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素直な気持ちで

大人になったこの年になって、家族団欒というものを経験している…。

ライアンと、エレナ。それから兄のフェリクスとジョージアナ。

同席して会話をしながらの朝食。

「ジョージアナは、具合はどうかしら?」

そっとエレナが問いかけてくる。

「大丈夫よ。どこも悪くはないわ」

「…なぁ、ジョージアナ…フレデリックとは本当にどうするんだ?」

フェリクスがジョージアナにあっさりと聞いてきて、どきりとする。

「どうするって言われても…フレデリックから、何も言われた訳でもないのに」

「…何もないなんて言ってやるなよ…ずっとジョージアナの側にいたのに…」


兄ですらフレデリックの味方だというのか?

ルナと婚約が決まってからというもの、フェリクスは幸せそうだ。

婚約に至るまでは早かったが、結婚まではゆっくりとしたいとフェリクスとルナは話し合ったそうで、また結婚の日取りは決まっていない。


ルナは四人姉妹で、去年にレオノーラとステファニーが結婚し、ルシアンナは多分近々アルバートと婚約が決まりそうだし、それからルナはフェリクスと結婚しようとしているのだろう。


「ジョージアナ…去年あたりは誰か当てがありそうな雰囲気だったが…?」

ライアンがその目を向けてきた。ギルバートの痛い思い出を突かれて、ジョージアナはピリッとする。

「気が変わったの」

「…そうか…私はお前の意思を尊重したい。だが、フレデリックは申し分ない相手だ。きちんと考えてみてはどうだ?」

でも、ふられた…。と思うのよ?つい昨日に…


みんなしてフレデリックの、味方なの?


「…ライアン」

エレナが小さな声で呼びライアンの肘をそっと引いて、止めた。

「そんな風にみんなで追い詰めてはいけないわ」

「…ん?…そんなつもりは…エレナがそういうならもうこの話はやめよう」

と微笑みつつ見つめる。

甘ったるい雰囲気にジョージアナはなんだかそわそわした。


甘ったるい空気に当てられながら朝食を終えると

「お兄様ったらよく平気で食事が出来るわね?」

「いや…平気でもない。ふりをしてるだけだ」

と苦笑した。

まったく平然としていたように見えたフェリクスはさすがだと思う。


部屋に戻り昼用の外出のドレスに着替えると、思い出す。

今日の夜も、舞踏会がある…。

エスコートはもちろんフレデリックに頼んであった…けれど…顔を会わせづらい。


どうしよう?

誰に相談する?


ふと浮かんだのは、母エリザベスよりもエレナだった。

姉のような彼女なら、ジョージアナの気持ちの整理がつくかもしれない。


エレナはこの時間ジョエルの部屋だろうか?

ジョージアナはベビールームに行ってみることにした。

「エレナ…いるかしら?」

ノックをして部屋を開けると、エレナとそしてライアン。

眠るジョエルを前にして、ライアンがエレナに覆い被さるようにキスをしていた。

ライアンと目が合い、

「あ…ごめんなさい…」

と慌てて部屋を出た。


「ジョージアナ?」

とエレナが追いかけてきてくれた。

その、唇に思わず目がいって少し頬が赤らむのを感じた。

「話があったのでしょう?貴女の部屋に行きましょうか?それとも私の部屋にいく?」

「じゃあ、エレナの部屋に…」


エレナの私室は、主夫妻のプライベートフロアにあった。


エレナは刺繍をこまめにしていて、室内は彼女のお手製のファブリックで揃えられていて、ほっとする空間になっていた。

「お茶を淹れるわね」

エレナは慣れた手つきでお茶をカップに注ぎジョージアナに出してくれた。

「私に、話してくれるの?なにか悩みごとなのでしょう?」

エレナはジョージアナの斜め前に座ると、そっと促してくれた。

「あのねエレナ。昨日わたくしはフレデリックにどうするのか聞かれたの。婚約するのかしないのか」

エレナはうなずいて、先を促した。

「でも、わたくしはそんな事を言われるなんて思ってもみなくて、少し考えさせてって答えたの」

「ジョージアナは…本当に気づかなかったかしら?本当はわかっていたでしょう?」

エレナは優しい声で言った。

「えっ?」

「だって、去年からずっとフレデリックにエスコートを頼んでいたのよね?それってそういう意味だと思っても仕方がないのじゃないかしら?」

やっぱりそうなのだ…

「そう、確かに分かってはいたんだわ…」

「どうしたいの?ジョージアナ…フレデリックともう一度向き合ってみたいのかしら?それとももう要らないって投げ出してしまうの?」


ジョージアナは戸惑った。

フレデリックの事はジョージアナがデビューして以来ぼんやりとこの人と結婚する事になるのかななんて思ってきた相手。


それだけで、ジョージアナはフレデリックの事をどれだけわかっているのだろう…。

ずっと近くにいた彼を何にも見てはいなかったのだろうか…。

当たり障りのない会話ばかりして、フレデリックと歩み寄ろうとしたのだろうか?

いつもその存在を空気みたいに扱って蔑ろにしていたのはジョージアナじゃないか…

だから…フレデリックは…ジョージアナにあんな風に言ったのじゃないのか…。


「…本当は…謝りたい…今までの事を…」

ジョージアナはポロリと言葉が出たことに自分でも驚いた

「それがジョージアナの、本当の気持ちね?」

微笑みつつエレナが言った。

「…そうなんだわ…でも…恋をしてるわけでもないのに謝っていいのかしら?」

「…恋云々は別にして、人として謝るのはいけない事になるのかしら?」

エレナの言葉にもっともだとジョージアナは思った。

「会いに行ってみればいいのじゃないかしら?」

エレナはジョージアナの格好を見ると、

「もう少し、可愛らしい印象のに変えましょうか」

とにっこりと微笑むとチェルシーと共にジョージアナのドレスを選び出した。


春らしい淡いピンクにレースの女の子らしいドレス…

「えっ?これ?」

まずジョージアナの好みではない…。

「ジョージアナ様、気持ちはドレスからでも変わるものですわ」

チェルシーがそのドレスを着せて、髪は緩やかに編んで、柔らかな印象にさせる。


「ジョージアナ…公爵令嬢は確かに貴女の肩書きだけれど、ジョージアナはたった一人…それを忘れないで、ちゃんと素直なってね」

エレナのエールを受けて、ジョージアナはアシュフォード侯爵家を訪ねた。


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