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雑記  作者: 飯田橋 ネコ
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目線

 普段、自主的警備体制チェック(サブエントランスからどれくらいキョドりながら入ったら警備員に制止されるか)に勤しんでいる筆者ですが、本職SP(猪首カールコードイヤホン)がうろつき、いつも真面目な事務連(じむかた)がさらにマジメになり、こんな筆者でも襟を正して廊下を直角に曲がらなければならないような日が、年に何回かあります。


 数年前、子供バレエの公演の折り。筆者は客席中央後方の定位置(まぁ音響卓のトコ)に座してオペレート(おしごと)してました。公演終了後、お客様が楽しげな表情で帰路につく様子をなんとはなしに眺めるというひそやかな愉しみに浴していた筆者でしたが、この日の様相は異なりました。


 音響卓直上約3mの2階バルコニー中央最前列に座っておられた方に、場内の全てのお客様が気付き、手を振ったり、声をかけたりし始めました。若干角度がズレていたとはいえ、その視線の砲列をまともに浴びることとなった筆者。


 その視界を埋め尽くす瞳たちの後ろに或る、それぞれの方々の抱えるさまざまの人生が、圧倒的な質量を伴って押し寄せてきたわけで、数秒後には卓の下に隠れ、ただひたすらに怯え震えておりました。


 彼の国の大統領職に自らの意思で進んで就くような類の人間でもなければ、斯様な状況に四六時中置かれるなど、まずもって不可能であるように思います。ましてや、幼少の頃より行く先々で、そのような凄まじい状況に身を置かれていたあのお方に、おかけしてよいコトバとそうでないコトバを選ぶ責任は、もって我々国民に或るように思えてなりません。


 先代を見習えとおっしゃる向きもありましょうが、全ての静止画ならびに動画が、文字通り手で触れられるほどの精細さをもって記録されるこのご時世を鑑みれば、居宅におかれましても合わせ鏡に囲まれているかのような状況に置かれていることは想像に難くありません。


 筆者のようなものが、さしでがましくもあり、おこがましいことでもありますが、関係各位にありましては、いま少しの自重、いま少しの配慮について、どうかどうかご留意していただきますよう願ってやみません。


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