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第最終話 ホワイトデーのお返しは?

 三月十三日。

 明日は十四日で、バレンタインから一か月が経過し、ホワイトデーと呼ばれる日となる。

 去年までは鈴音さんになにかお返しをするだけで済んだのに、今年は少し量が多い。


「え、龍輝君? そのブラックサンダーどうするつもり?」

「ホワイトデーのお返しですけど?」


 義理なら重くなりすぎず、簡単なものがいいと判断した結果こうなった。


「いやーそれはお姉さんどうかと思うな。ウチはほら、毎日顔を合わせるわけだからいいけどさ。学校のしかも女子高生にあげるなら物は選んだ方がいいと思うなー」

「なら一つ聞きますけど、女子高生が望む物ってなんですか」

「それは......なんだろうね」


 これである。

 時の流れとは残酷で、かつて女子高生だった女性でも今時の女子高生が望むものは分からないのだ。


「そこはほら、身近に現役の女子高生が三人もいるんだから聞いたら」

「金、愛、先輩。だそうです」

「うわぁ。非情な現実」


 まともに役に立たなかったんじゃい。

 義理チョコあげた相手から現金渡されても困惑するだけだろ。愛と先輩に至っては無理がありすぎる。


「ホワイトデーのチョコって一人にお返しする用で、高いし義理で返すものじゃないんですよね」

「まあ、社会人になればバレンタイン自体ないし貰うってことはイコール本命だからね」


 女性からの義理はブラックサンダーなのに男からの義理はなにもないってひどすぎやしませんか製菓会社の皆さん。


「まあでも、義理とは言えさ手作りを渡されたわけだからその辺はね? ほら。あるじゃん」

「なにもないから困ってるんですよ」

「龍輝君しか持たない権利とかさ。ね? 生徒会長」


 鈴音さんの言葉に俺はハッとなった。

 そうか。あるじゃないか。今年一年ではあるが俺にしか持たない権利が。


「優先権的なのでいですかね」

「学生のうちはそれでいいと思うよ。ああ、多少の厳しいかなと思うことならやると特別感でて十分だと思うよ」


 なるほど。そのアドバイスはありがたい。



 次の日、三月十四日。

 ホワイトデー当日。


「義理チョコのお返しは、優先して書くってことでいいか? しかも多少の無理は通すってことで」


 俺が言うとそこそこ良い反応を貰えた。

 ま、中にはそれが目的だった奴もいるだろうし当たり前か。


「あ、山田」


 席に戻ってそうそうに声をかけてきたのは義理チョコブームの発端の人物。


「どうした。不満か」

「あーいや。そうじゃないんだけど、山田の家って民泊じゃん? 広いじゃん?」

「まあ、そこそこ」

「誕生日パーティーしたいんだけどいい?」

「それならカラオケとかでやればいいんじゃいのか?」


 俺の陽キャの誕生日パーティーのイメージがそれ。


「それはそうなんだけどさ......お金かかるじゃん?」

「うちもタダってわけじゃないぞ」

「いくら?」

「......聞いてみる」


 俺がそういうと肩透かした。

 仕方ないだろ、パーティーとして使用の場合の金額なんていちいち覚えてない。

 ここ最近は新しい人だって入って来てないし。

 俺が内容を送信するとすぐに返って来た。


「友達なら金は取らないってさ」

「友達だよね?」

「......」

「ね?」

「おう」


 アツ、コワイ。

 穏便に済むならそれでいい。

 しかし、完了したのは義理チョコへのお返しだけである。

 一番大事な本命チョコへの返しがまだ終わっていない。


「海原。ホワイトデーのお返しはなにがいい」

「先輩が欲しいです」

「それじゃ分からない」

「はしたない女に見られたくないので、そうですねぇ.......」


 もう手遅れだけど一応声には出さないで置こう。

 ちなみにだ。金谷には既にお返しはしてある。

 改めて聞くと、「汚物を見るような目」と要求されたのでその場で即返却してやった。


「そうです! もう二度とあんなことが起きないように!」


 なにか閃いたらしい海原が大声で叫んだ。


「先輩のお家に一生泊めてください!」

「一生?」

「そうです! どんなにわたしを嫌いになっても、飽きても先輩は一生わたしを泊めなければならないのです」

「実家はどうするんだよ」

「たまーに帰省します」


 両親涙目。

 まあ、俺的苦労もないし大変なこともないからそれでよしとしよう。

 ここで断ったらどんな強烈パンチが飛んでくるか分からないからな。


「なにそれ。民泊主限定のプロポーズかなにか?」


 真っ黒なブラックコーヒーを飲みながら鈴音さんが言った。


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