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こうして少女は最強となった  作者: 松本鈴歌
第七章 それぞれの過ごす日々
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今回はかなり短めです。

 ギルドから学園への道で不意にマリアが尋ねた。


「帰ってきたのは良いけど、今更だけどグレンはどうする?」

「? どうするって、何がだ?」


 グレンは心底不思議そうに首を傾げた。


「えっ、だってリオは学園に入ることは決まってるでしょ? グレンはどうするのかなって」


 マリアは当然のことのように言った。


「⋯⋯いまさらだけど、学園ってそう簡単に入れるの?」


 グレンではなくリオナが心配そうに呟いた。


「大丈夫! 国王様の推薦をもらってくるから、アルが⋯⋯」


 どこまでも他人の力頼みのマリアだった。


「⋯⋯アルも大変だね。あれ? それじゃあアリアさんだっけ? はどうするの?」

「王妃様の推薦もらってきます。⋯⋯アルが」

「⋯⋯そうだと思ったよ」


 リオナは疲れたように言った。


 この学園の推薦システム、貴族なら親に推薦してもらえば良いと思うかもしれないが、一定の財力がある者は利用できない。一応下級貴族の中の一部のものなら利用できるが、貴族としての面子からそのようなことをする者はいない。


「本当はエリザの両親とかでも十分なんだけどね。⋯⋯上級貴族が何か言ってきそうな気がするから念のため、ね」

「ちゃんと理由があったんだね⋯⋯」

「ちょっとリオ! 私をなんだと思っているのよ⁉」


 じゃれあう2人を楽し気に眺める年長者3人と、いつの間にか話から弾き出され呆然とするグレンだった。


「⋯⋯僕のこと忘れるなよ」


 そんなグレンの肩をアーティスは優しく叩いた。


「気にするな。気にしちゃ駄目だ。僕なんて最初から忘れられていることが多いんだぞ。それに比べたら君はマシじゃないか」


 慰めているアーティスの方が目が潤んでいた。


「⋯⋯お前も苦労してるんだな」


 グレンはアーティスに心から同情した。そして皆が忘れていても自分が気にしておこうと決めた。


「学園に来るんだったら別に入学しなければならないわけじゃないぞ」

「? どういうことだ?」

「学園の寮には1人1人ずつ身のまわりのことをする使用人を連れていけるんだよ。僕は四男だし、そういうのは面倒くさいから連れてきてないんだけどね。もしグレンが良ければだけどどうだ?」


 アーティスは期待を込めた目でグレンを見た。


「⋯⋯そうだな。それが一番かもしれないな。勉強なんて今更だしな」

「⋯⋯今更って、そんなこと言うもんじゃないよ」

「いや、だって勉強は里にいた頃に長老たちに200年ぐらい教わったし⋯⋯」


 自然と出てきた数字にアーティスは耳を疑った。


「200年って、グレン君歳はいくつだい?」

「う~んと、1000歳ちょっとだな」


 その数字にアーティスは固まった。

 そばでは未だにマリアとリオナがじゃれていた。


 結局グレンの扱いはどうするかはグレンとアーティスの希望通りになった。


「⋯⋯今回の依頼は長期間かかったし、明日からしばらく休みにしない? リオも学園に慣れるのが大変だろうし」

「そうね。思い切って1月ぐらいどう? 勿論その間個人で依頼を受けるのは自由で」

「それが良いかもな。だれか反対意見はあるか?」


 皆黙って首を横に振った。


「⋯⋯最後に1つだけ。冒険者の方が休みとはいえ、学園の授業はあるからな。以上、解散」


 気づけば学園の門の前まできていた。アルフォードは城の方に、アーティスは男子寮の方に、グレンもアーティスにくっついていった。


「リオは今日は私たちのどっちかの部屋に泊まることになるんだけど、どっちが良い?」

「う~ん、どっちかっていうとマリアかな?」


 3人は仲良く連れ立って歩き出した。

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