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3日目の投票

夕食の席には、明は来た。

皆がバツが悪そうにしている中で、特に気にしている様子でもなく食事をして、拓海を見た。

「…それで、私は今夜どこへ投票したらいいのだね?」

拓海は、答えた。

「二択になりました。千晶さんか、二千翔です。」

明は、眉を上げた。

「…君はどちらに入れるつもりだ?」

拓海は、それには答えず言った。

「明さんはどちらに入れますか。その理由も聞かせてください。」

皆が、怖いほど真剣に明を見ている。

明は、それに気付いてため息をつくと、言った。

「…その二択ならば、千晶さんに。二千翔は違うと考えている。ただ私に対して何か知らないが個人的な何かがあって、敵認定されているように感じるのだ。そもそも狼ならば、こんなあからさまに昨日から今日と私を攻めないだろう。なので、二千翔のことは占ってからでも遅くはないと考える。しかし千晶さんは、私目線狼の史朗が吊るのを嫌がっているようなので、そこを吊っておきたいのだ。残しておいても最終日、絶対に入れたくなる位置だしな。もちろん色はまだわからない。グレーの中で他に今、怪しい位置がない。占うしかない。」

拓海は、頷いた。

「オレもそう思います。他に色がついていないので、初日から怪しまれながら残っている千晶さんの事はとりあえず処理しておきたいと思います。」

千晶は、箸を置いて言った。

「どうして私なの?朝陽さんは白だったかもしれないのよ。私は色がわからないから、友達のよしみで庇っただけなのに、それがそんなにも罪なの?」

拓海は、言った。

「それなら君はどこが怪しいと思うんだ?」

千晶は、え、と回りを見た。

皆が、じっと千晶の話を聞いている。

千晶は、言った。

「…他に誰が話してたって言うの?誰も居ないわ、色が見えないって今明さんも言っていたじゃない。みんなが二千翔さんだって言うなら、二千翔さんなんじゃない?」

幸喜が、言った。

「…君目線じゃ吊り推して来る明さんは偽目に見えてるだろうから、その対抗の史朗さんを庇っていた二千翔は白く見えるはずだよね。それでも二千翔でいいの?他を対抗に挙げていいんだよ。」

千晶は、皆を見回した。

皆、対抗に挙げられると思ったのか慌てて視線を反らして行くのが見えた。

「…寡黙位置かしら。話してる幸喜さんだって怪しいわよ、急に明さん真もあり得るとか意見を変えて来たし。隆さんも、史朗さんと二千翔さんに流されてるような気がしてきたとか言って…史朗さんの白でなかったら、対抗位置にしたかったぐらい。寡黙位置なら圭斗さんかな。」

拓海は、言った。

「それなら二千翔はやめて君と圭斗さんの二択にしようか?それでもいいけど。」

千晶は、むっつりと言った。

「でも、圭斗さんの色は発言がないから皆に全く落ちてないよね。みんな二千翔さんと私なら迷いそうだけど、私と圭斗さんなら負けそうな気がするわ。私は村人だから、吊られなかったら村は勝てるはずだもの。ここで負けるわけにはいかないの。二千翔さんは確かに史朗さんと意見が同じで白く見えるけど、まだ白とは限らないから。」

明は、黙ってそれを聞いている。

拓海は、頷いた。

「じゃあ、そのまま行こう。二千翔と千晶さんで。」と、立ち上がった。「投票に行こう。」

全員が、それに倣って立ち上がった。

二千翔は、もう何も言わなかった。


今夜は、ジョアンが来てくれていた。

タブレットを手に、皆に場違いな様子で微笑み掛けた。

「皆さん、3日目の投票ですね。投票先は決まりましたか?」

拓海は、頷いた。

「二択にしました。もう投票できますか?」

ジョアンは、頷いた。

「ええ、大丈夫です。もちろん、7時5分までは考えてくださっていいですよ。」

まだ、7時10分前だ。

それでも、拓海はもう決めていたので、腕輪のカバーを開いて投票した。

それを見て皆も、悩んでいる人も居たが投票を始めていた。

明は、そんなみんなの様子を黙って眺めている。

そこからまた、占い位置を決めているのだろうと思われた。

…明さんが狼なら、面倒な狩人である二千翔を吊れば良いだけの話だ。

拓海は思った。

さっきの会話で、二千翔を吊りたいと理由をつけて言えば村の票は流れただろう。

それとも、狩人位置を知っていることを、拓海が知っているからだろうか?

それにしても、幸喜を噛めば良いだけだった。

幸喜も発言が伸びるので、狼からしたら絶好の噛み位置のはずだからだ。

それなのに噛んで来ないのは、明に自信があるからか?

いや、明なら噛む。

史朗なら、狐かもしれないと思っている位置なので、噛まないだろうと思われた。

それも、理央が狐であったならの話だが。

ジョアンが、言った。

「投票が終わりました。モニターに結果を送ります。」

全員が、モニターを見上げた。


1 畑山 史郎(しろう)→19

2 樫田 一真(かずま)→11

3 阿尾 浩人(ひろと)→11

4 中井 幸喜(こうき)→11

5 新田 圭斗(けいと)→19

7 生垣 優斗(ゆうと)→19

8 町田 礼二(れいじ)→19

9 羽田 (あきら)→11

10赤坂 (りゅう)→11

11浜田 千晶(ちあき)→19

14平野 美鶴(みつる)→11

17永浦 拓海(たくみ)→11

18三田 桔平(きっぺい)→19

19阿木 二千翔(にちか)→11


ジョアンは、言った。

「では、№11が追放されます。行きましょうか、千晶さん。」

千晶は、がっくりと肩で息をついて、言われるままに立ち上がった。

「…遺言とか駄目ですか。」

千晶が言うが、ジョアンは首を振った。

「駄目です、遺言は無しなので。ここまで皆遺言無しだったでしょう。さあ、4階に行きましょう。」

千晶は、諦めて歩き出した。

…二千翔は生き残ったか。

拓海は、ホッとした。

何と言ってもここを生き残ったら強いとはいえ、二千翔は狩人なのだ。ほんの数人ぶれただけで、二千翔が吊られる未来もあり得たのだと結果を見て思って、背筋に冷たいものが流れる心地だった。

「…占い指定しないと。」

千晶を見送って、幸喜が言う。

拓海は、頷いた。

「さっき言った通り、占い師達は相手の白先、グレー、どっちでも良いから占いたい場所を二人指定して欲しい。」

史朗が、言った。

「だったら、オレは美鶴さんと幸喜を占う。気になってるんだ。」

明が、言った。

「…ならば私は、優斗か圭斗にするかな。二人共寡黙位置で、色が気になる。」

拓海は、それをホワイトボードに書いて、頷いた。

「では、今夜はそれでお願いします。また明日の朝に。」

二人は、頷いた。

拓海は、やっと今日も終わった、と、息をついて皆とと共に部屋へと帰ったのだった。


『ごめん。』幸喜が、腕輪から言った。『思考ロックしてしまって。でも、まだどちらが真なのかわからないんだから、君もあんまり明さん側の意見ばかりを言うのはやめた方がいいよ。村人達が君について来なくなってしまう。』

拓海は、頷いた。

「うん、分かってる。でも、みんながあまりにも史朗さん寄りになってたからオレだけでもと思って。幸喜もそうじゃないか、史朗さん達がうるさく言うのを黙って長い間聞いてたくせに。」

幸喜は、それには後悔しているようだった。

『…それは悪かったと思ってる。でも気付いたでしょ?これじゃあ同じだ、と思ったんだ。二千翔と史朗さんが水を得た魚のように一方的に話すのを見てると、あれ、二千翔は狩人だけど色は見えてないし、史朗さんも二千翔の色が見えてないのになんでこんなに確定したみたいに話してるんだ?って。』

拓海は、答えた。

「確かにそうだけど。隆さんがおかしいと言い出したのも意外だったけどいい情報になったね。まあ、その前に明さんも、隆さんは違うかもしれない、って言ってたんだけどさ。」

幸喜は意外だったのか少し驚いた声で言った。

『え、あの前に言ってたの?』

拓海は、頷いた。

「うん。オレが追いかけて行った時にね。話を聞いていると違うかもしれないって。千晶さんの色次第だけど、投票も千晶さんに入れてて、あれだけ釘を刺したのに史朗さんは二千翔に入れてたんだよね。その事から、ラインが見えるなあって思った。明さん真なら史朗さんが狼だから千晶さんも狼だろう。史朗さんが真なら、明さんが狼だから千晶さんは白。これまで寡黙だった隆さんが明さん側の意見を出し始めたのを見ても、隆さんは明さん側かな。狼同士で少し牽制していたのかも?」

幸喜は、首を振ったようだった。

『違うって、その場合隆さん白が史朗さんから出てるんだから、隆さんは白だよ。どちら目線でも隆さんが白く見えて来た感じかな。』

拓海は、また頷いた。

「わからないけどね。幸喜が疑問を口にしてすぐ、隆さんがおかしいと言い出して流れが変わった気がするから、隆さんの功績は大きいよ。そうでなければ、千晶さんは吊れてないからね。一真だっただろう。でも…明日は、もしかしたら一真になるのかな。」

幸喜は、頷いたようだった。

『多分ね。霊能者を全員吊りきったらそこに2人外落ちた事になって、初日の呪殺も合わさって3人外落ちた事がクリアになるから。秋也が噛まれてる限り、どうしても一真への疑いは拭えないよ。明日はこのまま呪殺や護衛成功が起きなければ12人で最大5人外残り、5縄になるから、そこは吊って起きたいんだ。そうしたら、次の日10人4縄で最大4人外残りでしょ?まだいける。グレーを手探りで吊れるのは、今夜が最後だったわけだ。』

明日からは間違えられない。

拓海は、気を引き締めた。

だが、噛まれないとは限らない。

二千翔は吊り対象に挙げた自分達共有を守らないだろう。

守るとしたら、白っぽいグレーか、史朗…。

拓海は、不安になりながらその日の通話を終えたのだった。

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