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第序話 痛みを伴う美少女との出会いなら結構だ

春と言えば出会いの季節。高校二年生になってもそれは変わらない。

 進級した俺、山田龍輝(やまだ りゅうき)も例外じゃなかった。


「なんだ不満か。私が折角気を利かせて海原海老名(うみはら えびな)の宿をお前の家に指名したっていうのに。ん?」

「不満もなにもこの状況で不満がない方がおか......いででで! 不満ない! ぜったい!」


 ただこんな強引且つ物理的痛みを伴う出会いなら一生独身でいい。

 職員室の真ん前で俺は担任から物理的、精神的に苦痛を与えられていた。


「先ぱーい。お願いしますよ~」


 甘ったるい声でそうお願いするのは後輩と名乗る女子生徒。


 アルビノでこの世の物とは思えない白い髪色に加え赤目という街中なら人目を引くである容姿をしている。 ニコニコと笑顔を振り撒くがそれが偽物であることくらいは俺でも分かる。

 そして俺は今この少女に家に泊めろと迫られてるわけだ。なにこの状況。


「冗談じゃない。家に他人がいるだけで息苦しいってのに」

「お前実家宿屋だろ。部屋はあるしお前の家くらいしか使えるのがないんだ」

「そもそもこいつの実家は」

「それが......お母さんと喧嘩して......それで飛び出して来ちゃいました☆」

「野宿でもしてろ」


 そんな無鉄砲女に付き合うほど暇じゃないし家も広くない。


「聞くが、宿代は払えるのか?」

「えーそこは後輩割ってことで」

「商売舐めんな」

「え、あのじゃあ......身体で払います......」


 自分で言って自分で照れるビッチの図。可愛いじゃねぇかちきしょうが。

 耳まで真っ赤にした海原は白い髪を指でくるくる。


「宿代が現金で払えないなら無理だ。気まずくても家に帰るんだな」

「正論ばっかでつまんないですね。死んだ人の目で言われても説得力ないですよ」

「うるせぇ。俺は生まれつき死んだ目をしてんだよ」


 中学時代、家に女子高生が民泊で泊まった日には一日おもちゃだぞ。ふざけんな。

 なにが風呂に一緒に入るだ。決まりで入れないんだよ馬鹿野郎。


「まあ、宿泊費についてはわたしから山田の親に言っておこう。安心して持ってけ」

「言い方! 仮にも生徒だろ。持ってけとか物扱いするなよ」

「先輩......死んでるくせに優しい」

「ゾンビが全員肉食だと思うな。ベジタリアンがいてもいいだろう」

「ちょっと意味わかんないですけど先輩の家にレッツゴー!」

「あ、俺自転車だからお前は歩いて来い」


 自転車法律だかなんだかで二人乗りは禁止だしな。


「せんせー助けてください」

「ようし。任せておけ。こういうイジワルな先輩はな。逃げようとするところを引っかけて寝技に持ち込めば簡単に落とすことが出来るぞ」

「今度やってみます!」


 勘違いするな、落ちるのは恋にじゃなくて意識だぞ。


「ギブギブ! ちゃんと案内する! ぜったい!」


 この人に関節技をかけられたら大人しく従うに限る。合気道と逮捕術習得者の束縛から簡単には逃げられない。


始まりました。ラブコメ。最初に書こうと思っていたものよりかはだいぶ離れてしまいましたがやってみたいことではあるので挑戦あるのみ。

今作もバリバリと執筆していきますのでよろしくお願いします。

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