1、魔界追放されました。
落ちこぼれ___
これが、俺の成人の儀で皆から下された烙印である。
俺、ガウル•ウロボロスは魔界で有数の魔王の一族のウロボロスの本家の三男である
幼い頃から魔族からしてみれば相当ひ弱な体格をしており。
『お前はゴブリンやスライムにも負けそうだ』と笑われ続け。
この儀式により、更にその烙印が明確となった。
成人の儀とは、一族の皆の前で、基礎能力と特殊能力と技能と才能がステータスクリスタルを通して公開する儀式で、それまでは知らなかった自分の才能をここで初めて知ることができる。
公開された俺のステータスはこんな感じ
◼️ ガウル•ウロボロス LV 1/1
◆基礎能力
耐久 1000/1000
魔力 100000/100000
◆特殊能力
【鑑定】
物、人物の名前、能力を知ることが出来る
【対話】
あらゆる者と話す事ができる。
◆技能
【種族変化】
自身を含む、対象者を様々な種族に変化できる
大きさ、体格は変わらない。
◆才能
【非戦闘員】
戦闘系スキルを覚える事が出来ない。
LVは1のままで成長しない。
ウロボロス家は元来、戦闘を得意としている一族で、戦闘系技能、才能を覚えているのは当たり前であり、一族皆の技能に5つ、才能に2つの戦闘技能有るのだが、見ての通り戦闘系スキル覚えられない才能で成長も見込めないと言う。
これじゃ皆から『落ちこぼれ』といわれてもおかしくない能力である。
後日、俺は一族の長で魔王である父から魔界追放処分と言い渡された。
名もウロボロス性を剥奪され、
白金貨1枚分の大金貨10枚(1億円相当)と、
大きさ、重量を無制限に物を入れても鞄の重量が変わらなくなる他に、中の時間停止など様々な機能がある、高性能な無限の指輪を持たされ、俺が飼っていた橙色のスライムのプルンと共に屋敷からも追い出された。
質素な生活していれば50年は持つ資金は手に入ったが目に見える転落人生には変わり無い。
まあ、幼い頃から【鑑定】で自分と皆との違いを見た来たから、薄々こうなるんじゃないかと思っていた。
分家の人たちに白い目を見られ続けていたしな。
だから、幼い頃からこれまで、頑張って【種族変化】を覚えたんだ。この能力さえあれば、他の種族の国にも溶け込んで暮らして行けるはずだ。
ウロボロス一族は魔族の中で『魔王』と名乗るのを許されたの“魔人”の上級種、神龍人族と呼ばれ、父は今、世界に君臨している、種族の長で、ドラゴン、竜、龍の最上位種の神龍と言われている。
力関係は
神龍>>神龍人種>龍>龍人種≧竜種>>竜人種>>ドラゴン種>>蜥蜴人
とこんな感じ。
その為、自分で言うのも何だが、人間から見れば、神龍人は頭に小さな鹿角の生え、全体的に灰色の鱗に覆われてる蜥蜴人見たいだが、顔は人間に近い。
そのため、見ただけで魔族とバレてしまう。それだけは避けたい。
だから今まで必死になって、能力の習得や地上界の情報をかき集め、頭に叩き込んだ。
でもいざ、追放されるとなると悔しさが込み上げてくる。
さて。早くここを離れないと、あいつらに、何されるか分かったもんじゃ無いからな。
と離れようとすると、
「待ってください」
と屋敷から大荷物を背負いフラフラと近づいてくる者がいた。
専属メイドだった。
見た目、褐色の人間の娘の様な下級魔族夢魔種のサニアがついてきたのだ。
サニアは幼少時代にプルンと散歩途中に拾って、メイド長に経緯を説明し、メイド見習いとして雇ってもらったのだが、その経緯で俺に恩義を感じて安定している職をやめるべきじゃない。
「私が御使いしてる主人は、ガウル様だけです」
「いやもう、主人でも無ければ、様つけする必要ない。落ちこぼれで追放され、ましては自分より弱い者について行っても、お先真っ暗だぞ」
そう、こいつは俺より十数倍ぐらい強い
◼️ サニア LV 35/50
◆基礎能力
耐久《HP》 4500/4500
魔力《MP》 850/850
◆特殊能力
【無音飛行】
無音で浮遊し、燕位の速度と旋回力で飛行出来る。
重量200kgまでの荷を持っても、難なく飛ぶことが出来る。
【眠の誘い】LV3/5
半径30mにいる対象者を複数指定し、酷い睡魔に襲わせる
【夢渡り】LV3/5
夢に入り込み、MPを吸収する事ができる
◆技能
【女中術】LV3/5
清掃、洗濯、炊事などの家庭内労働をこなす能力
【短剣術】LV5/5
短剣に特化した剣術
【察知】LV3/5
気配察知、魔力察知、形跡察知を統合した能力
気配、魔力察知範囲は半径30m周辺までできる。
◆才能
【アサシン】
気配を隠して動作ができる【隠密】と【瞬身】を受動的に身につけている
うん、今では完璧なメイドさん。
ポテンシャルはまだ俺の方が強いが、LV MAXによる進化すれば、今現在の能力見るだけで俺が太刀打ちできるわけがないと分かる。
分家の人たちに本気で命狙われば、一溜まりもなかっただろう。
正直【鑑定】が無ければ俺は今まで生きていなかったと思う
「貴方様がどう言われようとも、付いていきます」
そう言って、先行く俺の後ろから自分の体より大きい荷物を背負ってヨロヨロとついてきた。
こいつは昔から、頑固者で、一度決めたことを曲げない。よく俺が妥協するのはしばしば…本当に主人と思っているのか?と思うが…
「……それ重いだろ。貸せ」
とサニアの元に戻り大荷物を取り上げ、無限の指輪に入れる。
「ほら…さっさと行くぞ」
「あ…ありがとうございます」
と安堵と笑顔が混ざった顔で深く頭をさげた。
俺も大概だよな…
「ん?」
無限の指輪に荷物を入れる最中、何か入っている感じがしたので、それを取り出して見るとそれは拳大の紫色の宝石のような物と手紙が添えてあった。
他に持っている物は、俺の部屋の全ての家具と研究資料などの私物。
他にコメのセイマイ1万俵、ウメボシ30樽、コメの種籾10kg、ミカン、ナシ、ウメ、イモ、ゴマ、ダイズの苗が100束が指輪の奥に入っていて、
全部纏められていた。
宝石を調べて見ると迷宮核と呼ばれる物で。
本来、成人の儀の後に父う…いや魔王様から
魔剣、魔杖、迷宮核の3つの品から1つ選んで賜る物で、俺が欲しかった物だ。まさか追放された身で手にする思わなかった。
魔剣は力、魔杖は叡智、迷宮核は国を示しており、
迷宮核は魔人の者にとってまず選ばない物で
何故なら、魔人とは一族のみならず、魔界で国を持つ事を許される者を言う。国を持たなくても、其れ相応の地位と権力を持つ。
迷宮核を選んだ者は、どんなに権力が有ろうとも 己の手腕だけで一からダンジョンを創らなければならない。勿論、ダンジョン創っても、財を成すのは、本の一握りだ
魔人以外の者は這い上がる絶好の職なのだが、もともと権力ある魔人にとっては、わざわざ選ぶ必要性がないのだ。
魔人が迷宮核を選ぶとは即ち、
"今の権力要らないから未開拓の未知なる領地ください"
と言ってるような物。
よっぽどの変人か物好きで有る。
俺もその物好きであり、権力を失った今、最も欲しい物であった。
手紙は4枚あり、1枚目2枚目は魔王様とお妃様の字で「我が息子へ」と一言から始まり、追放処分とした事の謝罪と俺の行く末の心配とこれからの成功をお祈りの文面が綴ってあった。
……3枚目は転移の魔法陣で行き先は書かれておらず、キーワードで発動するタイプであった。
4枚は魔王様の追伸が書かれており、
"昔、お前の夢を聞いておいてよかったと思う。
昔から私達に何かを隠している事を分かっていたが、落ちこぼれと貶されようとも、今回の処分を受けてもなお、隠そうとするのだから、よっぽどのことであると思うが、それでも相談ぐらいはして欲しかった。"と書かれていた。
___さすが、魔王様。隠しとうせてはいなかったか…
「どうかなさいましたか?」
「___いや、何でもない。ちょっとこっち来い」
とプルンを自分の脇に挟み、サニアを抱き寄せる。
「ちょ!ガウル様!?」
レムは目を白黒させてはかるく抗う
「暴れるな。じっとしてろ。"転移"」
魔法陣を手を合わせてキーワードを唱える唱えると周りが白く輝き、数秒あたりは白に染まり、白が消え失せると薄暗い洞窟内に俺たちはいた。
もう…いいよな?
「ガウル様、ここは?」
サニアは俺に抱き着かれながらも周りを見渡す。
もう我慢しなくても良いよな?
「……ガウル様、ここには私とプルンしかおりません。……我慢しなくても良いのですよ」
……本当によくできた娘だよ
なら、悪いが今はこうさせてくれ…
そして俺は泣き崩れた
この世界のお金の単位
大聖貨= 100聖貨≒ 十兆円
聖貨= 100大白金貨≒ 千億円
大白金貨=100白金貨≒ 百億円
白金貨= 10大金貨≒ 1億円
大金貨= 10金貨
金貨= 10大銀貨
大銀貨= 10銀貨
銀貨= 10大銅貨≒ 1万円
大銅貨= 10銅貨
銅貨= 10鉄貨
鉄貨≒ 10円
※お金の単位名は無い
「金貨分の銀貨」など「●貨」で表す