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こうして少女は最強となった  作者: 松本鈴歌
第四章 護衛依頼
49/210

38 14日目

 マリアたちはフェジーの店を出ると、職人街から宿がある商業区を目指して歩いていた。


「大分遅くなっちゃったね」

「そうね。⋯⋯悪いんだけど武器屋に寄ってもいいかしら?」

「そりゃ良いが、どうしてだ?」

「昼間の戦闘で杖が大分傷んじゃって、急ぎじゃないけど、できるだけ早く新しくしたいのよ」

「あ~、力任せに振り回していたからなぁ~」


 アルフォードはエリザベートの戦闘スタイルを思い出して遠い目をした。


「今思えば、今までよく持ったよな」

「確かその杖って、店で一番安いからって使っていたような⋯⋯」

「せっかくだし、私も武器が見たい」

「⋯⋯お前の体格だと、剣とかはきついと思うぞ?」

「それはわかってるんだけどね⋯⋯」


 そんなことを話しているうちに、商業区に戻ってきた。


「実は王都で評判の良い店がこの街にあるって聞いたのよ」

「何て名の店だ?」

「《フェアリー・ソード》っていうらしいわよ」

「あっ、あの店じゃない?」


 マリアが指した先には《フェアリー・ソード》と大きく書かれた看板があった。


「いらっしゃいませ! どんな武具をお探しでしょうか?」


 対応してくれた店員はそう訊いてきた。


「杖ってあります? できるだけ頑丈なやつが良いんだけど⋯⋯」

「杖ですか? 随分と変わった武器を使われますね。あちらのコーナーになりますが、予算とかはありますか?」

「う~ん、特に決めてないけど」

「それでしたらこちらなんかがお勧めです。少し高いんですけれど、ミスリルを使用しておりまして、頑丈さが売りです。駆け出しの方には値段を考えるとこの辺が良いと思いますよ」


 そう言って見せられた杖は飾り気がなく、白銀色に輝いていた。


「ミスリルかぁ。この辺が妥当なのかしらね。おいくらなの?」

「聞いて驚けですよ。何と金貨1枚です!」


 店員は胸を張った。


「えっと、相場を知らないのだけれど、普通ならどれぐらいするのかしら?」

「金貨2枚です! 半額ですよ。ダメですよ~、相場を知らなきゃ。悪い人に騙されますよ」

「気をつけるわ⋯⋯ちょっと仲間だけで話したいんだけど良いかしら?」

「勿論良いですよ」


 4人は店の隅に移動した。


「皆はどう思った?」

「お前は絶対すぐ壊すから、もっと金がかかって良いから、この店で一番頑丈なのにしろ」

「私も同感かな~。エリザは絶対すぐに駄目にすると思う」

「僕もだな」

「⋯⋯3人とも、私のことを何だと思っているのよ」


 エリザベートは力なく言った。


「決まりましたか?」

「ええ、値段は問わないから一番頑丈なのを出してもらえるかしら?」

「⋯⋯ミスリルの杖を買うかどうか決める話し合いじゃなかったんですか?」

「ええ、まぁ、最終的にはそうなっちゃったわね」


 エリザベートは苦笑いした。


「でも、これより頑丈なものとなると、値段が跳ね上がりますよ? 駆け出しの方だとこれぐらいが限度だと⋯⋯」

「お金ならあるから心配しないで」

「しかしあなたが使われるんですよね?」

「? ええ」

「値段もそうなんですが、重さもかなり重くなるんですが、大丈夫ですか?」

「ええ、50キルまでなら大丈夫よ。あまり軽いと使い勝手も悪いしね」

「わかりました」


 そう言って店員が重そうに持ってきたのは見た目は実用的とは言えない代物だった。青いその杖は、エリザベートの身長ほどもあり、金色の金属で出来た蔓と葉が巻き付き、先端には紅の大輪の花が咲いている。その出来は本物と言われても


「⋯⋯どこからどう見ても実用に適したものに見えないのだけれど」

「やっぱりそう見えます?」


 店員は少し気落ちした様子で言った。


「そうは見えないかもしれませんが、この店で一番の品なんですよ?」

「⋯⋯えっと、どこら辺が?」


 エリザベートが尋ねると、店員は自慢気に胸を張って話し始めた。


「まず、材質ですが、青い金属部分は世界一固い金属と言われるアダマンタイトを使用しています。金色の蔓や葉の部分はオリハルコン、花の部分はヒヒイロカネです」

「⋯⋯なんて言うか、材料だけ見ても希少金属ばかりね。でもそれだけではないんでしょう?」

「はい。それらを高名な鍛冶師、ドリアン氏が鍛造し、魔術師のローズマリー・エルドラント様が更に硬化の魔術をかけられた一品です」

「エルドラント? 王族?」

「はい。先代国王の妹様です」

「それが本当なら、なんでそのようなものがこの店に?」


 エリザベートは訝し気に言った。


「なんでも、先代だか、先々代の店長だかが、ドリアン氏とは懇意にしていたらしく、その関係でうちに譲られたと聞いています」

「そう。それでおいくらぐらいなのかしら?」

「えっと、大金貨10枚です。材料は勿論のこと、製作者も有名な方たちで、しかも魔術までかけられていますから、どうしてもこの値段に⋯⋯」


 言葉の最後は尻すぼみになって消えた。


「ねぇ、買っても良いかしら?」


 エリザベートは3人の方を振り返って訊いた。


「気に入ったのなら別に良いぞ。予想よりも高かったがな」

「私も良いと思うよ」

「何本も折られるのに比べたらね」

「ありがとう!」


 エリザベートは嬉しそうに笑った。

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