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6日目の朝

幸喜は、目を覚ました。

昨日、襲撃されなかったのか、護衛成功が出たのか分からないが、とにかく幸喜は目を覚ますことができた。

そもそも二千翔は、幸喜を守ったのかも分からない。

狼目線でも、共有が狩人がもう居ないのに居るように偽装していると考える事もあるので、必要なら幸喜を噛んで来てもおかしくはなかった。

だが、狼には他に噛みたい場所があったのだろう。

重い気持ちで部屋から出て行く。

昨日の夜は、史朗、浩人、幸喜、礼二、明、隆、圭斗がこの階では生き残っていた。

皆が無事なら、7人が居るはずだった。

だが、出て行った幸喜に、浩人が言った。

「…圭斗が襲撃されてる。」

幸喜は、息を飲んだ。

想定していた通り。

だが、これが明がわざとやっているわけではないと、誰が分かるのだろうか。

幸喜は、言った。

「…他に犠牲は出てない?」と、階段へ足を向けた。「上にはもう、桔平と二千翔しか居ないはずだよね。」

明が言った。

「桔平は白だったぞ?もし狐だったら溶けているはずだが。」

すると、三階から二人が駆け下りて来た。

「誰か追放されてる?!」

二千翔が、息せき切って言う。

確かに、桔平は後ろから困惑した顔で降りて来ているし、二千翔も無事だった。

幸喜は、言った。

「…圭斗なんだ。今朝は圭斗だけだな。」

史朗が、言った。

「圭斗は白だった。やっぱり狼が噛み合わせて来たんじゃないのか。圭斗が狐だったんだろう。」

だが、二千翔が首を振った。

「違うと思うよ。だって、それなら優斗さんだって同じ事が言えるから。桔平は生きてるし、史朗さん目線じゃまだ、桔平を占わないと狐位置は分からないんじゃないの?」

自分に対して好意的だった、二千翔が急にそんなことを言うので、史朗は躊躇った顔をした。

明が、言った。

「私目線、もうグレーは狭まった。桔平が白で生き残っているからこそ、彼は狼でも狐でもない。ということは、私のグレーは後、隆、礼二、二千翔の3人だ。そこに1狼1狐が潜んでいる。今日はここからか、史朗を吊って欲しい。今8人残り3縄だろう。できたら史朗を吊って欲しいが…私の視点はハッキリしたので、後は君達に任せよう。」

幸喜と二千翔目線、明のグレーは隆と礼二の二人しか居ない。

なのでこの二人が確定人外になっているが、明はまだ二千翔の事に言及しなかった。

狼は、恐らく二択で迷っているだろうからだ。

狼目線では、優斗で狐が処理されていない場合、この三人の中に狐が居る。

間違える事もあり得るのだ。

ちなみに史朗目線では、圭斗でなければ桔平か二千翔が狐でなければおかしい。

つまり、桔平が今夜占う位置だ。

とはいえ、二千翔を選ぶ可能性もあったが、その場合でも狩人だと明かすつもりはなかった。

どうしても、史朗と明の真贋が今この時になっても幸喜の中では決められない。

拓海に約束はしたが、自分は明という人をよく知っているのだ。

これぐらいの事は、朝飯前ではないだろうか。

何しろ、あの頭の中ではいろいろな事が同時に進行していて、全てがクリアに見えてしまっているのだ。

これまで、それに助けられたことが何度あっただろう。

だが、味方だと分かって居なければ、こんなにも怖い相手なのだ。

幸喜は、ため息をつくしかなかった。

とにかく、朝の会議をいつもの通りすることを皆に告げて、幸喜はトボトボと自分の部屋へと戻ったのだった。


朝食の席は、微妙な空気だった。

明目線の黒なのは、村が分かっている中では史朗だけだ。そして、狐の呪殺は出ているのか出ていないのか分かっておらず、まだ残っていたとしたら隆、礼二、二千翔の中に居る事になる。

狼も、この中に一人居る。

なので、隆と礼二のうちどちらかが狼で、どちらかが狐か村人だという事になる。

史朗目線黒なのはハッキリしていて、残っている黒は明、浩人、そして狐位置は桔平か二千翔だけだった。

つまり、桔平でしかあり得なかった。

幸喜からしたら何も懸念することは無いのかもしれないのだが、明には共有である自分も、狩人の二千翔も、初日に気取られていた事がどうしても気になった。

明が、それを利用して白くなろうとしていたら?

初日から知っていたのだから、どういう流れにしようかというのは、充分に考えられる時間はあったはずだった。

あの明に時間を与えてしまって、流れを作られているとしてもおかしくはないのだ。

そんなわけで、残った8人のうち、当然だが浩人は明を妄信し、桔平も今日自分に白が出たことで明寄りの意見、礼二と隆は、二千翔も含めて自分以外の二人は人外かもしれないと、お互いに複雑な顔をしていて、二千翔が、言った。

「…これってさ、史朗さん目線じゃ僕から見るともう、桔平が狐なんだよね。オレが村だから。桔平を吊っておきたいんじゃない?」

史朗は、首を振った。

「いや、まだ分からない。二千翔って事もあるんだぞ。占うしかないからな。」

二千翔は、頬を膨らませた。

「なんだよ、史朗さんも?みんな僕が怪しいって言うんだもん、やってられないよ。」

史朗は、言った。

「オレから見たら、ハッキリ見えてる明さんか浩人のどちらかを吊って欲しいに決まってる。明さん目線じゃ、礼二と隆と二千翔のうち最大二人、少なくとも一人だろう。わざと確定させて来ない所が怪しいと思わないのか、村は。こんなに頭が切れるっていう人が、何で呪殺も出せなくて黒も打てないんだ。おかしくないか。」

明が、言った。

「よく見るがいい。君が先に占っていた位置ばかりではないか。二千翔だけが完全グレーで残っている。君が囲ったり先に占い先を取ったりするから私は黒も呪殺も出なかったのだ。そもそも、私が狼ならさっさと占い先を押えて行く。一昨日まで全部先に取らせてやったのに、その恩も感じないのか君は。」

史朗は明を睨んだ。

「昨日、一番呪殺が出やすそうな時に先に選んで置いてよくそんな事が言えるな。まあ、圭斗だったと私は今でも思っている。君が噛み合わせて来たんじゃないのか。君では呪殺が出せないものな?それとも今夜、桔平か二千翔で呪殺が出るのかな?」

明は、フンと鼻を鳴らした。

「君こそ、隆か礼二で呪殺が出るんじゃないのか。二千翔はどうせ、今夜君が占うとか言うのだろう。君が生き残れたらの話だがな。」

「ストップ。」幸喜が言った。「議論するならリビングへ行こう。もうみんなご飯終わったよね?そこで話そう。そこで桔平、二千翔、礼二さん、隆さんの話を聞かないと。そこに必ず最低でも狼一人、残っていたら狐も居る。最悪、今日間違っても明日は来るけど…明日呪殺が出せなかったら終わりだ。縄が一つ足りなくなる。偶数進行だから、狐が呪殺されても縄数はまだ足りるから。ただ、真占い師を吊ってしまったらその希望もなくなる…今日は恐らく史朗しんと浩人のランダムになるだろうけど、史朗さんのことは、慎重に考えないと。」

皆は、ゴクリと唾を飲み込んだ。

しっかり考えないと、村はどうにもならなくなる。

何しろ今日はどちらかを決め打たなければならないが、明からの明確な黒が史朗以外に出ていない以上、史朗と史朗の黒の浩人の二人に絞るしかないのだ。

…それも、明さんの計算だったら史朗さんを吊ったら村は終わる。

桔平が狐なのかどうかが、幸喜目線では最重要だった。

せめて、明日桔平を占って欲しい。

それからなら、占い師の精査がつくはずなのに。

だが、史朗を今夜吊ったらそれもできない。

ただ、一日遅かったとしか、思えなかった。

…誰を吊ったのがまずかったんだろう。

幸喜は、思い返したが全く分からなかった。

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