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1日目夜

その日は終わり、朝陽が黒だったか白だったかも分からないまま、皆は部屋へと帰ることになった。

9時には帰らないと、健康チェックがあるのだ。

拓海が部屋へと帰って座って待っていると、昨日とは違う医師がやって来た。

「拓海さん。私はローレンスです。今夜は私が担当しますね。」と、相変わらず外国人なのに流暢な日本語で続けた。「お腹の具合はどうですか?」

拓海は、答えた。

「はい。夕飯を全部食べたんですけど、特にゴロゴロ言う事もなくて痛みもないです。疲れも、昼間に注射してもらってから全くないです。」

ローレンスは、微笑んで頷いた。

「それは良かった。体力や筋力が落ちている状態でこちらへ来ましたからね。今、何とか回復しようとしているところなんですよ。お顔の色も良いですし、これからもっと楽になるでしょう。」と、点滴のパックを出した。「今日も少し栄養の補充と、体調を整えるためのお薬を入れておきましょう。昨日の血液検査の結果は良かったですし、問題ありません。」

拓海は、首を傾げた。

「昨日採血しましたっけ?」

ローレンスは、笑った。

「ああ、寝ている間にやりますからね。できるだけ不快な思いをおさせしないように考えておりまして。この点滴も、終わったら明け方抜いておきますから安心してください。」

拓海は、頷く。

今は快適なので、寝ている間に何をされても文句はなかった。

ローレンスは、昨日のマルコムと同じように、薬をトレーからあれこれ出しては注射器で点滴へと注入していた。

「…ではこのままで。少しずつ体が思うようになって来ますから。ただ、これまでが衰弱していて動かなくなっていたので、あれこれ衰えているんですよ。大丈夫ですよ。」

拓海は、頷いた。

…それでも、これで勝てなければやはり3カ月後には死ぬのことになるのだろう。

拓海がそう思っている中で、ローレンスは微笑みながらカートを押して、廊下へと出て行った。

ため息しか出なかった。


しばらく、そのままウトウトしていると、尿意をもよおして来てハッと目を開けた。

もう10時になりそうだ。

拓海は、急いで点滴のスタンドを押してトイレへと向かい、手を洗って出て来たら腕輪が鳴った。

…10時か!

拓海は、慌てて応答ボタンを押す。

「もしもし?ごめん、トイレ行ってた。」

幸喜の声が笑った。

『まじか。ごめん、点滴してるんだよね。だったらトイレも行きたくなるよなあ。いいよ、待つよ。』

拓海は、首を振りながら点滴を引きずってベッドへと座った。

「いや、今出て来たんだ。それで、明日からどうしよう。狩人が誰なのか分かったらいいんだけど。」

幸喜は、言った。

『だったら、明日狩人に自分に密かに狩人だって知らせてくれって言ったら?普通のゲームと違って、時間が多いからいくらでも行けるよ。オレも訪ねるし、みんなに来てもらったら狩人が透けないんじゃない?そうだ、一人一人面談してみたら?その時、狩人だったら言ってもらうんだよ。そうしたら、狩人が共有者には分かるから、護衛先も分かるよね。』

拓海は、狩人は分からないものだと思っていたので、それを聞いて良い考えだ、と視界が広がる気持ちだった。

そうだ、狩人に共有者の自分に知らせてもらったらいいんだ。

「そうするよ。」拓海は、言った。「凄いな、幸喜は。いろいろ思い付くんだ。オレ、全く分かってなくて朝陽さんのことも二千翔にやってもらってたりして。オレが話しに行くべきだったのに。」

幸喜の声は、慰めるようだった。

『そんなに深く考えなくていいよ。できる人がやればいいんだし、明日の朝陽さんの色が確定するといいんだけど…多分無理だろうな。霊能者のラインが分かるだけでもいいかもしれないけど。』

拓海は、頷いた。

「今夜朝陽さんを吊ってるからね。明日結果が二対一になっても、一の方が間違ってるとは限らないんだ。明さんが今日言ってたもんね。」

幸喜は頷いたようだった。

『そうだね。明さんはめっちゃ頭の切れる人だから、人外でも村利のある動きをするとは思うんだよね。だから、できたら明さんが真で確定してくれたらめっちゃ助かるんだけど…明さんが占うのって史郎さんだよね?…狐あるかなあ。』

拓海は、顔をしかめた。

正直、明と理央の二人が特徴的で、他の二人は印象が薄い。

とはいえ、宏夢は最後に占い先を決める時には、白く感じた。

史郎は全く分からなかった。

「…ある意味、色が全く分からない位置だから明さんに占ってもらったら分かりやすいかも。黒だったら対抗位置だし、白だったら真か狂。呪殺されたら狐。村人からは黒が出た方が分かりやすいよね。」

幸喜は答えた。

『だね。どちらにしろ、ラインが見えて来るから良いんじゃないかな。明日はまた補佐するから、状況次第で決めて行こうよ。呪殺が出たらいいなあ。確率は結構あると思うんだけど、誰が狐なのか分からないし、そもそも狐が出てるってのは当然そうだろうって意見なだけで、実際出てないかもしれないものね。』

拓海は、ため息をついた。

「そうなんだよ。あんまりにも全員が占われる事に構えてもないから。宏夢が言うように、何も分かってない理央さんが狐だったらそうなのかなって思えて来てるけどね。でもその場合、相方はどうしてるんだろう。なんで理央さんに出させたんだろうなあ。」

幸喜が、答えた。

『多分だけど、初日ってグレー吊りが安パイじゃない?人外の数を考えても、霊能に二人、占いに二人なんて出て来るとは思わないじゃないか。だから、グレーで生き残れそうにないから占い師に出させたって考えたら辻褄合うなあって思うけど。あんな感じだったら、とりあえず占い師に出させとけば初日は吊られないじゃない。でも、相互占いはいつか絶対やるから呪殺される事になる。だから、占い師に相方の誰かが出ていたら、グレーに残ってる狐の理央さんは絶対に生き残れないじゃないか。だから、陣営勝利のために出させたんだと思う。多分、だけどね。こんなに早く相互占いをするとは思ってなかったと思うけど。』

確かにそうだなあ。

拓海は、ウンウンと頷きながら思った。

グレーで生き残るには、ある程度話ができないとマズい。

明のような人が、残してもSG位置にとか言って、さっさと初心者で動きが見えない理央さんを、吊ってしまうかもしれないからだ。

現に、二千翔は面倒だから占い師吊りだったら理央を吊ると言っていた。

幸喜が言う事が、正解のように思えた。

とはいえ、それは理央が狐だった場合だ。

「…でも、理央さんの事はまだ分からないから。狐だとしたらそう考えるとしっくりくるけど、でもなあ。ほんとに占い師は色が全く分からない。明さんでさえ、明日黒が出たらそうかもしれないと思ってしまうし、白が出たら真かなと思ってしまう。いくら何でも、霊能者に二人も人外が出てるんだし狂信者はあっちだろうと思うし。」

幸喜は、言った。

『だね。とにかくすべては明日だ。』と、大きなため息をついた。『これでまだ一日目だよ。もう疲れて来たけどねえ。さっさと済ませてしまいたいけど、オレはまだ出られないなあ。』

拓海は、そうだった、と言った。

「いつ出る?明日の吊り先はまだ分からないけど、明後日からはグレーに黒が出て来たりするよね。幸喜に黒は出ないと思うけど…しっかり発言してて、見るからに白いから。どう思う?」

幸喜は言った。

『ちょっと怪しい動きをしとく?でもあんまり黒くなったら対象に上がるかもしれないしなあ。村人目線じゃ、オレはまだ理央さんの白先でしかないから。確定白とは知らないんだよね。占わせるのが一番いいんだけど。明日の指定先に入れて欲しいな。』

拓海は、頷いた。

「そうする。明日の結果次第で、誰かの占い先に幸喜を入れるよ。」

幸喜は、大きな欠伸をした。

『じゃあ、もう寝ようか。明日も6時に起きなきゃ。誰が襲撃されるのか気になるしね。』

拓海は答えた。

「ああ。じゃあまた明日。」

通話は、切れた。

明日は誰が犠牲になっているのか、それともなっていないのか、拓海は気になって仕方がなかったが、狩人が自分を守ってくれている事を祈って、眠りについたのだった。

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