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キルブレ  作者: 山麓
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二つの起句

大体完成したので、少しずつ投稿していこうと思います。

物語の結が出来ているので、伏線が増える、もしくは少し変更される場合があるのでご了承ください

本文4000字程度を意識して話を区切ってますので大体10分くらいあれば読み終わると思います。

そんな第一話は二人主人公の「過去」です、0話ですね、2話から本編に入るので、お楽しみに^_^

1869年、某日、戊辰戦争終了後――

 侍と呼ばれる超人種の力を嫌った新政府軍は、侍の血を飲ませ続け、順応し育てた―武者―と呼ばれる人種の部隊を送り込み、侍を根絶やしにする計画を実行した。

 侍狩り開始から数日、殆どの侍の住む村は一人残らず殺され、焼かれた。侍と呼ばれる超人種は、今、終わろうとしていた。最後の侍は崖に追い詰められ逃げ道を失っていた


『大将 苅磨流水』


新政府軍が発注しと言う、円柱のケピ帽を被った男が小さく言い放つ

「諦めろ…終わりだ…」

 

「……」


刀を腰に携えたその侍は妹と思われる人物を庇いながらも満身創痍であった。

苅磨はゆっくりと、さも大儀に刀に魔力を込めながら持ち上げ、クロスさせる様に振り下ろした。


           ―燃悉の焔―


やる気のない一振りからは考えられない熱量の、範囲と火力が樋口に向かう。

 逃げ場のない樋口は、力一杯刀を下から斜め上に切り上げ、対抗しうる技を繰り出す


          ―千鳥砲火―


 空中の一点から、燕の様な鳥型の無数の火が勢いよく放たれそれに向かう。大きな爆発音と衝撃を生んだが、どうやら相殺できた様だ。が、メキメキと地面が音を立てて足元に亀裂が走る。樋口らが衝突していた場所は少し出っ張った場所であったのだ。

「「‼︎」」その時両者の間に大きな亀裂が走ったかと思えば樋口は空を見上げていた――。

 長い空中で、キラキラとした光を纏いながら、樋口は妹に手を伸ばしていた

 寸分の所で樋口の目の前に現れたのは、紅く美しい火の玉だった

「‼︎」


         ―超炸裂弾―


激しい光と熱を生み出し崖を大きく削る爆発が巻き起こった――。


『副将 樟実 藤』

「あーあ、あれくらったら肉片ひとつ残らないね」

同じ隊服の陽気な彼が、侍の落ちた抉れた崖下を見ながらいった。

「後は任せたぞ」

「どうします?何も残ってなかったら?」

「服でもなんでもいい、なんなら村から服を持ってこい、俺は寝る」

「りょうかい」


――(………寒い)

(………死んだのか?……まぶし⁉︎)

意識を取り戻し(?)間髪入れず起き上がり見渡したそこは見知らぬ森だった。混乱していると目の前の岩が、そこらの木々より大きなことに気づき現状把握のため登ってみることにした。――‼︎

 そこには想像すらしたことのない高い建物?が数多く並んでいてその中心部には鋭く尖った建物?が立っている異様な光景が広がっていた――。


 2043年、2月17日

「………、……………。」

樋口はただただ圧倒されていた。そして変な夢だと思っていた

(待て待て、此処は何処だ?なんでここにいる?生きているのか?夢なのか?なぜこんな場所にいる?魔力は少しある…すごく、寒い‼︎紗南は?此処は何処だ?)

あまりにも意味不明な世界のせいで、無駄な思考ばかり繰り返していた。

 右目に浅い傷を負い開けられなかったが、幸いにも刀は折れずに残っていた。そして延々同じ思考を繰り返していたが、疲れたのか、はたまた、平和な空気に騙されたのか、(取り敢えず海を目指そう‼︎)と言う意味不明な結論に至り、川を探すために動く。

 日が沈んで暫くして川は見つかった

(夢の中だと、方向感覚がいまいち掴みづらいな、それにこの変な匂い)

少し甘い匂いがした

ここが現実だと知らせる様に腹が鳴る

(夜が明ける前に海に出たい…)

星空に負けないくらいの、さんざめく光が街を包んでいた

だが、腹の虫も収まらず、川沿いの暗い場所を警戒しながら進む事にした

(今、敵の術に掛けられているのかも知れない、だとすれば現実の我はどうなっている?まだ生きていると言うことか…)

路地裏を呆けて移動していると、鋭い光に目が眩む

 だんだんと光に慣れ、異形な光景に開いた目と口が塞がらない

 行き交う人々の話す声、破裂音などの雑音が、鮮明に耳に入っては、脳を乱す

(………)

人々は、硬直した少年に見向きはすれど、無関心にその足を動かし続ける

思考が停止していた

「あの子可愛くない!?」

何処からか、感情が向けれた

「ボロボロなのがリアルゥ!」

「なんのコスプレかなぁ?」

「あれじゃ無い?前やってたあれ!」

「テンスタやってるかな?」

「聞いてみよ!」

冬の寒さに不釣り合いの、短い布面積を纏った、二人組の女性農民が、駆け足で向かって来たので、咄嗟に来た道を走って引き返す

「はぁ…はぁ…はぁ……」

(気配を消すのを忘れていた…敵意では無かったが、不思議な感覚だった…好奇心か?今更珍しくもないだろう…)

人気のない場所で休んでいると、気づけば眠りについていた

どれぐらい眠ったか、空は白みだしていた

(とにかく何かお腹に…)

「貨幣は…ないか」

衣服を弄るが、小判はない

(盗みは良くない、盗みは良く…ない。)

首を大きく振るが、腹が鳴る

ふと視線を落とした先で銅色の光を見る

「もしや!」


川沿いの、まだ人気の無い広間に佇んだ小さい店に足を運ぶ

『たい焼き屋 権蔵』

「あんこを一つ!」

大柄で筋骨隆々の独特な気配を放つ店主

緑のバンダナに桃色のエプロンをした男性に注文する

「あんこ一つ百十円よ」

差し出された手に、拾ったコインを乗せた

「あと百円あるかしら?」

「これでは足らないのか」

(腹の音)

「いやあ?全然足りてるわぁよ」

「本当か!?」

「あんこ一つで良いのか?」

「いや、もう結構だ」

(腹の音)

「コォラ、遠慮しないの」

「じゃあ、二つ」

「あいよ」

良い匂いが漂い始める

「私も大切な物を取っちゃって、元の仕事引退して、ここ開いたけど、あんまり上手くいってなくてね…」

 意味はよくわからなかったが、このおじさんはくれるらしい…

「そんな顔されちゃもう少し頑張ってみようかしら」

唾を飲む

「あいよ!これも何かの縁、また会ったら、その時に返してもらうわ」

「感謝する」

「水も持っていきな、うちのはとびきり甘くて喉乾くからね」

礼を言った後、人が出入りしない場所を探し動き始める

(魔力は回復してきたけど、すごく寒い…明日はもっと周囲の散策と、拠点の確保を急ごう)


冷たい感触を覚えて目が覚める

(雪…か…)

農民が多く住まう団地の屋上

明け方の空は、雲に覆われて薄暗かった

(どうにか暖を取りたい…)

体に巻いていた包帯を少しきつめに巻き直す

白い息を吐く


 冷えた鯛焼きを口に放り込み、ペットボトルを何とかこじ開け、飲み込んだ

建物の下の様子を見る

人の出入りは無く、閑散としていた

(中々覚めない夢だな、もしや、未来と言うやつなのか…いや、現実ではない、この世界の雰囲気に呑まれてはいけない…)

 街に繰り出し、人々の表情を見て回る。

人々の笑顔。

(例え夢であろうと幻術だろうと、諍いの無いこの世界を楽しんでみるのも悪くない…、だろうか?)




―10年前 東京は新宿 オレンジの空

ビル群から少し離れた位置、崩壊した建物が囲む中、血を流した女性が倒れている

「お母さん!れいな!」

小さな少年はただ泣き叫んでいる

満身創痍の母親は、血を流す小さな少女を抱えていた


地響きが鳴る…段々と…、段々と近づき大きく揺れる


「飛鳥…早く逃げて…お母さんは…もう…」

掻き消されそうなほど小さな声で、少年に呼びかけた

「助けてよぉ!おとぉさぁん!」

体長三メートルほどの『生き物』がこちらを覗き込む

 わずかに人の形を残したソレは、片腕を大きく翳し振り下ろそうとする

結果ソレは目標に届くことなく、爆破され、怯んでいた

「大丈夫か、……」

警察の服を着た男性が、家族のもとに駆け寄る

「おとおさん!おかぁさんが…れいなが…」

「あなた…この子達をお願いね…」

抱えていた小さな女の子を、そっと押して、離した

「神木さんを援護しろ!」

 低い声掛け声のあと、巨人に再び爆薬が投下される

「やったか?…」

「おかぁさん!おかぁさん!」

少年が何度も何度も叫ぶ

ソレを無視し、少年を肩に抱えその場を離れていく

巨人は静かに倒れて動かなくなった

「狂徒撃沈!」

「よし…」

「いや!まだです!」

若い青年が声を上げた

ゆっくりと起き上がって来た

少年は遠のいていく母を、近くにある父の背を見ていた

 巨人が一瞬で潰れる

大量の血が当たり一面に撒き散らされる

「ま…魔人だ!魔人がで!、、、」

叫び声は途中で途切れる

 少年は赤い瞳と目線が合う

凍えるような冷徹な瞳、無作法に跳ねる銀の毛先

 酷い恐怖が全身を圧迫する

「…」

古い茶色の着物を見に纏った魔人は、微笑みを浮かべる


「!」(まぞ…く…)

目が合った刹那に意識が奪われた

読んでいただきありがとうございます。

至らない点や、変更点は多々ありますが、長い目で書いていこうと思います。


この世界に魔族、生まれつき魔力を有した者は実質的に存在せず、代わりに信仰の力、英力を受ける英雄と呼ばれる物が秩序を保っています

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