表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界征服計画  作者: トッシー
第一章『ベリアルの野望』
7/10

第七話『ペルーニャ村攻防戦』






皆さん、俺の事・・・・覚えてる訳ないか。ギーラです。『ギーラ・ペルーニャ』って言います。「え?そんな名前だったんですか?」って?まあ本名です。村長の孫だったんですが、今はターシャがその任を引き継いでいて、俺が補佐をしているようなものです。



村が王国軍に襲われているところをベリアル様に助けていただき、何故か生き残った俺達子供を配下にして、いきなりレリックを奪い取るなどと言い出した。そんな夢物語な事が出来る訳がない。そう思っていたけど、南の各種族の村々が協力に賛同して村に集まってきたのだ。利害の一致かな?彼等も自分達の村を守る為、お互い協力する結論に達したのだ。そして作戦開始まで残り数日が切ろうとしていた。





ギーラ

「あのサクヤさん?重いんですけど?」



サクヤ

「スー・・・スー・・・。」




その頃俺は、王国軍の襲撃に備えて作戦書を作るため、部隊の配置確認をしていた。それで俺の肩に寄り添って寝てる女性がいた。



『ムーンエンジェル』の『サクヤ』さん。属性は『光』。種族は『天使』。職業は『魔術師(キャスター)』。

紺色のグラデーションがかかった銀色のウェーブヘアに、白いユリの付いた黒いヘッドドレスを付けており、月の満ち欠けを模したような前髪が特徴。瞳の色は赤紫色だ。ネイビーカラーのワンピースを着ている。性格は引っ込み思案で人見知りな面もあるが、人柄なのか人を引き込む力がある。のんびりしてても周りからの信頼はあるんだ、羨ましい限りだよ。

『パルス神殿』出身で、リリィさんの補佐官をしている。なので戦闘に関しては同郷の天使族は知らないらしい。なんでも『月魔法(ムーンマジック)』の使い手らしいのだが、そんな魔法聞いたこともない。そんな彼女は俺の肩に寄り添って寝ている。でも・・・・嫌いじゃない!!





ギーラ

「このままでもいいかな・・・・ん?」




なんかこっちに猛ダッシュして来る人影が見えるんだが?これぶつかるよな?




カグヤ

「お姉様に何してくれてますのこの外道種族がぁ!!」



ギーラ

「ぶへぇ!?」





俺の顔面に飛び蹴りをして来た女性が来た。



彼女は『ムーンエンジェル』の『カグヤ』さん。属性は『光』。種族は『天使』。職業は『魔術師(キャスター)』。

サクヤさんの双子の妹で、銀色のグラデーションがかかった紺色のウェーブヘアで、サクヤさんとは配色が上下対照になっている。瞳の色もサクヤさんと同じ赤紫色。側頭部の両側に紫色のリボンを付けている。彼女もサクヤさんと同じ『月魔法(ムーンマジック)』の使い手である。姉のサクヤさんの事を尊敬している為、「サクヤお姉様」と呼んでるらしい。どうやら彼女は俺がサクヤさんに如何わしい事をしようとしてたと勘違いしているようだ。過保護もここまで来ると迷惑だな。





カグヤ

「お姉様!所構わず寝るのはおやめなさいと何度言ったら分かるんですの!!危うく野蛮な人間族に犯されるとこでしたのよ!!」



ギーラ

「いきなり何するんすかカグヤさん!!」



カグヤ

「お黙りなさい!!お姉様にふしだらな事をしようとしたのは明白ですのよこの野蛮人!!」



ギーラ

「野蛮人はあんた!!てか俺はサクヤさんに何もしていません!!」



サクヤ

「んー・・・・あれ?カグヤちゃんにギーラ君?二人共どうしたの?」





サクヤさんやっと起きてくれた。





カグヤ

「気をつけてくださいまし!この野蛮な人間族がお姉様にふしだらな事を!!」



ギーラ

「してませんから!!」





カグヤさんのサクヤさんに対する過保護は困ったものだな。初めて会った時も、サクヤさんに挨拶しただけで「お姉様気をつけてくださいまし!この方お姉様の体が目当てでしてよ!!」とかとんでもない事言われたし、昔人間と何かあったのかな?





カグヤ

「ところで貴方はこんな所で何をしてますの?」



ギーラ

「部隊配置の確認ですよ。アルタイルさんに頼まれて作戦書を作っている所です。」





そう、実はアルタイルさんに頼まれてこの配置表を作っているけど、俺じゃなくても他にいるんじゃないか?リリィさんとか、今日来たバフォメットさんとか、今説教されてるヘラクレス将軍とか、あの辺りが一番頭回る人達がやった方が良いと思うけど?



で、そのヘラクレス将軍はと言うと。





テレサ

「ヘラクレス将軍。」



ヘラクレス

「はい。」



テレサ

「ベリアル様に斬りかかった事について詳しく聞かせて貰えないでしょうか。」




皆さんから説教を受けていた。





バフォメット

「『ガイロス帝国軍』の中でも最も忠誠の厚いヘラクレス大将軍がまさか謀反を起こすとは!」



ヘラクレス

「いや、謀反では無く誤認なんだが?」



ワーウルフ

「ちょうど良か、虫の標本ば趣味にしとったんじゃ。ヘラクレスぐらいのサイズのを。」



輝夜

「うつけにしては気が合うの。妾も虫の標本が欲しかった所じゃ。特にヘラクレスぐらいのサイズが。」



ヘラクレス

「お前達の趣味に付き合う気は無い!!」




輝夜さんは普段はレリックで情報収集をしているが、今日は報告会と言う事でこちらに来てもらっている。ヘラクレス将軍の謀反の件はその時知ったらしい。





ルシファー

「標本は難しいかもしれませんが、剥製なら許しましょう。」



ヘラクレス

「剥製!?」



ルシファー

「さてヘラクレス、覚悟は出来ていますか。」



ヘラクレス

「えっ!?いやっ!?その・・・・お戯れを?」



ルシファー

「ふふふっ・・・もうワクワクが止まりません。」



ヘラクレス

「いやぁぁぁぁぁ!!」





俺の家からヘラクレス将軍の悲鳴が聞こえてきてるけど大丈夫かな?




カグヤ

「騒がしい人達ですね。」



サクヤ

「とても楽しそうだけど。」





もう着いていけないから立ち去ろう。





ギーラ

「じゃあ俺もう行きますね。」





そして俺はその場を逃げるように立ち去り、気付いた時には東側の城壁まできていた。





ギーラ

「ん?誰かいる?」





俺がいた城壁に女の子が一人と、後壁から下りようとしていた男がいた。まさかとは思うけど侵入者!?ヤバイ!気付かれる前に皆さんに知らせないと!!





キララ

「カズ君!!見つかったよ!!」



カズマ

「マジか!?」





ヤバっ!?気付かれた!!





カズマ

「ちょっと待て!俺達は怪しい者じゃない!!お前達を助けに来た冒険者だ!!」



キララ

「こわ〜い魔物に捕まって恐かったよね?キララ達が助けてあげる!」




は?ふざけてるのか?今更なんだよそれ?





ギーラ

「ふざけるなぁ!!俺達を見捨てといて今更冒険者を使って助けに来るって烏滸(おこ)がましいんだよ!!」



カズマ

「いや俺達は別にそんなつもりじゃ!!」



ギーラ

「国に殺されるくらいなら、悪魔や魔王に魂売っても生き残ってやる!!お前等を敵に回してもなぁ!!」





俺は許せなかった。怒りで我を忘れるくらい許せなかった。だってそうだろ?利用するだけ利用してボロ雑巾みたいにポイ捨てして、都合が悪くなったら今更いい人面して助けに来るって、どうせその後皆んな殺されるんだろ!?こんな連中に連れて行かれるくらいなら俺は戦う!!





レイアース

「よく言った!ギーラ!!」




俺の名前を呼んだ瞬間、レイアースさんが俺の前に飛び降りてきた。




レイアース

「さて、人間風情が土足で踏み込んだんだ!生きて帰れると思うなよ!!」





レイアースさんはそのまま冒険者に斬りかかって、相手に圧倒しながら吹き飛ばした。





カズマ

「クソッ!体格は小さいのになんて馬鹿力だ!?」




相手はレイアースさんの一撃で引きずられながらも堪えた。それにしても体格の割になんてパワーだ。





バフォメット

「なに毎ですか!騒々しい!!」





バフォメットさんだ!良かった!俺じゃこの子の相手なんて出来ないし、これで一安心だ!!





バフォメット

「ん?」



キララ

「あれ?」





え?何?お互い出会いがしらに黙り込んだけど?もしかして知り合い!?





バフォメット

「何故薄汚いスケープゴートが此処にいるゥゥゥ!!」



キララ

「なんで卑怯で意地汚いバフォメットがこんな所にいるのぉぉぉ!!」





なんか天敵同士だったみたいだからバフォメットさんに任せてもいいかな。





レイアース

「はぁぁぁぁぁ!!!」



カズマ

「うわぁッ!!」





いつのまにかレイアースさんの方は決着がつきそうな感じだった。相手の冒険者は彼女に吹き飛ばされ、倒れ込んでいた。





カズマ

「イテテテ・・・クソッ!なんて馬鹿力だ!」





冒険者が起き上がろうとした時だった。





レイアース

「逃すか!!」



カズマ

「のわッ!?」





レイアースさんが冒険者に勢いよくのしかかったのだ。相手が抵抗出来ないよう、上半身に乗りかかって片足を上げて動きを封じた。でもなんで留めを刺さなかったんだろう?しかもあの態勢だとスカートの中見えるよな?





キング

「なんだ?喧嘩か?」



六角

「おう!喧嘩か!?俺も混ぜろ!!」



ジュラシック

「やめとけ、話がややこしくなる。」



レニアス

「てかあんな奴村にいたか?」




騒ぎを聞いてキングさんにジュラシックさん!六角さんとレニアスさんも来てくれた。なんか大事になってきたな。





レイアース

「さてお前には色々と聞きたい事があるからな!こっちの質問に答えて貰おうか!」



カズマ

「ぱっ・・・・。」





レイアースさん、意外と冷静な所あったんだな。六角さんみたいな喧嘩馬鹿じゃなくてよかった。それにしても、あの冒険者大人しくなったな。顔を赤くして何かを見てる・・・・まさか!?




ギーラ

「レイアースさんそいつ見てます!!スカートの中見てます!!」



レイアース

「え?・・・・!?」




顔を赤くしているって事は気付いたって事でいいのかな?




レイアース

「キャァァァァァ!!」





彼女は慌ててスカートを抑えながら冒険者から離れた。あれ?なんか余計な事言った?





レイアース

「お・・・・お前ぇ!!」



カズマ

「いや見てない!!断じて見てないない!!」





嘘つけ!!ガン見してただろうが!!





セイラ

「この剣に灯せ!約束されし勝利の聖火!!」





レイアースさんが聖剣を上に上げた途端に炎が勢いよく纏い始めた。なんかこれヤバイよな?





カズマ

「待て待て落ち着け!!」



レイアース

「問答無用だこのエロ侍!!」





あの剣振り下ろしたら絶対防護壁に穴が開くよな?はぁ・・・・後で修理して貰おう。




レイアース

約束されし炎の聖剣フレイムエクスカリバー!!」



カズマ

「のわっ!!」




冒険者はレイアースさんの攻撃を紙一重で交わした。彼女の炎は見事に壁を突き破り、大穴を作ってくれた。




カズマ

「キララ!撤退するぞ!!」



キララ

「え!?まだこのクソヤギ調理してないのに!?」



カズマ

「また今度だ!!こいつらヤバイぞ!!」





あいつら開いた穴から逃げるつもりか!?





レイアース

「待て逃げるな!!」



バフォメット

「ジンギスカンにしてくれる!!」





二人は後を追いかけたが、外に出た時は既に彼等の姿は無かった。レイアースさんもバフォメットさんも頭に血が上っていたのかまるで獣のように辺りを見渡していた。





レイアース

「クソッ!逃したか!!」



バフォメット

「薄汚い羊の分際で逃げ足だけは速い。」



レイアース

「あのエロ侍、今度会ったら灰にしてやる!」



バフォメット

「やれやれ、たかが下着を見られたくらいで動揺するとは、『アークエイル』で名高い『三体魔神』の貴女らしくない。」



レイアース

「今日の晩御飯のおかずに加えてやろうか?」



バフォメット

「これは失礼しました。」





一時はどうなる事かと思ったけど、とりあえず一難は去った。これは後日彼等と再び会って聞いた話だけど、レリックに戻った二人はと言うと。






エルザ

「私の許可無しに勝手に『ペルーニャ村』に行くとはいい度胸してるじゃない。」





宿屋でエルザって冒険者から説教を受けたらしい。





エルザ

「それで何かわかったの?」



キララ

「悪魔参謀バフォメットがいた!!」



エルザ

「バフォメットですって!?」




俺も詳しくは知らないけど、やっぱりバフォメットさんは凄く有名な魔物だったらしい。それは、プラチナクラスのエルザって人も驚くくらい知っていたから多分そうだと思う。





フォス

「どうやら僕等はベリアルを侮っていた。」



エルザ

「バフォメットがいるとなると大軍を率いていてもおかしくないわ。もしレリックに攻め込まれたらあっという間に乗っ取られるわよ。」



フォス

「もう乗っ取られてるかもよ。嫌な気配は未だに消えていない。」



エルザ

「悪い夢であって欲しいわね。」





輝夜様の百鬼夜行に気付くなんて、何者なんだこの人達。





エルザ

「他には何かあった?」



キララ

「んーとね!カズ君が女の子のパンツ覗いてた!」



カズマ

「ばっ!?だから覗いてねーって!!」



エルザ

「どうせ子供っぽい下着だったんでしょ。私に比べたらまだまだね。」



カズマ

「いや〜ピンクの紐パンがいい味(かも)し出してた・・・・あっ。」





まあその後この冒険者は墓穴を掘ってエルザさんを怒らせて。





エルザ

「バッチリ覗き込んでるだろうがぁ!!」





宿屋の一室だけ全焼しました。勿論しっかりと弁償はしたみたいです。そんな彼等がレリックの騒動の後に来るとは思いもしなかったけどね。



そんな事がこれから起きるとも知らずに、俺は作戦書の作成に取り掛かる為自宅に戻ったが、中にいたルシファー様達が声を掛けてくれた。どうやらちょっと心配していたらしい。





ルシファー

「何事も無くて良かったです。」



ワーウルフ

「レイアースば聞いたど、お前(おまん)冒険者(ぽっけもん)相手に怒鳴(おら)ったらしいの!」



ギーラ

「なんか馬鹿にされてる気がして、悔しかったんです。だからあんな風に言う事が出来たけど、レイアースさんとバフォメットさんが来てくれなかったら、今頃俺はやられていたかもしれない。俺には力がないから。」





そうだよな。大口叩いても結局『力』無かったら何も出来ない。大切な人だって護る事も出来ない。情けない話だよな。





輝夜

「所詮この世は弱肉強食。」



ギーラ

「はい?」



輝夜

「何処の場所にもいつの世も、弱者が搾取される状況や環境は変わらぬ。だがそれは力なき者の話だ。」



ギーラ

「いや・・・・ですから。」



輝夜

「魔法や武技だけが『力』ではない。」



ギーラ

「え?」



輝夜

「『力』とは『能力(スキル)』のようなもの。『知力』『権力』『財力』それら全てをそう呼ぶ。『暴力』だけが『力』ではない。だから主は主の『力』を研鑽(けんさん)するがいい。」



ギーラ

「どう言う意味ですか?」



輝夜

「要するに、主は主の成すべき事を成せ。それだけで良い。」



ギーラ

「はあ?ありがとうございます。」





どういう意味なんだ?よくわからなかったけど、二人に慰められたような気がした。





ターシャ

「ギーラ!!冒険者に襲われたって聞いたけど大丈夫!?」





そんな時、ターシャが慌てて家に飛び込んできた。どうやら俺が冒険者に襲われた事を今さっき知ったらしい。





ターシャ

「何処も怪我はしてない!?」



ギーラ

「落ち着けって、皆んなのお陰でこの通り無事だよ。」



ターシャ

「本当?よかった〜。」





余程心配してたのか彼女はホッとして段々と落ち着き始めていた。





ターシャ

「ところでギーラ、気になる事があるんだけど。」



ギーラ

「ん?どうかしたか?」



ターシャ

「ギーラの家って巨大な虫の剥製なんて置いてたっけ?しかも厳重に鎖で縛ってるけど?」



ヘラクレス

「ワシは剥製ではない!!」



ターシャ

「うわっ!喋った動いた!!」





そういえばさっきから気になっていたけど、ヘラクレス将軍はなんで生きた剥製みたいに飾られてるんだろ。しかも身体中に鎖で縛られてるし、暴れない為かな?




ギーラ

「あのルシファー様。ヘラクレス将軍あのままですか?」



ルシファー

「そうですが、何か問題でも?」



ギーラ

「いやここ俺の家なんで、出来れば外して頂けないかと?」



ルシファー

「それは出来ません。ベリアル様の判断を仰ぐまで、私達四天将全員でこうすると決めた事です。ヘラクレスも恥を忍んで受け入れてくれまし、貴方もベリアル様の配下になった以上、その決定には従うしか無いのですよ。」



ヘラクレス

「ギーラよ!!時には意見するのも配下の務めだぞ!!頼む!ワシを弁護してくれ!!」





そうだった。俺ベリアル様の配下になったんだ。なのにワガママばかり言って、申し訳ないよな。





ギーラ

「わかりました。四天将の皆さんで決めた事ならもう何も言いません。ベリアル様の許可が必要な時に外します。」



ヘラクレス

「ギーラよ!!話をそう簡単に受け入れるなどそれでも漢か!!」




さっきからヘラクレス将軍が騒いでるけど仕方ない、自室で作戦書を作成に取り掛かるか。




ヘラクレス

「ギーラ!?」



ルシファー

「ヘラクレス。あまり騒ぐと五体バラバラにしてカラスの餌にしますよ。」



ヘラクレス

「我、沈黙せし。」





それから俺は作戦書のレポートを仕上げていた。アルタイルさんに頼まれた物だけど何に使うんだろう?まぁそれはいいとして気になるのが。





ギーラ

「皆さん、そんなに大勢で見られると気が散るのですが。」



カグヤ

「何か文句でもお有りですか?」



ギーラ

「いいえ、なんでもありません。」




『ムーンエンジェル』のサクヤさんとカグヤさんに『三体魔神』のレイアースさん、セレスさん、ウィンダムさん。『レオンカイザー』のキングさんとその娘のアコーディウスさんと『恐竜人』のジュラシックさんと『バレットドラゴン』の六角さんと『弓兵天使エンジェルアーチェリー』のレニアスさん。更にルシファー様の配下の『デビルランサー』のローランさん、『白銀天使 リリエントエンジェル』リリィさん、『バレットドラゴン』の陽炎さん。

何故か皆んな俺の部屋に集まっていた。俺自身もこっちに集中していて気づかなかったけど、まさかこんなに集まるとは思わなかった。どうやら人間が物珍しいのか、ここに集まっている全部族が俺の行動が気になるらしい。勿論、ガイロス帝国の人達もだ。





輝夜

「うむ、これは作戦書か何かか?」





そんで更に四天将の輝夜様までいたのだ。てか皆んな近いし、しかも部屋狭いからぎゅうぎゅう詰できつい!!





ギーラ

「あの皆さん俺に何か用でも?」



輝夜

「気にするでない。ただの暇つぶしだ。」



ギーラ

「いやこんな大勢で見られると気が散るんですけど。」



六角

「なんだ?別にいいじゃねーか!ケチケチするな!!」



ギーラ

「いや、こんな狭い部屋で押しかけられると逆に迷惑なんですけど。」





てか・・・・出れなくね!?





セイラ

「ところでお前、なんで作戦書なんて作ってるんだ?」




するとセイラさんは出来上がった作戦書を取って見始めた。いや!やめて!!恥ずかしいから!!




セイラ

「セレス見てみろよ!人間が作った作戦書どうなんだ?」





ちょっと!?なんか他の人にまで回し始めたけど!?え?あの?セレスさん?ページめくらないで!!やめて見ないで恥ずかしい!!





セレス

「見たところこれ・・・・守りを固める為の籠城戦ね。」



六角

「はぁ!?籠城戦だぁ!?おいギーラ!!人間とは言え男だろうがぁ!!俺達に引きこもって戦えってかぁ!?」



キング

「おい!子供相手に喧嘩腰になるな。」





はあ・・・・やっぱりこうなった。人間が考えた作戦なんてどうせ大したことないだろうなって思うよな。なんでアルタイルさんはこんなの作ったんだろう。俺なんかじゃ無理だったんだよ。





セレス

「リリィ、貴女はどう思う?」





なんかいつの間にかリリィさんまで回ってるし!?まあいいか。どうせ失敗作だから見られて困ることでもないかもな。





リリィ

「なるほど・・・・その手がありましたか。」



ローラ

「どう言う事?」



リリィ

「私やバフォメット参謀もそうでしたが、複数の敵奇襲部隊にどう対処しようか考えていました。ですがこの地形の為、どうしてもこちらの戦力を分散させるしかありません。ですが守りが手薄になり、逆に攻め込まれてしまうのです。」



セレス

「かと言って分散した部隊から守備隊に人数を回すと、それぞれ少数の人数で対処しなきゃいけないから無理があり過ぎる。」



レニアス

「でも相手は人間だし、少数でも問題ねーんじゃねーか?」



キング

「いや、『シャガの大森林』の件もある。下手をすれば悪魔祓い(エクソシスト)に転移魔法を使われて侵入してくる。そうなると『ペルーニャ村』の子供達が先に()られるだろう。」



リリィ

「ですがギーラさんは攻めるのが無理なら守りを固めればいい。これならこちらが隙を見せる心配がありません。」





え?嘘・・・・思った以上に高評価!?





六角

「ちょっと待ったぁ!!百歩譲ってそれが有効ってのは認めてやる!!だが肝心の攻めが無きゃ決め手に欠けるだろ!!」



リリィ

「問題はそこです。周囲どこからでも攻められるこの地形をどうやって攻めに出るかです。」





六角さんやリリィさんの言う通り、守ってばかりだったらこっちの疲労も激しいし、長期戦になる。そうなると有利なのは向こうだ。そんなのは俺にもわかる。だったら速攻で決めるしかない。





アルタイル

「何やら賑やかではないか。さては・・・このかわいいアルタイルちゃんを愛でる為に集まったのだな!」





そんな時、見廻りに出ていたアルタイルさんが戻ってきた。でいつもの自称かわいい宣伝をし始めた。






輝夜

「戯け、ギーラを讃える為に集まったのじゃ。」





いや、それも違いますよね?てか皆んな勝手に集まっただけじゃね!?まあそれはいいとして!





ギーラ

「アルタイルさん!作戦書出来ました!!チェックをお願いします!!」





作戦書を渡そうとしたら、アルタイルさんは受け取ろうとしなかった。





アルタイル

「ではそれを持ってルシファー様のところへ行くぞ。」



ギーラ

「え?」



アルタイル

「間も無くレリックの軍勢がやって来る。」





それを聞いた俺は体全体が凍りつくような寒気に襲われた。正直冒険者にはあんな事言ったけど、実は戦うのが怖いのだ。無差別に大人たちを斬り殺した騎士達や焼き払われた家々の光景が今でも頭から離れられない。家の外から事情を知ったのか村のチビ共も大泣きしていた。皆んな俺と同じであの光景を見るのが怖いんだ。正直今からでも泣いて逃げ出したい。





レイアース

「安心しろ!さっきみたいに私がお前を守ってやる!」





そう思っていた時、背中から強い平手打ちが飛んできた。後ろを見るとレイアースさんが笑顔で俺の背中を叩いてくれたのだ。他の皆んなも同じ顔をしていた。「俺達が、私達がいるから安心しろ!」って、そんな顔をしていた。





ギーラ

「はいっ!!」




俺も自信が着いた様に返事をしてルシファー様達の元に向かった。そしてバフォメットさんに確認してもらった。





バフォメット

「籠城ですか?この案はリリィが思い付いたのかね?」





バフォメットさんも、人間が思い付いたと気付かない事に俺の心は少し傷付いた。





リリィ

「いいえ。これはギーラさんの案です。バフォメット参謀はこの作戦についてどうお考えでしょうか。」



バフォメット

「どうもこうも籠城自体反対です。長期戦になればこちらの兵糧が直ぐに尽きてしまいますし、それに敵を撃退しなければ意味がありません。」





それに関してはまだ続きがあるんだけどね。それをこれから説明します。





ギーラ

「それに関してはまだ続きがあります!アルタイルさんに前線を任せようと考えています。」



バフォメット

「確かにアルタイルなら可能ではありませんが、召喚魔法はかなりのMPを消費する上、長期戦には向きません。あまり時間は掛けられませんよ。」



ギーラ

「心配ありません。直ぐに終わらせます!」



バフォメット

「直ぐにですと!?」



ギーラ

「アルタイルさん!敵の戦力は把握してますね!」



アルタイル

「無論だ。このかわいいアルタイルちゃんに任せるがいい。」





よし!上手く行けばレリック軍は直ぐに撤退する!!段取り通り行けばこっちの勝ちだ!!





アルタイル

「だが一つ問題がある。」



ギーラ

「え?」



アルタイル

「我等が主であるベリアル様が双子悪魔(ジェミニーデビル)と共に敵本陣で指揮している。」



ギーラ

「はぁ!?」





でその問題のベリアル様はと言うと!!





レイヴン

「はぁ・・・・なんでこんな事になっちゃったかな。」



ミオ

「自業自得です!」



アイネ

「調子に乗るからこうなるんです!」



レイヴン

「そこは反省してます。」





何故かアイネちゃんとミオちゃん、それに白き魔獣の桃央って言うモンスターと一緒に、本陣に張ってあったテントに待機していた。てかこの人本当に余計な事しかしないな!!





ミオ

「先生、本気で『ペルーニャ村』を攻めるつもりですか。」



レイヴン

「あくまで実験だ。全戦力を発揮出来るか確認する必要がある。マグナードからの依頼とは言えこれはチャンスだ。奴は私にここの指揮権を与えたのだからな。」



アイネ

「じゃあしばらくは様子見ですね!」



レイヴン

「その通りだ。」





けどそこにいたのは、ベリアル様達だけでは無かった。





信長

「よう、どうだ調子は。」



レイヴン

「先ず先ずと言ったところですかな。」





輝夜様が話していた『異神』も何人か同行していたからだ。その一人がベリアル様達のテントに入って来た。





信長

「それにしても随分と力任せだな。これだけの戦力で正面突破か?大人気ない。」



レイヴン

「恐らく彼等は籠城する筈です。なので正面の部隊が正門前に辿り着いたと同時に二手に部隊を分けて周囲から攻撃します。」



信長

「包囲戦か。確かにあの地形なら周囲から何処でも奇襲を仕掛け易い。だがそれは向こうが一番わかっている筈だ。こちらの部隊を散開させる前に足止めし、子供達を裏から逃す事だって出来る。」



レイヴン

「それが私の狙いです。敵の戦力を少しでもこちらに向けさせ、裏から逃げて来る子供達を、こちらの奇襲部隊で仕留める算段になっています。」



信長

「ほう?冒険者にしては中々の策略だな。いっそのこと軍師にでもなったらどうだ?」



レイヴン

「遠慮しておきます。」





やっぱりベリアル様に籠城する事は読まれてたか。けどその後で俺達は逃げるつもりはない。速攻で終わらせるつもりだ。

ベリアル様がそんな事を考えていた頃、俺達はアルタイルさんからベリアル様の思惑に関して話していた。





ギーラ

「試されている?俺達が?」



アルタイル

「そうだ。でなければこの状況に説明がつく。巧みにレリックの軍勢を動かし、さらにベリアル様自らその指揮権を得る事が出来た。目的はただ一つ『私達の実力を見る事』だ。」





もしそれが本当なら、ベリアル様と勝負する事になるよな。つまりこっちが負けたらベリアル様の期待を裏切るって事だよな。責任重大だよな。





バフォメット

「なら作戦を変えた方がいいでしょう。ベリアル様ならこちらの作戦は見抜いている筈です。」



ギーラ

「いいえ!このままやらせて下さい!!」



バフォメット

「だが相手はベリアル様なんだぞ!?」





バフォメットさんと揉め事になりそうだったけど俺は引き下がらなかった。時間も無いし、もうこれに賭けるしか無かったからだ。





輝夜

「そこまでだバフォメット。」



バフォメット

「輝夜様!?」





突然、輝夜様が割って入って止めてくれた。





輝夜

「妾はギーラの策に一つ乗った。」



バフォメット

「ですが責任重大ですよ!?彼には荷が重過ぎます!!」



ルシファー

「バフォメット。私もギーラの策に賭けてみようと思います。」



バフォメット

「ルシファー様まで!?」



ルシファー

「もう時間もありません。私はギーラを信じます。」





輝夜様もルシファー様も俺を信じて託してくれた。もうやるしか無い!





バフォメット

「わかりました。ですが覚悟はいいですね。ベリアル様に負けると言う事は君達の死を意味します。」



ギーラ

「はい!わかっています!!」




もう腹は括っている。後は実行あるのみ!!





ギーラ

「ではかわいいアルタイルちゃん!手筈通りにお願いします!!」



アルタイル

да(ダー)!!」



ギーラ

「他の皆さんは作戦書通りの配置について下さい!!」




俺の合図と同時に皆んな高らかに返事をして一斉に動き出した。





ヘラクレス

「今こそワシも出陣の時!ルシファー様!!この鎖を断ち斬って下され!!」



ギーラ

「ルシファー様。ヘラクレス将軍は?」



ルシファー

「元々レリックの戦力など私達の敵ではありません。そこの愚かな虫ケラ一匹いなくても問題ありません。」





と言う事で、ヘラクレス将軍はこのままとなりました。





ヘラクレス

「なんと無慈悲!!」





いや自業自得ですって!!






ルシファー

「ではギーラ。私達も参りましょう。」




俺とルシファー様は家を出て村の中央広場に向かった。着いた先には『四天将』の輝夜様とワーウルフ様に『ワルキューレ』のリーダーでもあるテレサ様とクトリさんが村の子供達と一緒にいた。勿論、ターシャもそこにいた。






ターシャ

「ねえギーラ。私達、大丈夫なんだよね?」



ギーラ

「心配するな!俺達にはかわいいアルタイルちゃんがいるだろう!!」



ターシャ

「なんか余計心配になってきた。」



クトリ

「各自作戦書の図案通りに配置完了!!いつでも行けるわよ!!」



ギーラ

「アルタイルさん!!お願いします!!」





俺の合図を受けたアルタイル様は村の正門の上空で待機していた。





アルタイ

「Бог. Пожалуйста, не будь глупым(ボグ.ヴァジァールイスタ,ニ ブド グルーピム)・・・・・С разрешения убить(シー ラザーシェニヤ ユービット)!!(神よ。この愚かな人間どもを・・・・・斬滅する許可を!!)」





そう言うとアルタイルさんは手に持っていた変わった形をした棒みたいな物と剣を構えたが、なんだか楽器を弾くような構えをしていた。





アルタイル

「『第二次世界大戦楽章』第1章。『悲劇の真珠湾攻撃(パールハーバー)』。」





するとアルタイルさんの周辺に突如無数の小さな魔法陣が現れ、そこから緑色をした鳥達が一斉に動き出した。でもその鳥達は変な飛び方をしていた。翼は羽ばたかず、クチバシから虫が飛ぶような音がしていた。でも姿形は鳥みたいだった。「なんだあれは?」と思いながらもその鳥達は一気に敵本陣に向かっていった。





信長

「本陣の準備は出来た。後は大部隊を出陣させるだけだ。」



レイヴン

「わかりました。では作戦開始の合図を。」





ベリアル様達が動き出そうとしたその時だった。




義経

「信さん!レイヴン殿!直ぐ来て下さい!!妙な音が聞こえます!!」



信長

「音だと?」




ベリアル様達は外にいた『異神』の人に呼び出されて外に出てみた。なんだか奇妙な音がしていたからだ。





信長

「なんだこの音・・・・虫か?」



義経

「私も最初はそう思いましたが、姿形が見えないのです。」



信長

「なんだと?」





最初は誰もが虫だと勘違いしていたけど、それはさっきアルタイルさんが飛ばした召喚獣?だった。それはベリアル様も気づいていた。





ベリアル

彼奴等(きゃつら)の狙いは・・・・ここかぁ!!」



信長

「何!?」



ベリアル

「全軍撤退!!直ぐにここを放棄する!!」



土方

「おい!何勝手に決めてんだ!!」



信長

「これから何が起こるんだ!?説明しろ!!」



ベリアル

「敵の狙いは司令部が置かれているこの本陣です!!空からの奇襲攻撃で仕掛けるつもりです!!」



信長

「空からだと!?」





けど時既に遅し、アルタイルさんの召喚獣はベリアル様達の本陣の前方まで来ていた。





信長

「何だあれ?鳥か?」





その時だった。召喚獣の攻撃が始まったが、妙に変わった攻撃だった。無数の玉の様な物を放つ召喚獣や火炎瓶を落とす召喚獣が、レリックの兵士達を焼き払う様に蹂躙した。敵本陣は爆炎の嵐となっていた。





信長

「なんだありゃ!?鉛玉が連続して出てやがる!!」



土方

「『ガトリング砲』か!?」



信長

「なんだそれ!?」



土方

「西洋の連射出来る鉄砲だ!!空は飛んでなかったがな!!」



信長

「だろうな!!お前の顔見ればわかる!!」



義経

「あの!敵がさっきから落としてるあれって『鉄砲(てつはう)』でしょうか!?」



信長

「『焙烙玉(ほうらくだま)』の事か!?」



土方

「知らねーよ!!お互い説明している暇なんざねーだろ!!今は逃げろー!!」





勿論、異神達も必死になって逃げ回っていた。でもベリアル様はと言うと、ゆっくりテントの中に避難していた。





レイヴン

「さて、アルタイルの攻撃の巻き添えになる前に、こちらも撤収しよう。」



ミオ

「もう引かれるのですか?」



レイヴン

「この本陣に奇襲を仕掛けて来た時点で既に我々の敗北は決した。もう用は無い。」



アイネ

「じゃあ帰ったらアルタイル先輩を燃やすだけですね。」



レイヴン

「お願いだからやめて!!『ペルーニャ村』で暴れるのやめて!!」



桃央

「どーでもいいですから僕等も早く逃げましょう!!丸焦げにされちゃう!!」



レイヴン

「喧しいぞ駄犬!!」





なんかベリアル様達は余裕があるはずなのに慌ただしい雰囲気で脱出した。良かった!これで安心して攻撃できるよ!まあバフォメットさん達は驚いていたけどね。





バフォメット

「まさか敵本陣に直接攻撃するとは思いませんでした。」



テレサ

「ですが敵部隊はどうするのです?こちらに来る筈では?」



ギーラ

「自分達の本陣から出ていなければまとめて攻撃出来ます。万が一敵部隊と交戦しても指揮官を倒せば敵部隊は勝手に撤退していきますし、奇襲部隊も本陣の合図が無ければ動けません。」



バフォメット

「なるほど、敵部隊を叩くより指揮官のいる本隊を攻撃すればこちらも最小限の被害で済むと言う訳ですか。御見逸れしましたよギーラ。」



ギーラ

「ありがとうございます!!」





褒められて咄嗟に喜んだけど、バフォメットさんは険しい表情をしていた。何故かわからなかったけどバフォメットさんは俺を警戒しているように思えた。





バフォメット

「人間と言うのは何とも恐ろしい生き物ですね。同じ種族を平気で根絶やしにするのですから。」



テレサ

「ですが味方になればこれほど頼もしいものはありません。」




二人の会話がチラッと聞こえたけどなんか高評価みたいらしい。





アルタイル

「攻撃隊より報告。「我敵拠点ノ攻撃二成功。」結果は「トラ!トラ!トラ!」か。作戦は成功した様だな。偵察隊より報告。「敵奇襲部隊混乱。撤退ヲ開始。追撃許可ヲ求ム。」。不要、こちらも撤退せし。」





その頃アルタイルさんは召喚獣の報告を受けていた。結果は大成功だった。それを聞いた俺は全身の力が一気に抜けた。戦闘が終わって辺りを見渡したら夕暮れ時になっていた。戦いが終わったからか、なんか安心したみたい。そんな時、アルタイルさんが戻って来て俺の所に降りて来た。





アルタイル

「素晴らしい・・・・素晴らしいぞギーラ・ペルーニャ!!見事に敵を圧倒した神速の作戦は効果抜群だったぞ!!」



ギーラ

「ありがとうございます!」





アルタイルさんは歓喜に慕っていた。正直俺も嬉しいけど全力で喜べない。何故なら・・・・・疲れた〜。

その頃、敵さん達はかなりの被害に見舞われていた。




信長、土方、義経

「疲れた〜。」





異神達も逃げ回って疲れたのかボロボロな格好で座っていた。





信長

「おいおい・・・・何だあれは。次元が違いすぎる。」



土方

「死傷者は八割ってとこか。戻って来た奇襲部隊も含めて正面から攻めるとなると戦力が足りなさすぎる。」



信長

「まだ諦めて無いのか。」



土方

「俺だってあんたと同じ事思ってたさ。あんな物を見せられたら誰だって戦意を失う。だが少しでも相手の隙を作る可能性が残ってるって希望を持っちまう。」



信長

「そんなもんはただの夢幻の如くなり。」





向こうは向こうでかなり落ち込んでいるみたいだった。その時、一台の馬車が陣地の方に迷い込んで異神達の前に止まった。なんだか嫌な予感がする。





???

「酷い光景ね。」



信長

「惨敗だ。ベリアルの軍勢は俺達が思ってた以上に強大過ぎる。一国だけで戦をするのは無理だ。」



???

「レイヴン殿は?」



信長

「あの野郎なら騒ぎに紛れてとっくにとんずらしたよ。兵隊を置いて逃げたんだ。指揮官の風上にも置けね。」



???

「そう。でも都合が良いわ。」



信長

「そうかい。なら行くんだな。」



???

「はい。行きましょう。」





そしてしばらくして彼等は村にやって来た。俺達はそんな事を知る由もなかったから。何故ならその前にベリアル様達が到着したからだ。





テレサ

「ベリアル様。お勤めご苦労様です。」



レイヴン

「お前達もご苦労だった。」





テレサさんが迎えに来た時には全員集まっていた。そしてベリアル様は冒険者レイヴンのまま皆んなに挨拶と演説を始めた。





レイヴン

「我がガイロス帝国の諸君!そして各村の種族達よ!よくぞ集まってくれた。既に作戦は最終段階に入っている。だがその前に告げなければならない事がある。我々は戦争をするわけではない!」





え?どう言う事?だってレリックを奪いに行くんだから戦争になってもおかしくないはずじゃ?と誰しもが思ったであろう皆んな首を傾げていた。





レイヴン

「我々の目的はただ一つ!マグナード・レリックと奴に加担したその関係者だ!それ以外殺す事は許さん!!」





え!?じゃあどうするの!?






レイヴン

「作戦開始は明日の夕暮れだ。それまでに準備をしておけ。」





いやそんな事急に言われても!?





レイヴン

「さてもう一つ・・・・先程の戦闘で私が敵側にいるとわかっていながら攻撃命令を出した命知らずはどこのどいつだ!!」





その瞬間、俺の中で緊張は一気に恐怖感へと変わった。他の皆んなもまさかベリアル様を怒らせる事態になるとは誰も思っていなかった。





レイヴン

「ルシファー!バフォメット!お前達の仕業か?」



バフォメット

「滅相もございません!!」



ルシファー

「御身に刃を向けるなど考えられません!!私達はベリアル様にお仕えする身です!!謀反など有り得ません!!」





ベリアル様が粗探しをし始めた。やばい!これ正直に言わないと殺されるんじゃ!?





レイヴン

「ではリリエントエンジェル!!貴様の策略か?」



リリィ

「それは・・・・。」




リリィさんはその後の言葉が出てこなかった。俺のこと庇おうとしている?まずい!やったのは俺なのに!!正直に言おうとしたその時だった。





アルタイル

「お待ち下さい!!実行に移したのは私です!!処罰なら私だけにして頂きたい!!」



レイヴン

「お前がやった事は分かっている!!私はお前にそれを実行させた指揮官を捜しているのだ!!」





アルタイルさんまで・・・・ああもう!!





ギーラ

「俺が!!俺がやりました!!」





声を荒げた瞬間、ベリアル様は俺の方を振り向いた。




レイヴン

「バフォメット。ギーラが指揮をしていたのだな。」



バフォメット

「はっ!敵本陣に直接攻め込む作戦を立てたのもそれを指揮していたのも全てギーラです。」



レイヴン

「そうか。」





何かを理解したのかベリアル様は俺の所に歩いて来た。もうダメかと思い、咄嗟に目を瞑ってしまった。そしてベリアル様が俺の前に立ち止まった。終わったと思ったその時、俺の頭に手の様な感触を感じた。なんで?





レイヴン

「素晴らしいぞギーラ!!見事な戦略だ!!」





え?いきなり褒められた?頭撫でられた?





ギーラ

「あのー・・・・怒ってないですか?」



レイヴン

「え?怒ってる?私が?何故?」



輝夜

「皆、我が君に刃を向けた事でその怒りを買ってしまったのかと思われました。」



レイヴン

「いや寧ろ喜んでるのだが?」





え!?そうだったの!?





レイヴン

「村の戦力を手薄にして、待機していた奇襲部隊を突入させる算段だったが、逆に本陣を速攻で潰してくるとは思わなかった。」




よかった〜・・・・速攻で済ませといて。とホッとしていたその時だった。




クトリ

「お取り込み中失礼します。」





クトリさんが急ぎでベリアル様の所に来たのだ。何かあったのかな?





クトリ

「レリックの人間が村の入場を希望しております。なんでもベリアル様に頼まれた物資を運んで来たとの事です。」



レイヴン

「クトリよ。私はレリックの人間を使役してもいないし、物資自体頼んでいないぞ。」



クトリ

「え!?」



輝夜

「戯け、まんまと騙されおってからに。」





え!?じゃあ村に入られるんじゃ!?





???

「失礼するわ。」





するとローブを羽織った複数の人達が突然やって来た。何者なんだ?





???

「ごめんなさい。彼女を責めないであげて。」



レイヴン

「安心しろ。部下がわざわざ案内してくれたんだ。叱責するつもりはない。」



???

「そう、なら安心して貴方と話が出来るわね。レイヴンさん・・・・いいえ、魔王ベリアル。」




嘘!?なんでベリアル様だってわかったんだ!?すると彼女はゆっくりとフードを脱いでその素顔を現した。てかこの人って!?




レイヴン

「これはこれは、よくぞお越し頂きました。セレーナ・レリック姫。」




なんで国のお姫様が、自ら『ペルーニャ村』に来たんだ!?



そしてこの後は驚きの連発だった。まあいろいろ混乱する場面はあったけど、今回はここまでにして、続きは次回にまたお話しましょう。今日は疲れた。もう帰って寝たい。

次回は『令和』に移り変わってからの投稿になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ