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こうして少女は最強となった  作者: 松本鈴歌
第六章 王都への帰路
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 翌日、6人は再び冒険者ギルドを訪れていた。

 今回も入った瞬間に騒めきが起こり、受付嬢が飛んできた。


「ほ、本日はどのようなご用でしょう?」

「ちょっとこの子のランクアップ試験を受けにね。ほら、リオ」


 エリザベートに言われて慌ててリオナは頭を下げた。


「は、初めまして、Hランク冒険者のリオナです」

「えっ? Hランク?」


 受付嬢は目を見開いた。


「ええ、Hランクだけれど、何か問題があるかしら?」

「い、いえ。てっきり皆様と一緒におられたので、もっと上のランクかと⋯⋯」

「あら、それは私たちを買いかぶりすぎよ。リオの年齢ならHランクでも不思議でもなんでもないでしょう?」


 エリザベートは若干苛立たし気だった。


「⋯⋯それもそうですね。それにリオナちゃんぐらいですと、登録していること事体が珍しいですし⋯⋯」


 受付嬢はお茶を濁そうとしたが、その言葉は逆効果だった。


「⋯⋯おねぇさんは私がいくつだと思うの?」


 リオナは自分が気にしていることを言われて、静かにキレた。

 受付嬢はリオナの雰囲気が変わったのに気がつかず、禁句に触れた。


「5歳ぐらいだよね~、その齢で冒険者をやっているなんて凄いね」


 そう言ってしゃがむと頭を撫でた。

 リオナが大っ嫌いな小さい子ども扱い。それが止めだった。


「私はそんなに小さくない!」


 そう叫びながら受付嬢の手を払った。


「えっ?」

「子どもあつかいしないで!」


 10歳と言えば、学園への入学もそうだが、工房に弟子入りしたりと、何かと世間からある程度一人前と認められる年齢だった。

 どこに行ってもいつまでも小さな子ども扱いされることは、一部の例外を除き、まだ一人前とは呼べないと言われているのと同義だった。


「えっと、大人ぶりたいのはわかるけど、あなたはまだ小さいんだから⋯⋯」


 それと知らず、受付嬢は再び禁句に触れた。普通ならそれは正しい行動なのだが、今回だけは状況が悪かった。火に油を注ぐ結果にしかならなかった。


「私は小さくなんてない! そりゃあ身長は少し小さいけど⋯⋯でも私はもう10歳なの!」


 リオナはなおも言い募った。


「嘘はダメよ」


 受付嬢は優しく言い聞かせた。


「嘘じゃないもん!」


 その姿は駄々を捏ねる子どもにしか見えなかった。


「ハハハ、面白い嬢ちゃんだな。ランクアップ試験をするんだろ? 俺が試験官をやっちゃダメか?」


 話に割って入ってきたのは20代後半の男性だった。


「ラルフさん! 困ります!」

「良いだろ別に。試験官はBランク以上だから条件は満たしている筈だ」

「それはそうですけど⋯⋯私の一存では⋯⋯」


 受付嬢は困ったように言った。


「あら、良いわよ。許可するわ。何の問題もないしね」

「ギルドマスター⁉」


 マリアたちが来ていると知らせを受け、慌てて仕事を放り出して飛んできたギルドマスターのステラだった。

 受付嬢は驚愕の声を上げたがステラは意に解さず、あれよあれよという間にリオナのランクアップ試験の準備は整っていった。


「審判は私が務めさせてもらうわ。危険だと思ったら止めに入るからね」

「はい!」

「ああ、わかっている」


 リオナはエリザベートから貰ったアイテムポーチの中から白銀のデスサイズを取り出して構えた。その瞬間小さく騒めきが起こった。

 ラルフも剣を抜いた。

 このギルドに刃を潰した剣は置いていない。


「嬢ちゃん、どこかの口だけの我儘なお嬢様かと思っていたが、なかなか骨がありそうじゃねぇか」


 ラルフは楽し気に笑った。


「⋯⋯それでは始め!」


 ステラの合図で戦闘が始まった。

 リオナは合図とともにラルフに駆け寄るとデスサイズを横薙ぎに振るった。


「えいっ!」

「うおっ!」


 可愛らしい掛け声とともに剣の間合いの外から放たれた一撃はラルフの予想以上に鋭く、ラルフはバックステップで回避した。

 自然と距離を取る形となった。


「なかなかやるじゃねぇか」


 ラルフはニヤリと笑った。


「⋯⋯あなたも私が5歳児だっていうの?」

「いや、さっきのは冗談だろ? どう見積もってもせいぜい6歳ぐらいにしか見えねぇよ」


 リオナはその言葉に表情を変えた。


「あなたも私をそんな風にいうの⁉」


 リオナは瞳に怒りの炎を燃やした。

 そのまま再度距離を詰めると、デスサイズを横薙ぎに振るう。

 ラルフは今度はそれを剣で受け止めた。そしてそのまま刃を滑らすとリオナの懐に飛び込んだ。


「っ⁉」


 リオナは咄嗟に返す力で柄でラルフを薙ぎ払おうとしたが、容易く左手で掴まれてしまった。そしてそのまま右手の剣をリオナの首筋に当てた。


「そこまでよ! 勝者ラルフ!」


 ステラの宣言に歓声が上がった。

 リオナは悔し気に手を握りこんだ。


「なかなか見事だったぜ。⋯⋯それにしてもなんで鎌なんだ?」


 ラルフは手を差し出しながら不思議そうにデスサイズを見た。


「⋯⋯私の身長で使える武器ってほとんどなくて」


 リオナは自嘲気味に笑いながらラルフの手を握った。

次回は18日の12時です。

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