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メイドと書いて王子と読む!!  作者: E/MA
ふたりの早朝
2/3

プロローグ:とあるメイドの終わり

 私が見ているのは、なんなのだろうか。今、私の目の前では、豪華な城(?)が、燃えている。


 わたしにとって大事なものの気がするのに、何の感情も湧いてこない。心臓は脈打つのに、頭はすこぶる冷たくて……それに体が動かない。動かないのでは仕方がない。私は火が荒ぶるのをただ見ているしかない。


 沢山の人が前から背中へと流れていく。城の使用人たちだろうか。全てを置いて逃げようと、目には恐怖のみが映っている。


 ふと、声が聞こえる。目の前の身分の高そうな女性が、わたしに向かって「あなたしかいない」と話しかけてくる。でもこの人の声は届いてない。それでも、それを聞いて、一目散にわたしは走る。


 わたしは必死に人を躱して、人の流れから逸れて、女のわたしには重そうな扉を開ける。見た目よりよほど重かった。そうして初めて、声の正体に気付く。そして火の手が届いていないことに安堵し、躊躇せずに、踏み切った。



 ―――ア……イ…しいソのオ…おが……かキずツき…せンヨウに……タ…シはアナ………を、コ…ロの……から……っておりますから…―――



 わたしの声がやけに高い。火と煙で喉がいかれたか?そんな疑問も今はどうでもいいか。


 わたしは戻って廊下の装飾に使われた棺桶を引き剝がした。再び部屋に戻り、小さな小さな命をそっと押し込んで、腕の筋肉が千切れる感覚を覚えながら、歯を砕けるほど噛みしめながら、必死に棺桶を投げた。そのまま棺桶が窓を突き破り、地へと落ちていった。

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