確立されていないのでここに長いこといる兵士や冒険者達も近づかない未開の土地だった。


 (・・・あっちはまだヤバいだろ……朝飯探しに言ったら俺達が朝飯にされるかもしれねーぞ)


 一応止めておいた・・・戦場では情報の少ない場所ほど危険なところはない・・・昔、親父と一緒にボカ・デ・ルポに出現した上級魔族を狩りに行った時に地図にないルートで進み、あやうく魔族に殺されかけたことがある…その時に親父は怪我をして後遺症が残り…今も全力で剣を振れずにいる。


 (・・・いや…もう無理だ…いずれあの前哨基地では食料の取り合いになるはず…そうなればあそこは地獄に変わるはずだ……だから君と俺が協力して先に食料を確保しておこう…狩ったのは保存食にしていつでも食べれるようにするんだ・・・そうすれば、あそこにいる奴らと一緒に犬死せずに済む・・・)


 俺は止めようとしたが…たしかにホウサンズの言う通りだ・・・あそこにいる奴らは元々王国から送られた犯罪者ばかりだ・・・それに上にいる奴らは自分の事で精一杯…おそらく自分たちの食料はどこかに隠してある可能性が高い…元々俺達は寄せ集めの集団に過ぎない・・・もしも訓練された知能の高い魔族にでも出会えば…俺でさえもどうなるかわからん・・・俺は悩んだ末にホウサンズの言う通りデアマテ森に潜ることにした。


 (・・・暗いな…ここら辺は俺の住んでいた場所の森によく似ている…高い木がたくさんあって…その上から魔物が襲ってくる…)


 (物騒なこと言わないでくれよ…君の言ったとおりにでもなったらどうするんだ!)


 (・・・まぁ…大丈夫じゃね)


 俺は適当な返事を返した・・・ホウサンズはいつでも魔法を使えるように杖をしっかりと握っている。

 俺達ホルケウ家は生まれつき鼻と耳が良く利く…なので敵の探知はかなり得意だ…念のため常に魔力を地面に流していつでも魔物や生物を探知できるようにしている…にしても俺は杖を使ったことがない…ていうか杖が高すぎて買えなかったので常に杖なしの状態で魔法を使っていた…杖があれば魔法を出すときに対象に狙いを定められるし、魔力の消費量を抑えられるらしい……けど俺は手が塞がるのが嫌だったので右手に小型ナイフ…左手には魔法を出せるように常に何も持たない状態を維持している。


 (・・・早速か…おいホウサンズ!いつでも魔法を出せるように準備しとけ!俺の魔力探知に何か引っかかった・・・この振動は…魔物だ!…六時の方向からデカいのが来るぞ)


 (お願いします神様どうか最後に死ぬ前に朝ご飯だけでも食べさせてください!)


 目の前から蛇のような巨大な魔物がものすごいスピードでこちらに向かってきた。


 (来るぞ!?・・・避けろ!)


 俺とホウサンズは何とか魔物の攻撃を避けることに成功した…ホウサンズは魔法を発動して空に飛び魔物の攻撃を引き寄せた…俺は(トスタ・テント《透明になる魔法》)を使い魔物の周りにトラップ魔法を大量に仕掛けてその場を離れた・・・そして魔物は次々とトラップ魔法にかかり…体を爆風が焼いていった…魔物はあまりの苦しさその場に倒れて先程は高い位置にあった頭を地面に下した・・・俺はそのチャンスを逃さずにナイフに自家製の猛毒を塗り魔物の頭にナイフを突き刺した・・・魔物は猛毒の苦しさでその場でのたうち回り、しばらくして動かなくなった・・・。


 (・・・何とかなったな…にしてもこいつデカすぎだろ…もしかしたら本当に俺達がこいつの朝飯になってたかもしれねーな……てかこいつの素材…もしかしたら有効活用できるかもしれん)


 (・・・もしかして……食べるのかい?……こいつ見た目は蛇だし正直食えるかわからんだろ)


 (いや、食べるのもいいかもな…けどこいつの牙…やっぱりな……毒が出てやがる……加工すればかなり強力な毒武器を作れるかもしれねーな)


 (これだけ大きな奴だし…かなり強力な毒をもってるはずだよ…確かにそのアイデアはいいね)


 そして俺達はこの巨大な蛇のような魔物の牙を抜いて持って帰った……そして俺達は真の目的である食える生物を探して歩いていた……すると川を見つけた…朝俺達が顔を洗った時に使った川の上流になるだろう…水の位置は重要になる…俺は森に入ってからずっとマップを書いていたのでそのマップに川の位置を書いていつでも来れるようにしておいた…そしてしばらく川に沿って歩いていると川の激流の部分に魚がいるのを見つけた…ホウサンズは泳いでいる魚を取ってこちらに持ってきた。


 (大量だぞ!これなら一週間以上は持つはずだ!…ところでなんだけど…魚の捌き方って知ってる?)


 (・・・わかった…俺がしておく、魚なら保存もできるはずだ…とりあえず内臓だけ取り出して持ってきた塩を使って保存食を作ろう)


 魚を捌いて保存食を作り持って帰ることにした……そしてその保存食を隠しておくことにした…しばらく歩いていると森を出ることに成功した…森を出てしばらく歩くと…なにやら様子がおかしいことに気が付いた・・・前哨基地の方で煙が上がっている!……俺達は急いで前哨基地の方に戻ることにした。


 (・・・どうなってんだよ…これマジか)


 前哨基地は爆撃されたのか…ところどころに爆発の跡が見られた……建物は焼き払われて死体が転がっている…もしかしたら空から爆撃でもしてくる魔物でもいるのか?


 (この爆発痕・・・あいつら爆弾とか自分達で作れんのかよ?…にしても仮に爆弾を作れる魔族がいたとしたら…かなり厄介だな壁の向こうから空を飛んでこっちに来て…後は爆撃するだけ…おそらく魔物の中にかなり知能の高い奴……上位種が存在するかもしれねーぞ)


 (・・・上位種ってなんなんだ?もしかして人型の魔族の事か?)


 (いや…けど少し違う…魔族は一般的に人型に近いほど強力になっていく傾向が強いらしい・・・だが…その中にも人語を操る奴らも存在する…例えば…人間とのハーフ…王国で生まれた魔族とのハーフは一般的に女の魔族と人間の男のパターンが多いだろ?…あれも大抵は捕虜にされた女の魔族が人間の男とヤッてできるパターンが多い…けど攫われた人間の女性とのハーフなら…完全に魔族側に適応してるからな…かなり脅威になるはずだ・・・)


 (つまり逆パターンか・・・人語を操れるならスパイとして潜り込めるし…知能の低い魔物を裏から操って攻撃してくる可能性もあるな…それなら爆弾を使って攻撃してくることもできる・・・)


 (・・・けどおかしいな……死体の数が少ない…死体を持ってかれたのか?…いや違う…あいつらは生きてる人間しか興味がないはず…だとしたら…もしかしたら捕虜として連れてかれたのか?・・・そうだとしたら何のためにだ?)


 (もしそうだとしたらマズいんじゃないのか…だって捕虜の中には拷問されて情報を吐く奴もいるかもしれねーし…その…お前が言ってた上位種の製造のために人間の男を使われたら厄介な奴の数が増えちまうだろ……魔族の男は生殖力は人間よりも高くはないからな……欲望の深さなら人間の方が断然・・・)


 (どっちにヤバいことにはかわらん…面倒だが生きてる奴らもいるかもしれんしな……壁の向こうに行くしかないだろ…)


 (けど壁の向こうについて書かれた地図がないし…どうやって連れてかれた奴ら探すんだよ?)


 (それなら大丈夫だ…急ごうぜ…遠くに行かれたらさすがにキツイ)


 そして俺達は壁の向こう側に行くことにした…こちら側のことは本来今日教えてもらうはずだったんだが…まぁどうにかなるだろ・・・。


 (・・・こっちの方は寒いな…常に雪が降ってやがる…ところでなんだがどうやって連れてかれた奴探し出すんだよ?・・・もしかして俺の飛行魔法でか?)


 (ここで飛行魔法なんか使ったら空にいる魔族の餌になるだけだろ…地上を地道に歩いていく方が百倍安全だ…それに俺は鼻が利くからな・・・こっちだ…かすかにだが匂いが残っている…それに魔族の匂いがかなりするな・・・これは数も多いな…すこし先頭になるかもしれんぞ)


 (・・・そのさ…お前さっきから魔族魔族って言ってるけどよ…魔族ってヤバいことは知ってんだけどどんなところがヤバいんだよ?)


 (魔族にやばいところは…まぁ、まず人型だからな…頭がいい奴が多い…それと魔力が生まれつき多い奴が多い…あとは人間に恨みを持ってるやつが多い…あいつらはあっちの方で育てられたからな…完全に思想とかも染められてるパターンが多いだろ…けど人間界にいる魔族とかはこっちで育った奴が多いから倫理観とかそこらへんはしっかりしてるやつが多い…噂程度で聞いたことがあるが俺達は壁の向こうについてよくわかっていないだろ?…壁の向こうには魔族がくらす王国が存在するんだとよ…壁も魔族の王国からの進行を止めるために初代勇者たちによって造られたらしいしな…案外俺達の暮らしと大差ないのかもしれんしな……けど知らない奴らってのは人間無知だから恐れちまう…)


 (・・・たしかに…ところでなんだが何で魔族ってのはあんなに美男美女が多いんだ?俺の家とライバル関係にあたる奴らも魔族とのハーフだからか知らんが美男美女ぞろいでビビったよ)


 (・・・それは俺にもわからん…けどあいつらはその容姿を使って人間の男を誘ってくる)


 (俺さ…人間と魔族ってホントに分かり合えないもんなのかって思うんだよ…あいつらと分かり合えないのも殺し合いばっかしてるからだろ…勇者の時代には戦争が終わった後に、しばらく仲良く暮らしてたらしいじゃないか…今王国に住んでる魔族もその時に移住してきた奴らの子孫ってパターンが多いしな)


 (分かり合えたらそもそも殺し合いなんかしないだろ…あいつらとは信仰している宗教・食べ物・政治制度・好み・・・あいつらと違うとこなんて比べたらきりがないだろ・・・けど俺は魔族の女好きだぜ…昔ガキの頃に魔族の女と少し話したことがあったんだ・・・そいつは俺と同じぐらいの年でよ…お互い人間とか…魔族とか気にせずに遊んでたんだ…今思えばそいつが俺の初恋だったのかもな…あいつ…今何してんだろな…)


 (なんだよ…お前女だったら誰でもいいって感じだったのにさ…急にしっかりした理由出てくるの辞めてくれよ・・・けど魔族の女っていいよな…魔族ってさ…女でも俺らより少しデカいぐらいでよ…男だったらもっとデカいんだが…あの綺麗な顔と体は正直エロいよな・・・)


 (まぁ俺も童貞捨てたのは魔族の女だからな…あれを一回経験しちまったらもう人間の女にはもどれねねーぜ…今でもたまに思い出すし・・・)


 しばらく年相応のアホな会話をしながら歩いていると・・・俺の魔力に少し反応が起きた。

 

 (・・・おい…そろそろあいつらと近くになるかもしれねーぞ…ここからは絶対に油断も隙も見せるなよ・・・相手は魔族だ…俺達とは異なる魔法を使ってくる…ヤバくなったら俺のことは捨てて逃げろ)


 (・・・わかった…けど俺達ダチだろ…お前と会ってあんまりまだ時間経ってないけどよ…俺はお前のこと見捨てて逃げるようなマヌケじゃないからな…ベンヌ家長男として…敵の前で逃げるようなダサい真似はしないからよ・・・)


 (さっきまでは魔物にビビり散らかしてたクセによ・・・まぁ絶対に生き残るぞ!)


 そして俺は自分の魔力探知の範囲にいる魔族の行動パターンを予測して先回りすることにした。

 

 (・・・いたぞ!……近距離戦は俺に任せてくれ…お前は間違って兵士たちに魔法が当たらないように俺に魔法で援護を頼む・・・)


 (わかった…気をつけろよ)


 俺は自身を透明化する魔法(トスタ・テント《透明になる魔法》)を使い敵の背後に回った・・・そして持ってきた死んだ味方の死体に俺が開発した魔法をかける・・・。


 (・・・リアンケ・リアモズ《死者の冒涜》・・・)


 魔法をかけると俺そっくりの人形に生まれ変わりその人形に自身の魔力を与えることでさらに強力な対魔族戦用人形が完成した・・・人形は俺の行動・言動・魔法を全てコピーした完璧な存在になる。


 (・・・俺があいつらを後ろから毒で殺す…お前は前線でおとりになってくれ……)


 (・・・わかった…頑張れよ俺!)


 そして俺の作った人形は魔族たちの前にわざと堂々と現れて、魔族たちの注意を引き付ける・・・ホウサンズは人形に気を取られている魔族を遠距離魔法で狙う・・・。


 (・・・ランデ・クラボウ《カラスの刀羽》・・・)


 魔力で作られた黒い羽から鋭いナイフのような羽が飛ばされて魔族達を串刺しにしていく・・・。

 魔力で作られた俺の人形はナイフで魔族と近距離戦闘をしている・・・俺の人形が持っているナイフは朝狩ってきた蛇のような魔物の毒牙から抽出し、俺が調合した猛毒が塗ってあり少し当たるだけでも致命傷になる・・・俺の人形は魔族の攻撃を避けながら積極的に突っ込んでいく・・・そして残り二体となり俺の人形は魔族の魔法に当たり体がバラバラに飛び散った…しかし殺される瞬間に毒付きナイフを投擲して魔族の胸にそれが突き刺さった…そして魔族は毒で苦しみ……動かなくなった・・・生き残った魔族は顔色を変えて必死に逃げようとするが俺が透明になり、事前に仕掛けておいたトラップ魔法(拘束タイプ)に引っ掛かり体に魔力で作られた鎖が絡まり動けずにいた・・・俺はその魔族を尋問することにした。


 (やったかマーナガルム!…最後の一匹をわざと殺さなかったのは尋問の為か?)


 (・・・あぁ…こいつらは魔族側の情報を持っているはずだ…これ以上の犠牲を増やさないためにもここで、敵の情報を仕入れておかないとな・・・)


 (近寄るな人間!・・・私は同胞達のことを売ったりはしない!…貴様達、人間のようなゲスなことはしない!)


 (戦場でゲスとかどうとかどうでもいいんだよ…てかお前ら魔族にも同族意識みたいなのがあるんだなやっぱり…昔本で読んだことがあるが…魔族は人間のように、それぞれの家族の為に行動するのではなく自分たちの種族の存続のために全体で行動するらしいじゃないか・・・随分と俺達人間様よりも高尚な考えをお持ちのみたいで・・・)


 (貴様ら人間は自分達の果てしない欲望のためならどんなことだってすることは知っている!だからお前たちのようにクズには成り下がらない!死んでいった仲間たちのためにも・・・絶対に私はお前達人間には屈しない!)


 (・・・強気でいられるのも今のうちだけだろ・・・俺はお前たちに聞きたいことがあってよ…ずっと気になってたんだが…お前たちはいったいどこから来るんだ?・・・何か俺達のように王国みたいなとこに住んでて…そこで暮らしてるとかそんな感じか?)


 (・・・言わない…)


 (・・・まぁこのまま痛めつけて情報吐かせるのもいいけどよ…俺はそんな残忍なことはしたくないからな…こう見えても意外と’’人道的’’なんだよ・・・)


 (貴様らの言う’’人道的’’とはいったいなんなんだよ!私達はただ・・・ただ暮らしていきたいだけなのに・・・なんでそんなにひどいことができるんだ!・・・私達魔族が一体何をしたって言うんだよ!)


 (・・・お前らだって俺達のこと殺してくるだろが…お前らが何もしなかったらそもそもな…殺し合いなんかしてないだろが…お前ら魔族は壁を乗り越えてきては俺達の住むとこに攻撃してき・・・)


 (お前たちの住んでいる土地は元々私たちの住んでいた土地だ!・・・なのにお前達は・・・暴力で全てを・・・家族を奪っていった・・・お前達は自分達が見てきたもの・信じるもの・食べるものだってそうだ!…自分達とは違うものを存在しないようなものとして・・・差別して・・・ただの生物として扱う…お前達の世界に存在する物全てが文明の極みなのか!?…もしそうだと考えるのなら私はお前達を殺し続けて…復讐する…死んだ仲間の為にも…)


 (・・・偉く熱く語ってくれるな…正直感動した…けどな、俺はお前達の文明みたいなもんに興味もあるぜ…例えば俺は魔族の女が好きだ!なんでかって?それは最高だからだよ……だが悲しいことにな…ただ俺達は見たことがないものを恐れるんだ・・・普通見たことないものなんて怖いだろ…だからさ…見せてくれよ…)


 会話の途中に魔族の女という言葉が出た瞬間に一瞬だがこの女魔族が俺を恐れるような…怖がっている様な行動を見せた・・・もしかしたら過去に人間の男にトラウマでもあるのかもしれない…俺はそこを突いて尋問を続けた・・・。


 (・・・綺麗だ)


 (は!?この期に及んで散々私達を殺しておきながら’’綺麗だ’’と?ふざけるのも大概にしろよ!)


 必死に自分をデカく見せるような発言をしているが…おそらくその行動は恐怖から来るものだ。


 (いや…純粋に綺麗だと思ったから言っただけだよ・・・どうした…どうした…そんなに過剰に反応して…もしかして…なにか過去にトラウマみたいな・・・)


 (殺す!絶対に殺してやる!私に触れたらお前の手を嚙み千切ってやる!私はもう昔とは違う・・・)


 (その過剰な反応・・・お前過去に人間の男に何かされたな?……例えば…言わなくてもわかるだろ)


 (ッ!?・・・)


 (これは警告だ・・・お前もこれ以上の殺し合いはしたくないだろ…お前が全部言えば楽に終わることなんだ……もし無理だというのなら・・・)


 そう言って俺は自分のズボンを止めているボタンをはずし始めた・・・するとさっきのような強気の姿勢はどこかに行き…女魔族はひどく怯えだした…涙を流しながら・・・。


 (嫌だ・・・お父さん…お母さん…助けて…もう痛いのはイヤだよ・・・)


 (・・・いいね…そっちの方が興奮するよ!俺も優しくするからさ・・・)


 (なぁ…マーナガルム…少し可哀そうだ・・・)


 俺だって本当はこういう事はしたくなかった・・・彼女の心の傷をえぐるような最悪な行為だけはしたくないのだが…しかし彼女は俺の警告を無視した・・・彼女の肌に触れようとした瞬間に・・・急に爆発が起きて、俺とホウサンズと救出した兵士は吹き飛ばされた・・・。


 (あ・・・やば…もしかして人間だった?)

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