お守り
フィクションは既存の団体や人物、地名と関係ありません、この物語は?
東京住んでみたいなぁ、と思う今日この頃です
誰にも見つからない様に速やかに地形を確認していく
ここは東京都調布市と呼ばれる場所で、江戸の名前が変わったらしいのだが、地形を知れば知るほど訳がわからなくなる。
家の形も色も何もかもが変だ
探索していた樋口の目に留まったのは、広い土地に謎の構造物が飾られた公園
(ここなら…)
いくつか木の棒を回収して帰宅した
――。時は戻り江戸の角
「大将」
「薺か、」
真面目そうな、ショートカットの男性風の女性が立っていた
『中将 小林川薺』
「報告します」
「結論から言え」
「…ありませんでした」
「…続けろ」
「我が隊と木原隊を総動員し捜索に当てましたが、遺体はおろか、血液の一滴も残っておりませんでした、さらに…着地していた跡も無く、瞬間移動の線も考え捜索範囲を拡大しようと思うのですが…いかがいたしましょう」
「いや、必要ない…速石を呼べ」
「はっ」
(………)
―数分後
「連れてきました」
「石火ただいま参上いたしました‼︎」
『少将 速石桂』
キチッとした敬礼で前に現れたのは、少し小柄で活発な印象を受ける男性だ
「奴を連れてこい」
「…はい?」
唐突に意味のわからない命令にたじろいだ
「時宗の奴を」
―「……と言う事がありまして呼びに参りました」
ここは日ノ本の最北端の陸奥、江戸からかなり遠い距離だが、飛脚出身の彼は 整備されていない道をもろともせず、1日で到着した
「嫌だ…と言ったら?」
『髭の生えた 田村時宗』
そう確かめる様な問いは怪しい風貌も相まって、圧力を増す
あらかじめ伝えられた事を伝えた
「そうですか…残念です…ではまた」
「って、おいおい、俺を呼びに来たんだろ?」
「その…嫌なら連れてこなくても良いとの事なので…」
「あいつ……わがったよ、連れていけ」
彼は悲しそうだった
―命令から3日
「連れてきました」
「早速だが飛び降りるぞ」
かなりアホそうなセリフを真面目な顔をして言う大将が居るのは、侍を追い詰めた崖である
「俺を呼んだということは時代を越えるのか?」
「あぁ、手段がお前しかいなければ呼ぶしか無いだろ」
「確認だよ、急に死刑なんざまっぴらごめんだらな」
「貴様は認識できる時代には好きに行けるんだよな?」
「あぁはるか昔に飛んで死にかけたことがある」
「そして、歪んだ時空に入ることもできる…」
確信しているのか、強気な口調で問い詰める
「あぁ一度物体が自動で動く時代に飛んだことがあるが、あまりいいもんでは無いぞ…数日居るだけで体調が悪くなる」
「ちょっと待ってください!行った先で奴らが生きているとは限らないですよね?」
薺は、止めようとして言った
「いや、奴は生きている…勘だがな」
「勘って…」
「行って戻ってくるだけだ、」
「何故です?何故そこまで」
「一つは政府の命令だ、危険因子の徹底排除、生きている可能性があるなら消してこいって言うのと、何より気持ち悪いからな…生きている可能性がある時点で」
「そんなこと…我々には関係ないでしょう!」
「飛ぶのは私と薺と時宗の3人だ、万が一の事があれば、時宗に遺書を渡し一人で帰還してもらう」
「お気をつけて…私もですか!?」
説明を終え崖の先に立つ、そして――
――。
レンと言う名前は、男と聞いた飛鳥が無難に名付けた
そして一人称も我だと変と言って僕に矯正した
「ただいま。」
ドアを開けて帰宅した飛鳥が目にしたのは、テレビの周りをウロウロしたりペタペタ触ったりするレンの姿だった
「………何してんの?」
「あ、おかえり」
こちらに気づき挨拶をして今の状況を説明をする
「これを間違えて押したら急に箱から人が現れてしまって意味のわからない事をずっと喋っているのだ、しかしこちらの問いには何一つ答えぬ」
(あぁお約束の)
と思いながらも某ウィキペディアの様な説明をかます
「なるほどぉ…」
『続いてのニュースです。港区で神隠し事件が発生しました、今回被害を訴えるのは捜索依頼が出されていた20代の女性で、帰宅途中に襲われてから数日間の記憶がないと供述しており、同じ被害も、これで7件目です。いずれも20代から30代の若い女性ばかり狙った犯行で、外傷は無い物の、現在も警戒を続けているとの事です…速報です、東京都で震度三の地震が発生しましました』
「揺れたね」
「そうだな…」
他愛もない会話を挟む
「あすか殿」
「なに?」
「気を削る何かと、裁縫するものが必要なのだが…」
「木を削る?あぁ、玄関の?」
「そうだ」
「裁縫は何するんだ?」
「秘密だ」
「たしかこの辺に…」
押入れの一番下の小さい箱を取り出した
「中学の時に買わされた裁縫箱と、彫刻刀、母が裁縫好きだったからって、何故か持ってたんだ」
「私の母上もよく服を縫ってくれたんだ…」
(しんみり)
「あ、削るならこの上で削れよ、汚れるから」
「もう遅い」
「だあぁ!待て待て待て!」
作業を暫く眺める
(木を削って小さい直方体にして何が刻み込んでる…
羽織ってた布を?切った!縫った!)
「これを持っていて欲しい」
「お守り?」
「そうだ、厄災から飛鳥を守ってくれよう」
「ありがと、貰っておくよ」
「…」
「どうした?」
胸を押さえて少し苦しそうにする
「なんでもない」
「じゃじゃーん教科書!持ち腐れで困ってたらしいからすんなりくれました!」
「かた、ありがとう」
「…」「…」
「今度新宿で買い物にでも行っか!」
「本当に…ありがとう…」
「大丈夫、大丈夫だから、泣かないで」
「うん…よし!じゃあ続きを始めるよ」
「えっ、一つじゃないの?」
流石に飛鳥は眠り始めた
ご愛読ありがとうございました
ここまで一気読みは無いと思いますが、一旦休憩を挟みましょう?
小噺
樋口は、母親の刺繍を見て真似しているだけなので、下手ですが、基礎は出来ています。
目が良いと覚えるのが早いと言いますし、戦闘センスが高いのは、戦場や兄弟子の稽古を多く見てきたからでしょう