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楽しんでもらえるように精進します。
結局、2人と別れて家に帰りつく頃には夕方になっていた。
早く帰ったほうがいいかとも思ったけど、「どうせ明日からはずっと付き合う事になるんだし、ま、いいか」と自分にいい訳して自由時間を楽しんだ。
そして、玄関をくぐると、そこには赤ちゃんが1人転がっていた。
「………寝てる?」
玄関マットの上に横向きですやすや寝てるハルを抱き上げて中に入ると、母さんがのんびりテレビを見てた。
「あら、おかえり」
「ただいま…じゃなくて、ハル、なんであんな所に寝てんの?」
動かしても起きないハルを和室に敷きっばなしになっていた布団に転がすとかぁさんをジロリとにらむ。
「昼過ぎくらいから、何度連れ戻しても玄関に行くようになっちゃって。マットの上から動かないし、危ないものも置いてないから大丈夫かなぁって、そのまま見守ってたの」
お茶飲む?なんて湯呑みを渡され、とりあえず受け取る。
「……姉貴、待ってるのかな?」
「どうかしら?あまり泣かないし笑わないし、緊張はしてそうよね」
襖の隙間から隣を覗き見ると、いつの間にか転がってうつ伏せになっていた。
小ちゃく丸まっている姿が自分を守ろうとしているようにも見えて、少し切ない。
赤ちゃんって、もっと無邪気な生き物だと思ってた。
「お母さん、夕飯の買い物行ってくるから留守番よろしくね〜」いそいそと出かける姿を見送ると、寝ているハルの横に自分も寝転がってみる。
規則正しい寝息を聞いてると、やっぱり眠気が襲ってきた。
赤ちゃんって絶対睡眠誘発剤的な何かを発してると思う。
つられてウトウトして、ふと気づくとハルの目がポッカリと開いてた。至近距離にある黒目がちな目にビックリして息を飲んだ。
「ハル?」
ジッと見つめてくる瞳になんとなく名前を呼んで見ると、小さな手が伸びてきてペチペチと俺の顔に触れる。
「なに?目が覚めた?腹減った?」
その手を捕まえて話しかけると、ハルがニヤリと笑った。
……やっぱ、ニヤリなんだな。
「なぁ〜に、企んでんだよ。悪い笑顔だな、おい」
体を起こしハルを抱き上げると、膝の上で立ち上がり、再び顔に触れてくる。
「なに?姉貴……じゃないか、ハルから見たら母さんか。……母さんに似てるか〜?」
残念ながら俺は母さん似の女顔だった。
3年前、姉貴が家出する頃はソックリと言われてたから、今でも面影くらいは残ってるのかもしれないな……。
「ハルの母さんが帰ってくるまで、俺が代わりに構ってやるからなぁ〜」
額を合わせてぐりぐりしてみると、両手で頬をペチペチされる。
「あ〜う〜」
「イテッ」
そのまま頬を挟まれ、頭突きをくらった。
結構いい音がして、痛みに思わず額を押さえてうめくとキャッキャッと可愛い笑い声がした。
「ハルが笑ってる……」
ニヤリ、じゃない。
顔全体でにっこりと、本当に楽しそうに。
「てか、痛くないのかよ〜。どんだけ石頭なんだよ!」
思わず強めに今度はほっぺ同士をぐりぐりすると、また笑い声がたつ。
その笑い声に嬉しくなって、抱き上げて揺すったり、またぐりぐりしたり。
「……楽しそうね、あんた達」
呆れたような母さんの声に我にかえると、結構な時間が経っていた。
「母さん!ハルがニヤリじゃない笑い方した!メッチャ、可愛かった!!」
思わず、ハルを母さんの方に捧げ持って報告する。
「はいはい。嬉しかったからってやり過ぎよ。ハル君、笑いすぎでグッタリしてるわよ?」
やっぱり、呆れ顔の母さんにそう言われて振り返らせたハルの顔は真っ赤で、目が虚ろになっていた。
「うわっ、ごめん。はる、大丈夫か?!」
「あぅ」
ハルから返事と共にペチッと額を叩かれた。
うん。マジでごめんなさい。
ハルが笑いました。
赤ちゃんのツボってよく分からないですよね。




