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こうして少女は最強となった  作者: 松本鈴歌
第三章 魔術の授業
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幕間9 冒険者たちの証言

王都のとあるCランク冒険者の話


 あれは春のことだった。日差しが暖かく、過ごしやすい日だったことを覚えている。

 その日俺が長期間かかる依頼を終わらせ、ギルドに入るとまだ若いパーティがいた。

 俺が驚いたのはそいつらが受け取った金額だ。俺は耳を疑ったね。報酬が全員分合わせて金貨10枚以上だと言うんだぜ?だが、周りの奴らは平然としていた。さもそれが当然と言わんばかりにな。

 俺は近くの奴に訊いた。あいつらは何者だとな。

 帰ってきた返答は登録したばかりの新米冒険者で、いつも金貨10枚以上稼いでくるというものだった。それ以外は不明だとな。

 俺が知っている情報はそれだけだ。


◇◆◇


王都のとあるFランク冒険者の話


 あいつらについて? 同じ人間だとは到底思えないね。あいつら登録初日にゴブリンの村、丸々一つ壊滅させたんだぞ。お陰で最近じゃゴブリンの数が減ってこちとらその日の食うものにも困ってんだよ! もうほっといてくれ!


◇◆◇


王都のとあるEランク冒険者の話


 俺が知っていることは少ないぞ。

 あいつらは毎日100匹単位で魔物を狩ってきて一日の稼ぎは金貨10枚を超えるらしい。羨ましいことだね。

 登録したその日のうちにGランク。これはそこまで珍しいことじゃない。問題は1週間もしないうちにギルマス権限で無試験でFランクに上がったことだ。普通じゃありえないね。不正をしているんじゃないかって噂もある。ただ、あいつらの後を追っていった奴らが青い顔をして帰ってきたから不正はないと思うぞ。

 後は、そうだな。あいつら金を持っているからその見た目で絡んだ奴らがいたんだよ。そいつら全員瞬殺だよ。少なくともこのギルドではあいつらに絡むのは御法度になっている。覚えておきな。知らなきゃ潜りと呼ばれるぞ。


◇◆◇


王都のとあるDランク冒険者の話


 俺はいくら強くっても一日に何百体も魔物を倒してくるなんて、絶対何か不正をしていると思ったんだ。だからあの日あいつらを仲間とつけたんだ。

 結論から言おう。あいつらは不正なんかしていねぇ。

 あいつらは異常だよ。特にあの杖を持った女。あいつはおかしい。だって杖を振るっただけで魔物が数メートは軽く飛ぶんだぞ? 大型の魔物を投げ飛ばすんだぞ? あの細腕でだ。どこにそんな力があるのか聞きてぇよ! それにちっこい嬢ちゃん。魔術師だ。それもその辺で冒険者をしているような奴らとは比べものになんねぇほど凄腕のな。できることならあの子だけでもうちのクランに入って欲しいぐらいだよ。他の2人も十分規格外だな。


◇◆◇


王都のとあるEランク冒険者の話


 あいつらについて話せって? 止めてくれ、あいつらの名前を出すんじゃない。

 あいつらは恐ろしい。俺から言えるのはそれだけだ。あの日あったことなんて思い出したくもねぇ。


(ガタガタと震える)


 その話はもう頼むからお終いにしてくれ。


(その後、どんなに聞いてもそれ以上口を開くことはなかった)


◇◆◇


王都のとあるFランク女冒険者の話


 あの人たちについて知っていることですか?

 私は伝え聞いただけなんですけど、1月足らずで素行の悪い冒険者の皆さんを全員更生させたそうですよ。なんでも、軽犯罪を犯していた方全員を瞬殺したそうです。本人たちは降りかかる火の粉を払っただけだって言っているらしいですけどね。

 あの方たちは私たち女性冒険者の希望です。

 そう言えば、あの人たちほど知られていませんけど、同じくらい規格外なパーティーがもう一つあるらしいですよ。


◇◆◇


王都のとあるBランク冒険者の話


 あいつらについて知っていること? そうだな、あいつらのお陰で王都の治安が良くなったことは聞いたよな?

 それ以外の話となると⋯⋯。そうだ! これは噂の域を出ないんだがな、実はあいつらはお貴族様じゃないかって噂がある。なんでも、あいつらが魔術学園に入っていくところを見たとか。まぁ、見間違いだとは思うけどな。


◇◆◇


王都のとあるCランク冒険者の話


 あいつらについて? 大体他の奴らが話したんじゃないのか?

 ああそう言えば、あいつらが幻獣と契約したって噂もあったな。まぁただの噂だと俺は思っているがな。

 あいつらのパーティー名? そう言えば聞かねぇな。あいつら自身は有名なのに何でだ?

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