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9話:決闘…学園生活は過激に始まる。

今回もギャグは無し、新キャラが結構出てきます。

 ……二日目、今日は晴れ。


 余りにも早く起きたので二度寝しようかとも考えたが止めた、昨日の事が気になったからだ。


 ……今までの話を整理すればガム君はこの学園の生徒会長であり、その謎の権力から様々な政策を打ち出した訳だが、そのおかげでアンチ生徒会な反乱軍なんてものが生まれてしまった。


 なのに、ここまで政権転覆が起きなかったのは、つまり、一年前の学園にガム君を倒せるに至った人物が居なかったと言う事ではなかろうか、武力で生徒会を制圧すれば生徒会の権利が移るのかどうかは聞いていないし知らない、しかし反乱軍と言う武力で権威に反抗する存在がいる事はその証左ではないだろうか。


 もし何かが起きるとすればこの新年度と来年度か、新入生の流入の時だ。


 その点において、昨日出会った死んだ目の不良生徒、恐らくは新入生 ──同級生に居たら既にガム君は叩きのめされている気がするから── であろうあの存在は気がかりである、どうしたものだろうか……直感だが、殴り合いの喧嘩ならまず負ける気がする、タフネスが足りない。


 そもそも喧嘩したくないしなぁ、ぬぅ、何とかならないだろうか。


 ん……そろそろ出ないと不味いな……




 ────────────




 点検の終わったエレベーターを降りるとマンションの入り口に氷室さんが立っていた。


「氷室さん、おはよう、昨日は急に出て行ってしまって、申し訳ない……本当に、ごめん」


 心配してただろうに、ミルフィーユ仮面二号とかやっててごめんなさい、心の中で謝る、こればかりは口に出せない。


「会長……大丈夫……なんですね? 」


「あぁ、勿論……メグミ君やマスターさんにも謝らないといけないな、あんな態度、失礼にも程があるからね」


「そうですか……」


 ……首輪も鞭も蝋燭もアピールしないとは……これは重症だな、こっちの事をそこまで気負う必要は無いのに……いや、あんな事したら心配しても当然か、彼女程優しければ。


「その、氷室さんは、私の事を心配してくれているのかな? 」


 うわ……めっちゃナルシストっぽくなっちまったぞ。


「いえ……そんな事は⁈ 」


 そんな驚きながら言うのは「そうです」と言ってるような物だ……これが俺の問題なら話は別だが、この人の場合、やはりガム君を見ている気がする。

 ガム君の問題ならば、ある程度詳しく知るべきだろう、今後に関わる事でもある。


「……私の目も節穴じゃない、分かる事は分かるさ」


「…………会長は、やはり変わりました……」


 泣きそうな笑顔……そうだろう、恐らく氷室さんはガム君について特別な感情を持っている、それがなんなのか、断定は避けるが……その人がこうして豹変してしまった訳だ、無理もない。

 だからと言って周りに無慈悲になれと言われてもなれないし、氷室さんだって、きっとそんな所は見ていない……彼女は、きっとガム君の良いところを見ている筈だろう。


 ……そもそも、こちらがここに来たのは、神様が転生させたからだ、だが何故ガム君が選ばれたのか、分からない。 何の為に俺なんかを、何もない、そんな俺をここに持ってきた意味も分からない。


 結局、分からない事だらけなのだ。 だからと言って、ここに居るのは、眠ったままの親鳥に、産まれたばかりの雛、ぼーっと呆けていればたちまちに喰われてしまうだろう。 やる事は少なくはない筈だ。


「…………餓無、君はどこまで知ってるんだい? 」


「…………? 」



 何も答えない、二日目の通学路は、物静かだった。




 ────────────




 ……ってな訳で……教室の割り振りが入り口あたりに張り出されてたのを見て、教室前までやって来た訳だが……クラスは4つ、A、B、C、Dクラスだ、別にクラス毎に能力別に分かれているなんて事はなかった。因みに氷室さんと俺は別のクラスだった、どうやらガム君が取り決めた異能のランク付けは、異能訓練の授業において適用されるそうだ、いや、ランク付けしておいてそれ関係なしに混合クラスとか……クラス内カーストが過激になるぞ……大丈夫か?


 俺のクラスはAクラス、氷室さんが隣のBクラスで……ミルフィーユ仮面一号は……そもそも同級生なのかあの人?


 ともかく……いよいよ、クラスメイトとご対面だ、ご立派な装飾が施された扉の向こうでは既に楽しそうな談話が聞こえて来る、俺は、ゆっくりと扉に手をかけ……開く。




「………………」




 見ろ、どうやらガム君は時を止める異能の持ち主だったらしい、ほら先程まで和やかに会話を交わしていた女生徒が一瞬にして固まっている、座席が雛壇のようになっているのも合わせて隈なく教室を見渡せるが、軒並みフリーズだ。




「お、おはよう、皆」




 見ろ、必殺の会長スマイルだ、クラスメイトに効果は抜群、ほら先程まで調子に乗って風の異能を使っていた男子生徒が顔を青ざめさせて小鹿の様に足を震わせている。 と言うかやっぱり異能のダブりってあるんだな、1人に一つずつとは限らないか。


 これ以上会長の必殺シリーズを披露すれば最悪失神者が出そうなので大人しくしておく、この一瞬でクラスメイトがガム君をどう認知してるかが一瞬で分かったぞ、最高の学園生活になりそうだ……はっはっは。




 暫く大人しくして居るとまたじわじわと会話が戻る……かと思ったがそんな事はなかった、さながらおっかない体育の先生が担当の自習の時間である、え? ガム君クラスメイトが喋ったら何かしてたの? 集団イジメならぬ、集団をイジメてたの?


 ……周囲の視線が割と前の席にいる俺に集中する。 居心地が悪すぎる、これ以上この場に居たら何かに精神が苛まれそうだ。



「や、やぁ……」


 視線を近くの男子へ送る。




「ヒェッ……い、命だけは……」


 彼は今にもその口から魂が出そうな程の恐慌を見せる。


 ……俺死神じゃないよ⁈ 寧ろこっちが怖いわ‼︎




「あの…….君は……」


 近くの女子へ声をかける




「……やだ、やだよぉ……」


 彼女は今にもその双眸から雫を溢れささんとする。


 やめてそんな絶望した声出さないで、こっちが絶望するから。これから先の生活に。




 ……遅めの人格変化(高校デビュー)の甲斐なく、俺はガム君として、そのまま恐れ続けられる事となった。完璧なバッドコミュニケーションである。


 ……周りに人が寄り付かないのはボロが出ないから良いのだが、それではガム君はいつまでも社会復帰出来ない、その上いつかクーデターコースである、長持ちする独裁者は力があるからこそ、力の無い今の状態では最短夏休み前にKOだ。ガム君の問題は最終的にガム君が解決する、その為に、まずは土台造りも兼ねた仕事、人脈作りをしなければならない。




「お、おはよう、今日はいいて「ゆ、許してください……会長が氷室さんを好き勝手にしてるなんて噂を流したのはほんの嫉妬心で……」……えぇ? 」


 はっきり言い過ぎだろこの人、寧ろ挑発してるレベルじゃん……と言うかこんな調子じゃいつまで経っても人脈増やせんぞ……このままだと増えるのはクラスメイトの恐怖だけだ。


 ……何とか話を通せる人は……へぶっ‼︎ ……何これ? 手袋?


「決闘ですわ‼︎ 」


 は、え、は?


「……へ、何? 」


「異能を使った決闘ですわよ‼︎ それ以外に手袋を投げる理由がありまして⁈ 」


 凄いキレ気味にこっちに寄って来てるんだけど……いや怖い怖い怖い‼︎


「負けた側は勝者の言う事を何でも一つ聞く、勝者の権利はこれで良いのでしょう⁉︎ 」


 腰のサーベルをこちらに突きつけた彼女は……金髪……ドリルツインテ……碧眼……ナイスなボディ……いかにもなお嬢様風、なるほど、彼女こそが、ガム君の言っていた……「やたら楯突く貴族の令嬢」か。


「何ですって⁉︎ やたら楯突く⁈ 何と礼儀を欠いた物言いなのでしょう‼︎ 貴方はいつから蛮族になりまして⁈ 」


「ヤバっ口に出てた……いや、それはあの楯突くって言葉は別人の言葉で……」


 我ながら訳の分からない言い訳である、と言うか決闘など言語道断である、異能の使い方を一切知らずに決闘など無手で戦車に挑む様なものだ、既に異能同士の戦いは見ている、あれに耐え切れるとは思えない。


「……今日はお腹が痛くて……」


「それならばわたくしは不戦勝となりますわね」


 無茶苦茶ァッ⁉︎ ふざけるのもそのドリルツインテだけにしてくれ‼︎


「いや、だからそれは……「模擬戦を許可しよう」……ファッ⁈ 」


 誰だ今の⁈


 声の主は、探れば直ぐに見つかった。

 三日月の様な形の雛壇形の座席、その全てが向く先、教卓に1人の女性が立っていた、くたびれた白衣に波打つ長髪、狸じみた垂れ目とニタリと開く口元が非常に胡散臭い。 制服も着ていないと来れば考えられるのはただ一つ……担任だ。


「模擬戦を許可する」


「いえ、2回言わなくても伝わってます、ですが今模擬戦は……」


「何か都合が悪い事が? 」


 何でこんなこっち追い詰めて来るのこの先生⁈


「わたくしを幾度と無く打ち負かした貴方が何を今更怖気づいているのです? 」


 ……いや、ダメだ、この雰囲気をどうにか出来る気がしない……どうすりゃ良いんだ……彼女の異能さえ分かれば……


「わかり……ました、決闘を受けます」


 どうする、こっちもお嬢様ぽくなって対抗するか? 不意をつければある程度の間合いでなら取り押さえられるのは氷室さんで実証済み……ミルフィーユ仮面二号もアリかと思ったが、正体がバレるから不可だな。


 こちらの許可を得た彼女は意気揚々スキップしながら教室を出て行った……何でスキップ?


「白山、お前はあんなに熱烈にアピールする女子に対して素っ気なさすぎるぞ、見ていてアイツが気の毒だったくらいだ」


 ……どう言う事だ……話が見えん。


「たった一度の模擬戦で、お前はアイツは異能を全く使いこなせていない、そう言って全く相手にしなかったな? それがアイツの闘争心とプライドに火をつけた訳だ、今のアイツを見ても驚くなよ? 」


 いや、どうやっても驚くしかないからぁ‼︎ いきなり第二形態から戦わせちゃダメだって‼︎

 不味い……それが本当なら相手のモチベーションは異常に高い、そんな相手はガム君の異能を既に経験しているわけだ、勝てるのか……いや、最悪勝てなくても……



 いや、待て、反乱軍が居る、生徒会のトップである生徒会長が敗北を喫せば……良くて生徒会長交代、悪くて生徒会長拉致監禁コースになるかもしれない、反乱軍がどれだけの存在かをまだ知らないのだ。最悪を考えれば、ここは勝つしかない……畜生めぇ。



 ……そんなこんなを考えながら彼女らに着いていくと、体育館の様な外観のスタジアムに辿り着いた。


 これが、異能学園の洗礼か……ははは……

やっと、やっとタグにもあった転生特典を出せる……転生特典って言ってもこの異能世界で役に立つかは不明ですが……





ガム君と俺君どっちの方がTSが似合うのだろう。

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