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異世界征服計画  作者: トッシー
第一章『ベリアルの野望』
6/10

第六話『最凶最弱の狂犬』

年が明けてから大分経った投稿です。次の投稿は来月末になります。





皆さま。私の事覚えていますか?ベリアル様の秘書兼戦闘メイド『ワルキューレ』のリーダー『テレサ・ヴァーミリオン』です。現在私は『ガルバトロス城』で執務をしています。ある時、冒険者で活動していたベリアル様が帰還した際、クリスティーナ博士の用事を済ませ再びレリックへと向かいました。

ですがその日の夜、レリックの軍勢がこのガルバトロスを包囲してきたのです。





テレサ

「敵に動きはありましたか。」




私は作戦室でバフォメットと敵軍に対しての対処をいかにすべきか話していました。





バフォメット

「これと言った動きはありません。小アリが城壁をウロチョロしている様なものです。こちらの出方を伺ってるのか、それとも城壁を超えて侵入を試みているのかはわかりませんが、いずれにしても彼等がここに来ることはないでしょう。」



テレサ

「ですが警戒は厳重にお願いします。人間族は時に何をしでかすかわからない生き物ですから油断大敵ですよ。」



バフォメット

「心得ております。」




『アークエイル』の時から忠告され続けて来たベリアル様のお言葉「人間を下等種族と侮るな。」「弱者は力は無い分、悪知恵は我等を凌駕している。だから卑怯な手を使う事も、他者を傷つけ殺すとも平気で行う下劣で意地汚い最低の種族だ。」と仰っていました。





テレサ

「正しく無能な生き物です。」



バフォメット

「ですがそれは人間に限った話ではありません。知識も無ければ才能もなく、何の力も無い。何も出来ない者が『無能者』だとベリアル様は仰っておりました。」



テレサ

「その『無能者』こそが真の悪。それは生きる者として最低の行い。どんな外道極まりない殺人鬼にも勝る大罪人。」



バフォメット

「つまり『無能者』は存在こそ罪。最低最悪の存在だとベリアル様は仰っていました。」



テレサ

「そしてベリアル様にとっても許してはならない存在だと言う事。」





何故ベリアル様がそのような事を仰るのか理解できませんが、何かあるのだと私は思います。そこに意味があるのかわかりませんが。




バフォメット

「さて話が逸れてしまいましたが、今はレリックの軍勢です。このまま睨み合いを続けても拉致が飽きません。何か手を打たなくてはなりませんな。」



レイアース

「ならこっちから攻めてみないか!」





作戦室に急にレイアースが飛び込むように入ってきた。野性味溢れている所もあるので少し好戦的なのです。





バフォメット

「いや、それはやめて置いた方がいい。相手は魔族を無傷で殲滅出来るほどの戦力を保有している。それにこちらから出れば、向こうから隙を見て城に侵入してくる可能性もある。情報が少ない以上迂闊に飛び込むのは危険だよ。」



レイアース

「じゃあどうするんだ?このまま睨み合ってもしょうがないじゃないか?」



バフォメット

「今は敵の出方を伺いましょう。」





やはり待つしかないのですね。諦めて大人しく帰ってくれたらいいのですが・・・・ん?セレスから念話?





テレサ

「セレス?どうしました?」



セレス

[敵軍に動き有り!正門をこじ開けようとしています!]



テレサ

「わかったわ!すぐそちらに向かいます!」



バフォメット

「何かありましたか?」



テレサ

「セレスから連絡がありました。レリック軍が動き出したそうです!」



レイアース

「なら好機!」



テレサ

「直ぐに城下町の中央広場に向かいましょう。」





私達は直ぐに城を出て、拠点としている城下の中央広場へと向かいました。到着するとそこにはセレス、ウィンダム、ガンダイラーを含め、昆虫軍団の兵に骸骨剣士(ワイト)が複数待機していました。






ウィンダム

「レイアース!持ち場を離れるな!」



レイアース

「ごめん!今戻った!」





レイアースは無断で持ち場を離れたのですか?困った子ですね。直感で動く自由奔放な性格ですから、後先が心配です。

それにしても正門からはドンッ!ドンッ!と何かで打ち付ける音が聞こえます。まさかとは思いますが・・・・。





バフォメット

「丸太で正門を打ち破る気ですか?なんと原始的なな技法を使うのでしょ。」



テレサ

「ですがこの正門は魔法無力化のギルド能力(スキル)を持っています。それに置いて物理攻撃は最適の手段です。」



バフォメット

「突破するには時間は掛かりますがね。問題は敵に分散されたら城下に散らばってしまい、一匹一匹潰すのが面倒になってしまいます。」



テレサ

「それは困りました。取り逃がして城にまで潜り込まれたら大変です。ベリアル様のお部屋に害虫が居座るなど以ての外です。」



ウィンダム

「その害虫さん達、必死こいて城門をこじ開けようとしてますが、何か手は無いんですか?」



バフォメット

「纏めて潰すのが最良ですが、それには敵を一箇所に集める必要があります。」



テレサ

「ではギルド能力(スキル)『ダンジョンレクリエイト』を発動させ、城門から広場に続く道を一本にします。」



バフォメット

「脇道を完全に塞いでしまうのですね。敵も纏まって動いてくれたらこちらがやりやすいですが後は囮となる餌が必要ですが。」



ワーウルフ

「なんじゃあ!騒がしい!!」





突然軍議中にワーウルフが大声を出して割り込んで来ました。何故このタイミングで?





バフォメット

「お前は大森林で寝てるのでは無かったのか?」



ワーウルフ

「こううるさくちゃ寝られんわ。」





これよりもっと騒がしい事がいくつもありましたが、あなた普通に寝てましたよね?





ワーウルフ

「何故敵ば城下に入れて纏めて潰さぬ?」



バフォメット

「バカを言うな!敵をわざわざ中に入れるつもりか!?」



ワーウルフ

「当たり前じゃ!籠城戦なら敵を招き入れてそれを討ち取るのが定石じゃろ!!決起した兵を討ち取るなんざ猪狩りも同然じゃ!!」



バフォメット

「なら敵兵を引きつける囮役を誰が買ってくれるのかね!」



ワーウルフ

(おい)ば引き受けたる!」



バフォメット

「そうか。最弱らしい役目だな。ならお前は立ってるだけでいい。こちらに来た敵を我々で迎撃する。」



ワーウルフ

「何寝ぼけた事ほざいとるんじゃ。」



バフォメット

「何?」



ワーウルフ

(おい)ごと敵兵ば苅り取れ言うとるんじゃ。」






え・・・・でもそれって貴方も死ぬって事じゃ!





バフォメット

「とんだ自殺志願者だな。そんな事認められる訳ないだろ!!」



ワーウルフ

「ほう?今日は(おい)の肩を持つんかい?槍でも降るんかのう?」



バフォメット

「ベリアル様はお前を生かすと決められた。お前を失ったらベリアル様に申し訳ない。」



ワーウルフ

お前(おまん)親父(おやっど)の命令がなきゃ動けんうつけか!!」



バフォメット

「そうではない!!」



レイアース

「あんた自分の命が惜しくないのか!?」



ガンダイラー

「ワーウルフ!そこには愛も何も生まれない!!君には正義の心が無いのか!!」





そうですよ。そんな事出来るはずがない!私達はベリアル様の手で殺されなくても、それ以外なら話は別のはず。だからもうやめて。





ワーウルフ

「このやっせんぼうがぁ!!」





ワーウルフ?





ワーウルフ

「ここは『ガイロス帝国』じゃぞ!!ガイロスに軟弱なへごば必要なか!!それを知らんおまんらではなかと!!」



バフォメット

「しかしだな!」



ワーウルフ

「それとも何か?親父(おやっど)の作った掟ば守れん謀反人か!!」





ワーウルフの怒号にそのままみんな黙り込んでしまいました。彼はもう自分の無力差に気づいているのでしょう。だからこそ自ら死を望んだのです。これ以上惨めな姿を晒さないために。





バフォメット

「わかった・・・・ガイロスの規則に従い、お前をここで処刑しよう。」



ワーウルフ

「おう!それでよか!」





バフォメットは煮え切らないのか、ワーウルフとの別れを認めていなかったように感じていました。あんなに毛嫌いしていたのに、本音は彼と一緒にいて楽しかったのでしょう。ですが作戦は決まりました。これより戦闘を開始します。その前に、私も彼の姉として一言手向けの言葉を言わなければなりません。





テレサ

「ワーウルフ。」



ワーウルフ

「姉上?」



テレサ

「今までお疲れ様でした。ベリアル様とルシファーには私からお伝えします。」



ワーウルフ

「そげな気遣いばよか。親父(おやっど)とルシファーの姉上にはなんもなかったと言うてくれ。」



テレサ

「別れの挨拶言わないと後で後悔すわよ。」



ワーウルフ

「余計なお世話じゃ!」





遺言か何か残していけばいいのに、本当にこれが最後なのですよ。貴方は後悔が無くても、私やルシファー、ベリアル様はこうなると結果に後悔しているのですよ。





バフォメット

「総員配置に着け!」





思い出に浸る間も無いまま、戦闘態勢が整っていった。考えを改めるつもりは無いのね。さようならワーウルフ、私の弟。





バフォメット

「ギルド能力(スキル)『ダンジョンレクリエイト』を発動!正門から中央広場に続く道を一本にしろ!狭い脇道や裏道を全て塞げ!」






ギルド能力(スキル)『ダンジョンレクリエイト』が発動し、広場に続く道は一本となってしまった。後は正門を開いて軍隊を招き入れるだけです。





バフォメット

「正門開け!レリックの軍勢を中に入れろ!!」





正門が開き、一斉にレリック軍が雪崩れ込んできました。そして彼等は中央広場まで一気に駆け込んできました。そこには一人立っているワーウルフと待ち伏せしている我が軍の兵士達が待ち構えています。





兵士A

「なんだ?獣人族一人か?」



兵士B

「それにこいつのステータスも確認したがレベル5の雑魚だ。こいつを倒してさっさここを通して貰おう。」





彼等が後一歩足を踏み入れたその瞬間、バフォメットの掛け声で一斉攻撃が始まりました。





バフォメット

「放てぇ!!」



ウィンダム

天災魔法(ディザスターマジック)!『テキサストルネード』!!」



セレス

大海魔法(オーシャンマジック)!『ワイメアビッグウェーブ』!!」



レイアース

「この剣に灯せ!約束されし勝利の聖火!!火炎魔法(フレイムマジック)!『約束されし炎の聖剣フレイムエクスカリバー』!!」



ガンダイラー

「愛と!正義の!必殺奥義(ヒッサツアクション)!『ラブムーンバースト』!!」



バフォメット

黒魔法(ブラックマジック)!『ダークネスライトニング』!!」






全軍の一斉砲火でワーウルフごとレリックの軍勢を一掃していきます。





テレサ

流血魔法(ブラッディーマジック)!『流血の串刺し処刑インデパータル・ヴァーサルデスセンジ』!!」





私も容赦なく広範囲魔法を解放しました。レリックの兵士を道連れにしたワーウルフを無駄にしたくなかったのです。





騎士団長

「な・・・何がどうなっている。」





こちらの攻撃が鳴り止んだ頃に、騎士団長率いる本隊が到着しました。どうやらこの惨状を見て動揺しているようですが。





兵士C

「騎士団長!!」





おや?私達とした事が討ち漏らしがありましたか。





騎士団長

「何があった我が軍の兵はどうした!?」



兵士

「こちらの味方は私を除いて全滅しました!敵は自分達の仲間を囮にして我々を誘き出し、見たことも無い魔法砲撃の集中砲火を受けました!!」



騎士団長

「魔法砲撃がこんな一瞬で全滅するか!!何かの間違いだろう!!」



兵士

「威力も広範囲も桁違いです。あれは・・・・世界を破滅させ・・・・グバァ!?」



ワーウルフ

「ギャーギャー喧しいのお!発情期か己は!!」





兵士のお腹からワーウルフの腕が背中から貫通して出ていたのです。

ワーウルフ?え?





騎士団長

「なっ・・・・なんだこいつはぁ!!」



兵士D

「騎士団長を守れ!!オオカミを仕留めろ!!」





今は爆炎で何も見えませんが、レリックの兵士達の叫び声が響いてますが、それに混じってワーウルフの声も聞こえて来るのです。ですが何故?ワーウルフは確かに死んだはずなのに?それは気のせいではありませんでした。バフォメット達も彼の存在に気づいたからです。





ヴァイゼン

「騎士団長!撤退の許可を!!これでは我の部隊は全滅です!!」



騎士団長

「黙れ!!お前のような雑魚など捨て駒となって私を守っていればいいのだ!!」



ワーウルフ

「オイ!」



騎士団長

「ヒッ!?」



ワーウルフ

「オマンタイショウクビダロ?タイショウクビダヨナ!クビオイテケエ!!」





爆炎が晴れたその瞬間、私達は信じられない光景を見ました。私達の攻撃を受けて死んだはずのワーウルフが、後から合流した部隊の兵を殲滅して敵指揮官の前まで来ていたのです。その姿はとても異形で、全身真っ黒なオーラに包まれていて、目から炎のように赤く燃え上がっていました。





セレス

「何がどうなっているの!?」



レイアース

「あいつ死んだんじゃなかったのか!?」



バフォメット

「信じられませんが認めざるを得ません。そしてワーウルフに妙な現象が起きているのが決定的な証拠です。」



テレサ

「妙な現象?」



バフォメット

「先程ワーウルフのステータスを確認しましたが、彼は能力(スキル)を発動させています。」



テレサ

能力(スキル)?」



バフォメット

「『荒ぶる強靭』です。」





バフォメットの話では、『荒ぶる強靭』は自分のHPが1になった時に発動、自身に『一撃必殺』の能力(スキル)が追加され、さらに戦闘終了まで倒される事はない。『一撃必殺』は一定の時間の間、モンスターやプレイヤーを対象にレベルに関係無く、防御系の技を無視して一撃で倒してしまう能力(スキル)なのですが、『荒ぶる強靭』はHPが1の状態であれば戦闘終了まで続くそうです。



でもそれって!?






レイアース

反則能力(チートスキル)じゃないか!?」



バフォメット

「いいえ、そもそも反則能力(チートスキル)は無条件で五つ星以上の力を発動させますが、『荒ぶる強靭』はHP1でなければ発動できない。反則能力(チートスキル)と言える力には至りませんがデタラメな能力(スキル)には違いありません。」





正に弱者の悪足掻きですね。





ワーウルフ

「クビモロウタ。」



騎士団長

「や・・・・やめっ・・・・。」





彼は容赦なく指揮官の首を引き千切り、その生首を持ったままその場で立っていました。レリックの部隊はほぼ全滅しました。けどワーウルフは中年の騎士だけを残していたのです。何故そんな事を?





ヴァイゼン

「何故だ・・・・何故私だけ生かしたのだ。」



ワーウルフ

「キマットロ。センイヲソウシツシテアリンコノヨウニニゲマワッテルコシヌケドモノナカ、オマンハオイヲミテニゲンカッタ。サシデショウブシテミタカ。」



ヴァイゼン

「一騎打ちを所望するか。こんな俺でいいのか?レベルは12だぞ?」



ワーウルフ

「オマンノオトコギニホレタンジャ!グダグダヌカシトラント、オイトショウブセイ!!」



ヴァイゼン

「そうか。俺の名はヴァイゼン!『ヴァイゼン・ガルド』!!お前との勝負受けてやろう!!」



ワーウルフ

「オイハワーウルフ!オマンノクビ・・・ヨコセぇぇぇ!!」






先に飛び出したのはワーウルフですが、ヴァイゼンという男は動きを見せません。何が狙いなのでしょう。





ヴァイゼン

「『回復(ヒール)』!!」



ワーウルフ

「なんじゃとぉ!?」





ワーウルフの能力(スキル)が解けてしまったのです。何故?





バフォメット

「説明しましょう。『荒ぶる強靭』はHPが1の時に発動する能力(スキル)です。ですが回復されればその発動も無効になる。」



レイアース

「そんな弱点だったのか!?」



バフォメット

「ですが回数制限が無いため、発動条件さえ満たしていれば再び発動する事が出来ます。なんともメチャクチャな能力(スキル)ですよ。」



レイアース

「いや本当。アイツをバカにできなくなるぞ。」



セレス

「でもこれでハッキリしたわ。ワーウルフがどうして四天将として認めてもらえたのか。」



ウィンダム

「ああ、ベリアル様が認めるのも納得がいった。」





本当に驚きました。いつの間に覚えたのでしょう?そもそもレベル5ではまだ通常攻撃しか出来ないはずなのに、どうやってそんな強力な能力(スキル)を習得したのでしょう。それにしてもワーウルフは攻撃をやめていますが何をしているのでしょう。





ワーウルフ

「あ〜!そんなんありか!!」



ヴァイゼン

「ハハハハハ!まさかとは思って試してみたが、お前の能力(スキル)はある一定まで体力を消耗すると発動する事がわかった。なら体力を回復させて発動条件外にさせてしまえば大人しくなると思ったんだ。」



ワーウルフ

「おまんが初めてじゃ!(おい)能力(スキル)ば破ったん強者は!」



ヴァイゼン

「止してくれ、俺はそんな大それた男では無い。レリックじゃあ一番の落ちこぼれだ。その証拠に未だレベル12だ。」



ワーウルフ

「なんじゃあ!(おい)と一緒じゃな!」



ヴァイゼン

「お前が?」



ワーウルフ

(おい)もガイロスのやっせんぼうじゃあ!しかもレベル5ぞ!!」



ヴァイゼン

「レベル5であんな強力な能力(スキル)を発動させていたのにか!?」



ワーウルフ

「そうじゃあ!じゃっどん、勝負はおまんの勝ちじゃ!」



ヴァイゼン

「そうか、だが戦争には負けてしまった。出来ればお前の手で殺して欲しい。」





突然男は座り込んでしまいました。どうやら敗北を認めたようです。





ヴァイゼン

「さあ!お前の欲しがってた首だ!くれてやる!!」



ワーウルフ

「おまんの首はいらん!じゃっどん頼まれ事を引き受けてくれち。」



ヴァイゼン

「頼みだと?」



ワーウルフ

「もうすぐおまんらの国を取りに行く!帝にそう伝えてくれ。」



ヴァイゼン

「だがそれは俺を見逃すと言っているのだぞ?お前はそれでいいのか?」



ワーウルフ

(おい)はおまんを気に入ってしもうた。そげば相手に牙も爪も立てられん。」



ヴァイゼン

「そうか、なら見逃してくれた命に感謝する。」





話を終えると男はそのまま立ち去り、レリック本国へと戻って行った。敵を見逃したにもかかわらず、呑気に私達のところに帰ってきました。





ワーウルフ

「いや〜、久々に大暴れして体動かしたき、気持ちえがったぁ〜!」



バフォメット

「「えがったぁ〜!」じゃねーよこのやっせんぼう!!何故敵兵に情報を与えたまま帰らせた!?こちらに危険が及ぶ事は承知しているだろ!?」



ワーウルフ

「心配なか、あの男は恩義を裏切るような事はせん。芯の強か男じゃ。」



バフォメット

「まあ、喋ったところで彼等に何が出来るわけではないが、万が一と言うのもある。」



ワーウルフ

「そん時はそん時じゃ!」



バフォメット

「なんと能天気な。まあ面倒事が解決しただけでも良しとするか。」






何はともあれ何事も無くて良かったわ。早速ベリアル様に報告しましょう。





レイアース

「てかいつの間にあんな能力(スキル)覚えたんだ!?」



ワーウルフ

「なんかの戦でこの城ん中が(おい)親父(おやっど)とアルタイルだけの時だったかの?城ばギルド連合が攻めて来た時に使えるようになっとった。」



バフォメット

「あの時か!だが確かベリアル様とアルタイルが撃退したと聞いているが?」



ウィンダム

「それにお前あの時『シベリアの牢獄』に幽閉されてなかったか?なんで出られたんだ?」



ワーウルフ

親父(おやっど)に見放されたからじゃ。(おい)を餌に冒険者を引きつけて殲滅する算段だったんじゃが、(おい)が殲滅してもうた。」



バフォメット

「ならベリアル様は既にお前の能力(スキル)をご存知なのだな。」



ワーウルフ

「おう!」





そう言う事でしたか。でも、それを隠して更に味方に攻撃させるなど言語道断です。少しお説教しましょう!





テレサ

「ワーウルフ。」



ワーウルフ

「なんじゃ姉上?」



テレサ

「どんな理由があるにせよ、仲間を撃たせるような事はやめなさい。身内を斬りたくないわ。」



ワーウルフ

「そげは悪い事したど、もう二度とせん。」



テレサ

「それと、もっと自分の身体を大切にしなさい。本当に死んだらどうするの。」



ワーウルフ

「そいは約束できんの。(おい)は弱い。弱いもんが戦うには命捨てる覚悟がなきゃ戦えん。もはや特攻しか選択肢はないんじゃ。」





弱者だからこそ自身の戦い方を知っているですか。なんとも愚かな事です。





ワーウルフ

「さて一眠りしてくっかのう。」





そう言いながら彼は「北の大森林」へと帰って行った。何事も無く無事に済みましたが何故ここがわかったのでしょう?ベリアル様に申し出て調べさせる必要がありますね。ではベリアル様に連絡をしましょう。

私は、念話でベリアル様に今回の襲撃について詳しい報告をしましたが、ベリアル様は全てお見通しだったようです。





ベリアル

「そうか。なら当初の予定通りお前達もすぐ『ペルーニャ村』に合流せよ。」



テレサ

[わかりました。準備が出来次第こちらも出陣します。]





私はベリアル様に報告を済ませて準備を始めました。その頃ベリアル様は今、アイネとミオの話を聞いていたみたいです。





ベリアル

「さて話の続きだが、どこまで話したかな?」



アイネ、ミオ

「だーかーらー!!」



アイネ

「エルザさんとレイさんです!!ベリアル様二人に何を言ったんですか!?」




ミオ

「私達さっきまで二人から取り調べを受けていたんです!誤魔化すの大変だったんですから!!」




どうやら説教を受けてたみたいですね。





ベリアル

「輝夜!貴様からも説明してくれ!!」



輝夜

「我が君よ、周りの迷惑も考えて下され。双子悪魔(ジェミニーデビル)が怒るのも無理ありませぬぞ。」





向こうは何やら楽しそうですね。少し嫉妬してしまいます。いいでしょう、私達も『ペルーニャ村』に向かいましょう。






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