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6日目の朝の会議

皆が椅子に座る。

初日に全ての椅子に人が居たのに、今ではもう半分以下になってしまった。

両目線からのそれぞれのグレーの桔平、礼二、隆、二千翔は険しい顔をしていた。

この中に狐が居るなら、真占い師が透けていて占われないように必死に考えているだろう。

幸喜は、言った。

「じゃあ、これまで村のためにどんな発言をしてきたのか話してみてほしい。みんなそれで思い出して考えるから。どっちの占い師を信じてるかも教えて欲しいな。」

隆が、言った。

「オレは明さんが真だと今は思ってる。秋也が噛まれた日に、一方的だった史朗と二千翔におかしいと提言したのはオレだ。あれで村の流れが変わったと思うけど?」

幸喜は、それを覚えていた。

昨日の投票も、史朗と美鶴さんのランの時に隆は史朗に入れている。

ちなみに他の3人は、美鶴に入れていた。

隆は少なくとも、明目線で狼ではないと思った。

しかも史朗から白が出ているので、隆は両目線から白が硬い位置なのだ。

「…そうだね。あなたは昨日の投票でも史朗さんに入れているし、吊られかねない強い票だった。しかも史朗さんの白だから、両目線で白い。でも、狐はあるかも知れない。」

隆は、ため息をついた。

「仮にオレが狐だったとして、初日に囲ってる史朗さんが偽だと知ってるのに、わざわざ意見を出して村の考えを変えようとすると思うか?あのまま静観して流れに身を任せていたら良かったんだ。早くに狼が吊られたら狐の精査に余裕ができるのに、占い師の史朗さんを吊ってしまおうなんて思わない。むしろ明さん真を知ってるから、美鶴さんが白だと知ってる事になるから、美鶴さんを吊ろうとしたよ。オレには未だにどっちが真なのかはわからないが、明さんの方が村のために考えているように思うから、明さんが真だと信じようと今は思ってるよ。」

幸喜は、頷いた。

そして、桔平を見た。

「桔平は?」

桔平は、頷く。

「オレ目線じゃ黒を打たれるんじゃないかってハラハラしてたけど白だって言ってくれた明さんが真だと思うよ。噛まれて呪殺を装うこともできたのにしなかったし。そう考えたらみんなの記憶にも新しい史朗さんと結託してた二千翔が、めちゃ黒いと思う。もちろん、狼にすり寄って一緒に生き残ろうとした狐かもしれないけどさ。隆さんは違うと思うし…そもそも、優斗で狐が落ちてる気がするんだよね。もちろん圭斗かもしれないけど。だから、二千翔はやっぱり黒かな。」

幸喜は、頷いたが微妙だった。

明の白だが、何やら思考がふわふわしていて心許ない。

それでも表情を変えず、二千翔を見た。

「二千翔は?桔平はそう言ってるけど。」

二千翔は、答えた。

「この桔平が人外じゃないのが腑に落ちないんだよね。最初から潜伏してそうな空気出してたし。でも、隆さんは白いし、そうなって来ると明さん目線じゃ礼二さん狼ってことかな?でも、潜伏してる感じだけど狼っぽくないしなあ。僕は狐でも狼でもない。だから、史朗さん目線の、最悪狐残りの方がしっくり来るのは確かだ。桔平が狐に見えるからね。僕がグレーの中に居るから思うことだけど。自分の色を知ってるから。」

幸喜は、頷いた。

「じゃあ、最後に礼二さん。」

礼二は、言った。

「オレは明さんが真だと思うよ。二千翔が黒く見えるけど、まずは狐だから呪殺を目指すなら隆さんかな。隆さんは、色が見えてる感じに思えるんだよね。何とか明さんに占われないように白くなろうと準備して来たようにも見える。でもさ、今夜史朗さんを吊ったら明さんが噛まれて結局色がわからないんじゃないか?縄が足りないからグレランするわけにもいかないしな。オレとしては、もう明さん真なら呪殺を願って史朗さんを吊らない方が良いような気がするんだけど。占い師には生きててもらわないと、村勝ちがなくなりそうだよ。もちろん狩人が生きててくれるなら良いけど、もしかしたら死んでるかもしれないってオレは思ってるからこそ言うんだけどね。」

まだ生きてるよ。

幸喜は思ったが、頷いた。

「まあ、そうかも知れないけど。つまり、結局あなたはまだ狐は生きてると思うんだね?」

礼二は、首を振った。

「いや、生きてたら隆さんだろうって。死んでたら優斗かな。」

明は、それを黙って聞いている。

何を考えているのか、分からなかった。

「…今のを聞いて明さんはどう思いますか?」

幸喜が言うと、明は答えた。

「君は占い師を吊るのはどうの、さっき言っていたのではないのかね?ということは、史朗と浩人なら浩人を吊るつもりなのだろう。そうなると私にとって、狐が生きている事に賭けて占うよりない。そもそも狐が死んでいるのなら、後2縄あれば足りるのだ。明日、仮に狐が居るなら呪殺を出さないと村はキツいな。私が明日も生きていたならもう一日占えるが、そもそも明日は狼を必ず吊らなければ村は負ける。君達のやり方は、結局問題を先送りにしているだけだ。史朗目線では、もう私しか狼が居ない事になるから明日は迷うなら史朗か私目線の黒位置を吊れと言っておく。できるだけ呪殺を出すが、もう狐が居なかったらそもそも無理だからな。」

確かに呪殺頼みになるのはキツい。

だが、明日になれば明から礼二か隆の色が落ちて明目線どちらが黒なのか分かる。

そして、白なら呪殺が出るか、村人でもう狐は居ないのか見える。

黒なら次の日違うもう一人を占えば呪殺できる。

史朗が真なら二千翔と桔平で終わりなので呪殺ができる。

後一日早ければもっと余裕はあったが、呪殺頼みしか狐が残っていたら処理する方法はない。

必ず最終日を迎えるためには、もはやそれしか方法はないような気がして来た。

幸喜は、言った。

「…占い師が生きている限り、狐がまだ居ても呪殺はできる。占い切れる。」幸喜は、言った。「だから、今夜は仕方ないから浩人を吊って、明日は明さん目線の黒を吊るしかない。それでお互いに一人ずつ、最終日にどちらを吊るのか決める事になる。狐が居るなら必ず呪殺が出る。居なくても白が見える。追いつく、それで行こう!もう、呪殺頼みにするしかない。狐が居ても絶対に占い切れるはずだ。」

明が、顔をしかめた。

「確かに、危ない橋だが村目線での安定ではそうするしかないだろうな。私達二人を残したいのだろう?最終日に、私と史朗のどちらかを吊ろうというのだろうから。狐が居たら、それまでに自分の真を証明する術があるが、居なければどちらにしろ村人が決めねばならないぞ。いつまでも逃げられない。分かったな。」

幸喜は、頷く。

分かっているが、明日になれば分かることもあるかもしれない。

この議論を、拓海はどう思って見ているのだろうと、幸喜は思っていた。


明は、自分の白を吊られることを甘受しているようだった。

幸喜がまだどちらを真とも決めかねていて、最終日まで持って行きたいと思っているのを気取っているからだ。

偶数進行で呪殺が起きたとしても、吊り縄が減らないのがここで来て機能している状態だった。

史朗が真だとしたら、明日結果が出る。

明が真だとしたら、最悪最終日まで伸びる。

それでも、必ず全てを占い切れるはずだった。

幸喜が一人リビングで悶々としていると、隆が声を掛けて来た。

「幸喜?ちょっといいか。」

幸喜は、顔を上げた。

隆は、グレーの中では数少ない黒ではないだろうという位置だ。

だが、もしまだ狐が処理されていなかったら、狐だろう位置でもあった。

そうなると礼二が狼になるのだが、それにしては礼二は考察がお粗末に見える。

とはいえ、二千翔が狩人だと知っている幸喜から見て、隆が白なら礼二が狼だった。

「いいよ。」幸喜は答えた。「座ってくれ。」

隆は、頷いてソファに座った。

「今夜の吊り先だが、本当に浩人を吊るのか?オレは…史朗さんでもいいんじゃないかって思うんだが。」

幸喜は、答えた。

「それしか最終日に行く方法がないんだ。オレだって明さん真を信じたいし、明さんに怪しい所なんかなかった。秋也が噛まれた時ぐらいじゃないかな?もしかしてと思ったのは。でも…あの人の頭の良さは知ってるからね。どっちでも何とかなる方向でやっていくしか、ないんだよ。結論を先延ばしにしてるだけなのは分かってるけど。狼のせいで狐が処理できてるのかもわからないからね。真を特定されないように必死なんだろうけど、そのせいで狼目線でもここが確かに狐だって分かってないんじゃないかな。」

隆は、頷く。

「共有が決めた事に従うよ。でも、オレ目線でも二千翔は怪しい。狼なのか狐なのかわからないが、明さん真目線で残ってるグレーを見たら、オレ目線じゃ二千翔と礼二が狼と狐、もしくはどっちかが狼で狐はもう処理されてるかのどちらかなんだ。もしグレランなら二千翔に入れてるところだ。投票対象に上がった時もあった。上手く逃れてる狼なんじゃないかって。もし史朗さん真なら、後桔平と二千翔だけだけど、オレは二千翔が狐だと思うね。」

そう見えるだろうな。

幸喜は、思った。

隆になら言ってもいいかと一瞬思ったが、隆はまだ確定白ではない。

状況で限りなく白だが、せっかく拓海が投票対象にまで挙げて狩人目を消したのに、ここで自分が暴露するわけには行かない。

幸喜は、言った。

「…オレもそう思う。もしも史朗さんが真なら、今夜は二千翔を占ってもらう方がいいかも知れないな。まだわからないけど…真を確定させるは早い方がいいし、明さんは最悪次の日に占ってもらう事にするかな。今夜は、明さんには隆さんか礼二さんを占ってもらうつもりだけどね。もちろん、史朗さんには桔平との二択にして、狼にわからないようにするけど。明さんが狼だったら噛み合わせられて結局分からなくなるから。」

隆は、頷く。

「だな。オレも明日の結果で明さん真が確定したらいいなと思ってるんだけどね。礼二が狐だったりしたら、二千翔が黒確定だろ?ま、オレ目線だけど。」

幸喜は頷く。

「そうだな。礼二が白確したら、あなたが狼で二千翔狐か、あなたが狐で二千翔狼か、はたまたあなたが村人で狐は処理済み、狼二千翔かってなるよね。どちらにしろ明日は明さん目線の黒を吊らないと村は最終日まで行けないし、狐が残ってたら狐勝利で終わりだ。薄氷を踏むような感じだよ。」

隆は、顔をしかめた。

「…二千翔が狐だったら、明さんに占ってもらう方がいいんじゃないか?」

幸喜は、渋い顔をした。

「それが明さん曰く、狐なら狼にすり寄るにしてもあんなに目立つ行動はしないと思うって言うんだよね。初日に仲間を失ってるから、どっち付かずの日和見な感じでここまで来てる人の方が濃厚だって。狐が真かもしれない占い師に真っ向から敵対したら、占われるじゃないか。だからあなたか、礼二がより狐っぽいみたいだよ。二千翔はあって狼だって。盛大に間違ってる村人まであると言ってた。あなた目線、だから狐は処理済みで礼二さんが狼って方がしっくり来るんじゃない?それか、どちらも村人で二千翔が狼か。わからないよ?明日史朗さんが二千翔で呪殺を出すかもしれないし。そうなったら史朗さんが真で、明さんを吊って終わるから楽なんだけどなあ。明さんが狼で、その状況になるのが分かってるのに甘んじてるのもおかしな話だから、呪殺が確定しないかもだけどね。」

隆は、険しい顔をした。

「噛み合わせか。」と、うーんと首を傾げた。「ここまで来ても狩人は出さないのか?占い位置のこともあるだろう。」

幸喜は、苦笑した。

「ま、察してよ。あなたは村目だから言うけどさ。とりあえず、明日二千翔が呪殺されたら明さんがなぜ二千翔占いを渋ったのか分かるよね。狐を呪殺したいけど、狼にはできないから史朗さんにさせるためにとも考えられるもんね。今夜は、とりあえず浩人だ。村目線で、最終日に確実に行くために遠回りだけどそれで進もう。」

隆は、頷いて立ち上がった。

「分かった。仕方ない、それで進むしかないな。」

隆は出て行ったが、幸喜は狩人について言及した隆が、にわかに怪しいと思った。

というか、みんな怪しいのだ。

幸喜は、拓海の気持ちが痛いほど分かった。

何かを信じなければ、やってられないのだ。

拓海の残したノートを、しっかり見ておこうと幸喜は思った。

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