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4話:拒絶…知るは幸福か知らぬは不幸か

今回は作者渾身のガバガバ知識が出てきたりします、間違ってたら許してヒヤシンス……

「これより、国立湊谷学園第30回、入学式を行います」


 職員のアナウンスからの、きりーつ‼︎ れーい‼︎ ちゃくせーき‼︎ ……あの頃に戻った感じだな、なんとも言えない感慨がある……感傷に浸っている場合じゃない、頭の中で原稿を繰り返せ、繰り返せ。


 職員が「生徒会長、挨拶」と言ったら、俺は歩いてお立ち台のど真ん中まで行って挨拶する訳だ、新入生がどんなものやら……あんまりにも酷かったら逃げる事も考慮に入れなければ……貴方の冒険はここで終わってしまった……なんて出落ちは避けたい。


「次は、生徒会長、挨拶」


 来た来た……お願い何事もなく終わって……‼︎



 ────────────



 ……ここがホール、凄い大きい……あの2人の先輩のおかげで、ここまで辿りつけた……もっとちゃんと感謝を伝えたかったけど、後で会いに行けるのだからその時にしよう。


「ねぇ…………アナタ? 」


「えっ? 僕……ですか? 」


 隣の席に座る女の子は頷いて無言でこっちを見ている……ちょっとこわい……ホールは真っ暗で表情も良く見えない。


「……アナタはどうして……ここに来たの? 」


「僕は……異能を制御する方法を知る為に……」


「そう……良い向上心ね……私は……私は、見つける為にここに来たの」


「それって……どうい…」


『次は、生徒会長、挨拶』


「……始まるわね」


「……? 」


「……決まっているでしょう? 私達の学園生活よ……」


 何故だろうか、目を離せない、生徒会長の方を向こうにも、首が回ってくれない、生徒会長の声も、耳には届かない、異能……なのかな……


「知っているかしら……生徒会長は、この学園で1番強い人間がなれる存在だ……そうよ」


「1番強い……」


「私は……不器用なの、1人じゃ、分からない……分からないから、何かの1番の人に会ったら……分かる気がするの」


「……どうして、そう思ったの? 」


「1番上は……きっと独り……同じ、だから……」


 他の生徒は席を立って礼をしている、でも、どうしても目が離せない、僕らだけ座っていた。

 だから気付くのが遅れてしまった……空気を揺らす羽の音に。




 ────────────




 ……はぁ、何事も無く終わってくれて良かったよ……本当に……幾らかの新入生には敵意バシバシの目線飛ばされてたけどね……よし、きりーつ‼︎ れーい‼︎ 後は舞台袖に戻るだけ……ん? 待て、待てよ……何故にさっきからヘリコプターの風切音がする? 近くなってきてないか……俺の危機感知アンテナ的なのが何が来ると言っている気がする…………可能性を考えろ‼︎


 ────1番目、お嬢様系キャラの到着、お嬢様系特有の無駄にド派手な登場、もしヘリコプターから飛び降りると言うならそこには大抵主人公キャラがいてラッキースケベコースだろう。

 考える中で1番マシな可能性だ。


 ────2番目、何らかの事故、ヘリコプターが操縦不能になったが為にここに墜落しかけている可能性だ、だがこれならば少なくとも会場に連絡の一つ二つは入る、それどころか警報もんである。

 これは最悪寄り、だが最低ではない可能性だ。


 ────3番目、テロリスト、何故この考えが出たかって? 学園異能バトルもんならお決まりだからだよチクショー‼︎ 最悪も最悪、最低の可能性だ、いきなり武装持った奴らが押し入って来て、この世界で生まれて1日も経ってない俺とピチピチの新入生で何が出来るってんだ‼︎ 氷室さんなら十分可能性はあるが……怪我をさせたくはない……‼︎

 甘い考えかも知れないが、この世界の考えにすぐに染まれる程(前世)の記憶は薄っぺらくはないからな。

 いざと言う時は……ガム君には悪いがこの身体で頑張るしかない。




 ……よし思考終わり‼︎ 取り敢えず打てる手を打つ‼︎


「氷室さん‼︎ こちらへ‼︎ 」


「は、はい⁉︎ 」


 氷室さんと共に舞台袖にまで伸びている壁側のカーテンに身を隠す。


「か、会長‼︎ 流石に入学式で隠姦は……‼︎ 」


 何、その申し訳程度の羞恥心⁉︎ いや無かったらお終いだけどさぁ‼︎


 ガタン‼︎


 今の何だ……何かが落ちてきた音か……ヘリコプターの風切音がより明確に分かる……まさか……


「会長‼︎ 天井に穴が‼︎ 」


 うっそぉ……綺麗な丸い穴……これ事故じゃないよね、テロリストコースじゃん……


 カーテンに身を隠し、氷室さんを抱き抱える体勢をとる。


「氷室さん、今から何が来ると思う? 」


「……反乱軍(レジスタンス)でしょうか 」


 仕事モードの氷室さんは頼もしい、冷静な目があればもっと考えを巡らせられる。確かに……反乱軍って可能性もあるだろう、だが、反乱軍は同じ学園のメンバー、つまり高校生だ、その歳でヘリのパイロットに成れるだろうか?

 いや、この世界の常識で考えたら、あり得る事かも知れないが……こっちの普通に考えれば高校生が、こんな大それた事、出来るはずもない。


「多分……違うんじゃないかな 」


「では……会長は一体何だと」


「テロリストとか……かな」



「ガキ共‼︎ 動くなぁっ‼︎ 」



 大当たり、畜生……ワーストワンな当たり目だよ。


 ……暗くてよく見えんぞ……穴の空いた所から漏れた光でリーダーっぽい大柄な奴の姿と垂れ下がったロープが見えるが……っていや他の奴らは普通に出入り口から入ってくるんかい‼︎

 いや待て、それなら1番目の派手な登場をするお嬢様系コースもあり得る可能性が‼︎



「俺達は、反能力者(アンチ・ギフター)‼︎ 貴様ら能力者が、いかに無力かを証明する為に来た‼︎ 」


 ですよねー、明らかに大柄のゴリラさんだもの、しかし、銃を持っているとは……まぁ、俺だって丸腰で能力者と戦えとか言われたらアレだけど。


「右の通路に2人、左手には2人、真ん中の通路に1人、リーダー格は舞台に上がってきています」


「見えるんですか⁈ 氷室さん‼︎ 」


「しーっ、声を抑えて下さい、会長、私は昔から夜目が効くように訓練されて来ましたから」


 しかし……思わぬ所からの情報源、これは助かる‼︎


「何⁈……生徒会長の姿が見当たらないだと⁉︎ 」


 ……しかし、思わぬ所からの情報源……これは助かる……ハッハッハッ、はぁ……


 ふざっけんな‼︎ 何でガム君狙いな訳⁉︎ 反乱軍どころかテロリストにまで命狙われてるんだけど⁉︎


「ガキ共‼︎ どこに隠したか知らねぇが、生徒会長を差し出せば、無事は保証してやるかも知れないぞ‼︎ 」


「……不味いですね、このままでは」


「氷室さん、氷で全員凍らせたりとかは……」


「今の状態では不可能です……水さえあれば……」


 水……水?


「私の異能は、氷の力、水と言う触媒が存在すれば射程も規模も伸ばせる力なのですが……」


「触……媒? 」


「炎ならば可燃物、水や氷ならば水、雷ならば金属、風は空気そのもの、他にも存在しますが、そう言った物が存在する事で物理的異能はより力を増す事が出来るのです」


 水……


 ────────────


「……炎の異能とか冬場便利そうだな……」


「……私が熱を操る能力者であれば……会長を温めるにも生憎手持ちには蝋燭しか……不覚……」


 むしろ何で蝋燭持ってるの? 火災報知器あるよね、流石にそれは分かってるよね? さっきの感動返して?


 ────────────


 そうだ、火災報知器があるなら、スプリンクラーも備えている可能性は十分にある、筈。


「オイ‼︎ 生徒会長さんよぉ‼︎ 会長の癖にこの生徒らを見殺しにして良いのかね‼︎ 」


 抵抗しようとした生徒が銃床で殴られ、気絶している、次は無さそうだ。つまり、時間が無い……ここは賭けか……


「氷室さん、さっきの蝋燭と、火を着ける道具は? 」


()()ありますが……」


 勿論あっちゃダメなんだよなぁ……いやこの時ばかりは助かった‼︎


「今から火災報知器に火の着いた蝋燭を投げ上げます、煙感知でも熱感知でも火感知であっても、起動すればスプリンクラーも作動する筈です、多分」


 火災報知器のチラシ配りで得た申し訳程度の知識が役に立つ時が来た、真下で蝋燭着けてもこの距離じゃ作動しない、カーテン燃やしたら最悪全員が火に巻かれる可能性がある、なら出来る事はこれしかない。振った時に消えない様に注意して投げるだけだ。


「スプリンクラーを作動させる気ですか⁈ ですがそれでは会長がテロリストの前に身を晒す事に‼︎ 私が代わりに……‼︎」


 引き止められる訳にはいかない、差し出されかけた蝋燭とライターをぶんどって、真っ赤で太い蝋燭に火を着け、カーテンから出る。

 幾ら氷室さんでも、銃を防げたとして人質を取られたら終わりだ、彼女が人の死を許容出来る性格をしてるとは思えない。


「鬼さんこちら、手のなる方へ‼︎ 」


 蝋燭を天井へ投げ上げながらテロリスト達の視線を集め……


 ……て……


 アレ….…どうして……床に寝そべって居るんだ……足が、動かないんだけど…………あぁ、足撃たれたか、こりゃ不味い……いや、殺す気の相手から致命傷を回避出来ただけマシか。


「おうおう、その顔……生徒会長直々にとはな、その意気に免じて鬼さんが来てやったぞ、鬼さん特製、地獄への片道チケットだ」


 思ったより練度が高かったな、行動がいちいち素早い、開放された女子生徒も恐怖でまだ動けてないし……と言うか痛みを何故感じないんだ……(前世)だって腹刺された時はそりゃもう痛かった筈なんだが……


「これで俺達の証明は果たされる」


「……だけど……鬼さんが俺をタッチ(銃撃)したんだ、今度はこちらが鬼になる側だろう? 」




『火事です、火事です』




 ……やっと来た、天使の声に恵みの雨だ。


「何だ⁉︎ 雨か……ウグッ‼︎ 」


 舞台の後ろ側から無数の氷の矢が雨を伝って、生徒達を跨いで向こう側のテロリスト連中までも穿っていく……いや勿論不殺だろう、氷漬けな以上凍傷を避けるのは難しいだろうが。


「会長‼︎ 何て無茶を‼︎ 」


「いやぁ、仕事が早いね、氷室さん。だって、氷室さんを出したとして、下手したら氷室さんが撃たれてた訳でしょう? そしたらこちらは逆転の可能性を失う上に、氷室さんが乱暴される可能性も……」


 平手打ちが飛んできた、いや氷室さん、ガム君の身体で好き勝手した挙句怪我させたのは本当に申し訳ない、事情が事情だから言えないけど、出来るだけ早く返すから……ユルシテヒヤシンス。


「馬鹿ですか‼︎ 」


 もう1発平手打ちが飛んできた、MはSってこう言う事なんだね、身をもって理解したよ。……なんてのは、流石に冗談が過ぎる、氷室さんを悲しませた罪は重い、これは、ガム君の罪じゃなく、俺の罪として背負って行こう。


「本当にごめん……(ガム君)が傷つけば悲しむ人が居るのは分かっていた、でもそれでも傷ついて欲しくない人が居たから、そうしたんだ」


「分かっているのに相談無しで飛び出すのが馬鹿なんです‼︎ 保健室に行きますよ‼︎ 」


 えっ保健室で銃創手当てって、出来るんですか……?

 って氷室さんにお姫様抱っこされてるんだけど….…これはガム君が軽いのか氷室さんの筋力がヤバいのか……どっちなんだ?


「無事か、お前ら⁉︎ 」


 視界の端では教職員らが幾らかのテロリストをひっさげてやってきた。恐らく別の場所でテロリストと対峙していたのだろう。

 ここの教職員って……その身一つでテロリストに勝てないと成れないの? ハードルおかしくない? と言うかテロリストが堂々と敷地内に侵入するってセキュリティどうなってるんだよこの人工島‼︎


「後始末は職員と用務員に任せましょう、この傷の事は、会長から説明してくださいね」


「……えっ? どうして、かな? 」


「あの恐怖を忘れたんですか⁈ 私はもう二度と怪我をしまいと思った程なのに……」


 真面目にドン引きされたんだけど……被虐体質の氷室さんが恐怖するって何? 痛みじゃないって事はオカルト的な……?


「…………会長、幸運を祈っています」


 待ってぇぇぇぇぇ⁈ 一難去ってまた一難ってか⁈ 喧しいわ‼︎


 ────────────


 ……かくして、第一の関門、入学式は終わりを迎えたが、その入学式の中で新たな火種が育ち始めていた事に俺は気付く由も無かった。




「……アレが……1番、この学園の、1番……フヒヒッ……アレなら、きっと、強さ以外の……答えを……」


「……キミは……いったい何なんですか……? 」


「……アナタ……クラスメイトになったら……よろしく……ね? 」

これにて、プロローグ「入学式」が終わりました、次からは4月2日、学園生活が始まります、生徒会長が一体何をやらかしたのかも明らかにしていきます。コンゴトモヨロシク。


追記:って4月2日入れてないです(無能)

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