日常会話
いつもの時間にいつもの椅子に座って遅めの夕飯を食べながら、お互いの機嫌や様子をそれとなく探ったり探らなかったりする23:30。
テレビのニュースは、車を盗むより罪が軽いと思った、などという理解不能なオトコを映している。このオトコの供述には何がしかの作家性を感じて仕方がないのだが。
「おおかた弁護士が作家してる流れでしょ」
そういう見方もあるか。腑に落ちるのは好きな方。
テレビのニュースはアメリカの大統領選挙の様子を伝えている。相変わらず薄っぺらいスピーチで感動したフリをするのがうまい国民だ。
「あの程度で感動するようなレベルの連中に、世界を牛耳らせるとかって、わりとありえないわよね」
そういう見方はわりに好き。大統領選挙は来週火曜だそうだ。ここと彼の国のどっちが火曜日先とか瞬時にわからない素振りを見せると、いつもの捨て台詞が飛んで来る。
「これだから似非理系は……」
っていうか、筆者文系だし。確認済みでしょいろいろと。
こんな時間なのにとつぜん携帯(オクタ支給のFOMA)が唸りだす。使えない部下からの非常識な時間帯に届くまるで意味のないメールに憤慨するのに付き合うのは毎日のたしなみ。
テレビは回転寿司屋に集うBBA連を映している。別に全員が巣鴨出身というわけでもなかろうに、そのように見えてしまうのは刷り込みとかその類なのだろうか?
「あぁあ、なんでおばちゃんってあーゆう格好になっちゃうんだろ? まぁあたしの服は中学ん時の奴だからああはならないけどね……」
おい、すると筆者お気に入りの森ガール的なクシャっとしたアレは23年戦士ということですか? さすがのオレもこの間3枚980円の奴まとめてウェス転生させたばかりなのだが……。
テレビは結婚したくないヒト23.3%的な奴をやってる。結婚するとかしないとか若者が駄々こねくり回してる系のインタビューが、わりに延々と流される。
「だいたい生殖と制度をごちゃ混ぜにするから子供が増えないのよ!」
いろいろと賛同しかねる気がしないでもないが、まぁ、そういう見方もある、のか?
「そうそう、今朝ね、保育園で三女預けて階段ダッシュで降りる時、曲がり角であや先生に食パンくわえた系な当たり方しそうになって、展開っぽかった」
と言うと、
「あや先生かわいいもんね」
と若干不機嫌になるのはもはやデフォ。
皿を洗いながらここ20分の会話をなんとか残そうとメモ用紙を持ち込むもはねちらかる水と泡で全くの徒労に終わる。
「……ねぇ、なにしてるの?」
まさか、“即応性に富みすぎる筆者”、とかのために努力してるとか口が裂けても云えない。
「いってきまーす」
皿洗いからのフキフキまで終わらせてお風呂へ向かう筆者。
「おやすみ〜」
ミッションコンプリートでお布団へ向かう妻。
まぁ、一日のおわりしなにしては上出来ですよね。