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5日目の朝

「…ああ、そうか。」幸喜は、言った。「拓海か。」

拓海が、ベッドですやすやと眠っている。

その脇には、皆が集まっていた。

ベッドサイドテーブルには、「追放されました」という札が置いてある。

昨日の襲撃は、拓海だったのだ。

幸喜が、言った。

「…結果は?」と、史朗と明を振り返った。「誰を占って何が出たの?」

明が、答えた。

「私は圭斗を占って白。」

史朗が、幸喜の勢いに気圧されたような顔をしながらも、言った。

「私は浩人を占って黒。私目線、霊能の2人外と明さん、美鶴さん、浩人で狼陣営は終わりだ。後は、占ってない幸喜、圭斗、桔平、二千翔の中に1狐で終わり。」

「え、オレが黒?!」浩人は、言った。「…史朗さんが偽か。やっと確定で分かった。」

圭斗が、躊躇いながら言った。

「でも…確かに。明さんが狼なら、浩人で黒が出るのは分かっていたんだから、オレに黒を出すべきだったんだ。でも、白だろ?オレ目線じゃ、どう考えても明さんの方が真だ。明さん目線の狼ってどこだ?」

明が、答えた。

「私目線では、史朗、千晶さん、朝陽さん、と後一人と狐がグレーの中に居る。狂信者は秋也。そう考えないと、私のグレーは幸喜、礼二、隆、桔平、二千翔しか居らず、この中に共有者と狩人が居る事を考えたら三人しか居ないからな。三分の二で人外に当たるから、もう一日占えばほとんど見える。白圧迫が正着だろうな。」

幸喜は、深くため息をついた。

「…拓海が噛まれた。」と、皆を見た。「オレが共有の相方なんだよ。狩人はそれを知ってる。だから、騙ってないのは狩人が何も言って来ないから真実だと思ってくれ。オレは、狩人の位置を知ってる。それから、拓海が昨夜、死んだらと遺言を残して行ったので、オレは基本的に明さん真と見て考察をする。もし、拓海が噛まれたらそうしてくれと言われたんだ。もし、オレが噛まれたら拓海は史朗さんの真も追って考えるという約束だった。だから、オレは約束を守って明さん真を追うよ。」

明が、眉を上げる。

史朗が、抗議するように言った。

「なんで、居なくなった共有の言いなりになる必要があるんだ!オレが真だぞ?」

幸喜は、言った。

「なぜなら、そこを噛んだ意味があるからだよ。」幸喜は、史朗をじっと見つめながら言った。「拓海を噛みたかったってことだから。明さんには拓海を噛む意味が無いんだ。なぜなら、確定村人で自分を真置きしてくれる拓海を生かしておいた方が、明さん目線有利だからね。明さんが狼だったら、他にいくらでも噛みたい所はあるはずだ。」

例えば二千翔とか。

幸喜は、内心思っていた。

史朗は睨むように幸喜を見ていたが、共有者なので何も言わなかった。

明が、言った。

「…今日、更に視点が詰まって来た。今日占ったら、私目線では人外が全部分かると思うが、問題は今夜、誰を吊るかだ。」と、史朗を見た。「史朗と私のランにするか、それとも美鶴さんと浩人か史朗か。私からはまだ黒が出ていない。なので、占い師以外を対抗に出す事ができないのだ。」

美鶴が言った。

「だったら、私と史朗さんのランにしてください。史朗さん目線ではもう、グレーが圭斗さん、桔平さん二千翔さんの中に1狐だけでしょう。狼は噛まないわけにはいかないので、仮に史朗さんが真だったとしても毎日噛みは発生します。狐位置が狭まって来るはずです。史朗さん目線では狼フル露出なわけですから、もう大丈夫でしょう。私か史朗さんでお願いします。今夜、明さんがまたグレーを占って明さん目線での人外位置も透けて来るでしょうから。」

幸喜は、また大きなため息をついて頷いた。

「そうだね。まだ明さん目線の人外が透けてないから明さんと史朗さんのランにはできないから、史朗さんと史朗さんが出した黒先の美鶴さんでランにしよう。もう、ここまで来たら運もあるけど、しっかり考えて投票してくれ。自分の命が毎回掛かって来る投票だぞ。」

すると、二千翔が言った。

「あと、今10人で4縄あるけど…明さんは残り史朗さん、仲間の一人、狐の3人外だけど、史朗さんは明さん、美鶴さん、浩人と3人残った上に狐で4人外生存している事になっているんだ。両目線で明日が確実に来る事を考えたら、できたら史朗さん目線の人外を一人、吊って置いた方がいいのかもしれないけどね。」

幸喜は、顔をしかめる。

その通りだからだ。

だが、二千翔は今日はそれほど攻撃的でもなかった。

幸喜は、仕方なく頷いた。

「そうだな。それも考えて、史朗さんに入れる人は明さん真をもう今日決め打つつもりで入れてくれ。そうでない場合は、まだ明さん目線では1縄余裕があるはずなので、美鶴さんに。それで、急に終わる事はないはず。仮に呪殺が起こっても、偶数進行だから縄数は変わらないはずだ。」

明は、美鶴を見た。

「申し訳ないが、恐らく今夜は美鶴さんが吊られる。だが、私は善処するから。君には入れないし、吊られても勝てるように励む。」

美鶴は、苦笑して頷いた。

「大丈夫です、信じていますから。浩人さんも、もし私が吊られたら後はお願いね。」

浩人は、頷く。

圭斗は、言った。

「オレは、明さんが真だと思う!共有が言ってるんだし、素直に従うよ。何より、オレは白だったからね。明さんが真だ。」

桔平が、言った。

「でも…そうなって来ると怪しくなるんだよな。」何がだ、と皆が桔平を見ると、桔平は続けた。「パワーバランスだよ。どっちかに肩入れすると、どっちかが陥れられてるように見えて来る。グレーにはまだ人外が居るはずなのに、なんかみんな今度は明さんとか言い出してて流されまくってるよね。分からなくなる。だから、ほんと困る。」

礼二が、頷いた。

「そう。それ。そもそも一昨日だってそれで史朗さんが怪しいってなったんだからな。どっちかに意見が極端に集まると途端に怪しくなるんだ。信じるのが難しいよ。ここは美鶴さんでとりあえず明日の結果を待って、それから両占い師の精査に入った方がいい。何しろ両方の目線で狐の位置がまだ分かっていないんだ。無駄な吊りはできないからな。」

礼二の言う通りだった。

桔平は、首を傾げた。

「でも…優斗は?優斗が狐で明さんが呪殺してた可能性もあるよね。」

幸喜は、頷いた。

「その通りだが、まだ占っていない場所がある限り悠長に構えてられないんだよ。もう詰み盤面だ。礼二さんの言う通り、明日まで待ってから占い師の真贋を決めるのがいいのかも知れないな。」

空気は、美鶴吊りになりつつある。

まだ本当にどうなのかわからないので、やはり一日伸ばすより方法はなかった。

二千翔は、言った。

「となると、今夜の噛みも重要だよね。」皆が二千翔を見る。二千翔は続けた。「幸喜は狩人が鉄板で守るだろうからあり得ないし、狼は白先か狩人位置しか噛めなくなってる。優斗が狩人でなかった限り、幸喜は噛めない。となると、グレーのどこを噛むかが重要だよ。」

幸喜は、皆を見回した。

今生き残っているのは、史朗、明、浩人、圭斗、美鶴、桔平、二千翔、隆、礼二、幸喜の10人だ。

狼に噛まない選択肢はない。縄が増えるからだ。

だが、幸喜は確実に護衛が入る。

狐も居る。

お互いの黒先は噛めない。

完全グレーは視点が詰まるので噛みづらい。

となると、噛めるのは必然的に限られて来るし、狼目線でも狩人位置が透けて来ているだろう。

もちろん、村目線で二千翔だとは思っていないだろうし、そうなると両目線で白の可能性がある隆、礼二、桔平の中に狩人が居る。

もし明が狼なら、二千翔を噛む盤面だ。

もう、余裕を出している場合ではなかった。

二千翔にはそれが分かっているので、こう言ったのだ。

幸喜は、頷いた。

「噛み先が楽しみだよ。粛々と盤面を詰めて行こう。」

そうして、朝の会議は終わったのだった。

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